熱戦続く甲子園。 ![]() 夏の高校野球もベストエイトが出そろった。ここまで勝ち上がった8チームの 戦いぶりは見事だった。逆転に次ぐ逆転、9回裏2死ランナー無しから執念の 粘りを見せて戦う球児たちに、球場内は熱い応援を送って歓声を上げた。 特に昨日の4試合は最後の最後まで勝敗が判らない熱戦だった。岩手の盛 岡大付属、福島の聖光学園、宮城の育英、と東北の3校が登場したので、一 日中テレビから離れることが出来なかった。 それにしても東北のレベルは随分上がったものだ。かっては1回戦を勝ち上 がることもできない弱いレベルだったが、近年は全国各地の優秀な野球少年 や監督が、甲子園出場を夢見て強豪校入学を避け、比較的競争力の低い東 北の高校に越境入学する傾向が強まっているせいにしても。昔とは雲泥の違 いだ。 雪国だから練習量が少ないなどの言い訳は今では死語になった。地元の生 徒が少ないのは寂しい事だが、それも時代の趨勢だろう。ともあれ東北の高 校の野球が強くなった事は疑いようもない。 昨日の第3回戦、第1試合、盛岡大付属対愛媛の済美高校は両校に満塁 本塁打が出る壮絶な打撃戦だったが、延長の末に盛岡大付属が接戦をもの した。まぐれではない力強さをひしひしと感じた。 第3試合の福島聖光対広島広陵戦は、4対4の同点で9回表に、今大会注目 の広陵の4番中村君の今大会4本目になる本塁打で広陵が逃げ切り、惜しく も東北勢の一角が敗れ去った。 第4試合、宮城の育英対大阪桐蔭はそれまでの打撃戦から一転して息詰ま る投手戦になった。優勝候補筆頭の大阪桐蔭が優勢のまま、0対1で迎えた9 回裏、2死走者なしからヒットと四球でチャンスをつかみ、最後の打者の遊ゴ ロで万事休すと思われたが、一瞬1塁手の足が離れてセーフの判定となり場 内騒然となった。続く次打者の劇的な中超2塁打で奇跡的な育英の逆転勝利 になった。 勝負は下駄をはくまでわからないというが、負けた桐蔭の選手諸君、とりわ けエラーとされた1塁手の心境を想うと、勝負の怖さをひしひしと感じた。 おそらく生涯忘れられない悔いの残るプレーだっただろう。好漢よ、失敗を 糧にして大きく成長することを願う。かくして東北勢は岩手の盛岡大付属、宮 城の育英の2校がベストエイトに残って。今日から熾烈な準々決勝が行われ る。 昔から準々決勝4試合は夏の甲子園では尤も見応えのあるハイライトだと いわれる。決勝まで駒を進める候補をすべて見ることが出来るので、甲子園 に行くならこの日しかないと、通の野球ファンは云う。 さて私はテレビで観戦する。今日はどんなドラマが待っているだろう。ベスト 4に東北勢が残れるだろうか。お目当ての球児の活躍ぶりはどうだろう。 高校野球を見ているとプロ野球ののんびりさが間延びして見える。やはり夏 は高校野球、甲子園だ。深紅の優勝旗は初めて白河の関を越えてくれるだ ろうか。その高校は私の生まれ故郷の宮城か、それともわが母校の岩手か。 それにつけても、またいつかわが母校もこの聖地に立ってほしいものだ。 |