臨時認知機能検査。    21,02,22

   警察庁が所轄する自動車安全運転センターの調査によると、昨年、信号機のない
  横断歩道で、「クルマが減速や停止をして歩行者に道を譲っているか」 という調査を
  したところ、約8割のクルマが停止しなかったという調査結果が出たそうだ。

   道路交通法では、歩行者優先として『横断歩道の手前での減速と歩行者優先義務』
  が定められている。違反すると「横断歩行者妨害」となり、反則金は9000円(普通車)、
  違反点数2点、同時に刑事罰もあり、3か月以下の懲役または5万円以下の罰金が科
  せられる。

   それにもかかわらず、ほとんどのクルマが横断歩道での減速や停止義務を怠ってい
  る実態が明らかになった。さらに、職業運転手のタクシーでさえ停車したのは30%を
  下回り、バスも40%以上が停止しなかったという。すなわち、”歩行者優先”という交通
  の基本が、多くの運転者で意識されていないことになる。

   恥を忍んで告白すると、昨年12月3日、箱根CCでメンバーとして最後のゴルフをした
  帰りに、GOTOトラベルを利用して箱根湯本「河鹿荘」に宿泊した際、翌朝、旅館前の
  湯本の繁華街の横断歩道を過ぎたところでパトロール中の警官に停止を命じられた。

  「横断歩行者妨害」の交通違反だという。私は繁華街の横断歩道で危険だから徐行
  したし減速もしたとお巡りさんに抗議したが受け入れられなかった。少し押し問答した
  が遂に諦めて反則金9000円、違反点数2点の反則切符を切られてしまった。
  折角のGOTOトラベル利用の特典がふいになってしまった。

   その若い警察官は「よくある違反で、取り締まりに遭遇した貴方は貧乏くじです。」
  と気の毒そうに言うが、決して見逃してはくれなかった。助手席の家内もかなり抗議
  してくれたがダメだった。

   年が明けて2月初旬、警察から二俣川の運転免許センターに出頭を命じる封書が
  来た。交通違反の「臨時認知機能検査」の通知だった。罰金に続く追い打ちである。
  二俣川は遠いので、色々さがして京急沿線の横浜市大医学部前にある「南横浜自
  動車教習所」を予約して、2月19日に出かけてきた。

   久し振りの外出、今年初めての電車なので、バスや電車の車窓から見える景色
  も、改札口周辺の街並みもなぜか懐かしい。京急新逗子駅は「逗子・葉山」と改称
  されていた。確かに「葉山」の文字があると初めて葉山に来る人には判りよい。

   京急金沢八景駅からモノレールで5駅の横浜市大病院駅で下車、途中の八景島
  など東京湾には釣り船やヨットが係留されていてのどかな眺めだった。駅から徒歩
  5分で南横浜自動車教習所に到着。交通違反の呼び出しの講習はいまいましいが
  久し振りの行楽なので少しは心も安らぐ。
  今日の受講者、つまり交通違反者は11名、みな高齢者だった。

   13時半からおなじみの臨時認知機能検査開始。判定結果が低いと次には高齢者
  講習と病院での認知症検査が待っている。そうはなりたくない。

   今日のテストで代表的なテストは、トマトとか机とか鶏とか4つの絵が描かれた絵
  を次々に4枚、つまり16個の絵をあらかじめ見せられる。それから他のテストに進み、
  いったん忘れさせてから元に戻って、先程なんの絵が描かれていたかを思い出して
  答案用紙に書かせるというテスト。まさに記憶力テストで私の苦手のテストだ。

   認知機能検査は今まで3~4回も受けているが、このテストはどうも苦手で、ヒント
  を与えられてもついさっき見せられた16個の絵で11個しか思い出せなかった。

   テストの合否基準は、総合点が76点以上は「記憶力・判断力共に問題なし」、49点
  ~75点は「少し低下」、49点未満は「低くなっている、」と判定される。私は総合点が
  78点で辛うじて「記憶力・判断力に心配無し」の判定だった。

   これで今度の免許証更新時に、病院の診断書を持参しなくても済む。
  それは一安心だが、いよいよ免許証をいつ返上するか、決断の時期が迫っている。
  大分以前から、満85歳で返上と覚悟しているのだが、いよいよ現実味を帯びてきた。

   家内は免許を持っていないし、老夫婦二人だけの家庭なので、クルマのない生活
  の不便さが思いやられる。買い物や病院通いをどうするのか、我が家までの坂道を
  歩くのもそろそろしんどくなっている。

   免許証を返上して、免許がなくても乗れる2人乗りのクルマを探して買い換え、スー
  パーや病院の往復にだけ使えるようにしようか、それともクルマを持たずにスーパー
  の買い出しも病院も、移動はすべてタクシー利用にしようか、それとももう一度免許
  証を更新して今のクルマに乗り続けようかなどと思い悩んでいる昨今である。

   調べてみたら、2人乗りのトヨタの超小型EVや、出光とタジマが共同開発して発売
  予定の超小型EVなど、買い物客に的を絞った100万円台のコンパクトなクルマが続
  々と登場するらしい。