箱根ジオパーク。    12,11,03
 
    不勉強なことだが、ジオパークなる言葉もましてや概念もまるで知らなかった。
   11月2日、小田原市の神奈川県立生命の星・地球博物館で、「平成24年度神奈川県ボランティア
   ガイド協議会の合同研修会と交流会」が開かれ県下の加盟団体の代表者170名が参加した。
   同館の平田学芸部長さんの記念講演の演目が「箱根火山とジオパーク。」だった。箱根火山が
   噴火したのは65万年前というのが今までの定説だったが、最近の説では40万年前になっている
   との紹介などがあった。さらにジオパークの解説があり箱根ジオパーク活動の話を聞いた。

    初めて知ったことだが、ジオとはギリシャ語で大地とか地球の事を意味し、したがってジオパー
   クとは直訳すれば地球公園(大地の公園)となる。世界遺産登録はユネスコが認定していて有名
   だが、ジオパークもユネスコのジオパーク審査委員会が審査・認可している。世界遺産よりもラン
   キングは下になるらしい。
 
    選定基準が世界遺産と違うのは、自然の景観に加え、地域の振興や地域の資源を持続可能
   にする活動など人間の活動のソフトウェアも重視され、世界遺産は一度認定されれば永久だが、
   ジオパークの認定は人の活動も対象になるため4年ごとに見直され、活動が不活発だと取り消し
   もあるのだそうだ。

    世界的にジオパーク登録が進んでいて、世界ジオパークには26か国・92地域が認定されており、
   下部機構の日本ジオパークではつい最近9月に箱根ジオパークが認定登録されて25か所になっ
   たそうだ。日本ジオパークの中で世界ジオパークに認定されているのは洞爺湖有珠山(北海道)
   島原半島(長崎県)などの5か所との事だった。

    さて箱根ジオパークだが、世界的に有名な箱根火山のエリアは単に箱根だけでない。箱根町、
   小田原市、真鶴町、湯河原町の1市3町に及ぶ広大な地域が箱根火山帯を形成している。その
   為、1市3町が一体となった活動を進め、豊かな自然と密接した歴史、教育、観光、地域振興に
   熱心な取り組みが評価されて今回の認定になったとの事だった。

    なおジオパークといっただけでは観光のポイントがぼやけているので、観光のピンポイントを
   「ジオサイト」として定めている。箱根ジオサイトとしては、大涌谷や芦ノ湖などの箱根の名所を
   初め、真鶴半島採石場や湯河原温泉など広域にわたって41か所が指定されて観光の目玉に
   なっている。

    翻ってわが葉山町を見ると、箱根に負けず劣らずのジオサイトが多数ある。これらの観光ポイ
   ントや歴史を「葉山ジオサイト」として認定して観光・歴史・教育・地域振興の活動をネットワーク
   化すれば、「葉山ジオパーク」として日本ジオパーク登録申請も夢ではない、そうなれば葉山町
   の観光資源が大いに生かされ、町の啓蒙にも役立つというものだし、わが文化財研究会活動も
   一段と熱を帯びるだろうなどと勝手に夢想したものである。ただしこの老骨には既にその意欲も
   気力・体力もない。今日参加した葉山文化財研究会の面々をけしかけて、遠大な構想として提
   案してみようかと思った程、今日の交流会参加は参考になった。

    昼食の後、小田原ボランティアガイドさんの案内で秀吉築城で知られる石垣山の一夜城址まで
   山登りをし、秀吉・家康が連れションしたという物見台から小田原城を見下ろして、山を下りて早
   川駅まで歩いた。約6キロ3時間の行軍だった。同僚の心配と配慮でなんとか落伍せずに済んだ。
    170名の参加者を終始手際よく裁いた小田原ボランティアガイド協会の方々に敬意を表して
   解散した。この日も秋晴れの、またとない行楽日和だった。