2020年 今年の重大ニュース(国内外編) 20,12,29

   何と言っても今年のトップは世界中に蔓延した新型コロナの話題だろう。続いてはアメリカ
  大統領選で現職大統領のトランプ氏を抑えて民主党のバイデン候補が勝利したことだろう。

   この二つの出来事が今後どのような影響を世界にもたらすのか、人類はどこに向かって
  いくのか、世界中の人たちが固唾を飲んで見守っている。日本の総理大臣の交代などは
  重箱の隅のような小さな出来事にしか思えない。悲しいことだ。

  1、新型コロナが世界中に蔓延。

   中国湖北省武漢市で最初に感染が拡大した新型コロナウイルスについて世界保健機関
  (WHO)は 「パンデミック(感染症の世界的な大流行)状態にある。」と宣言した。
  12月に入ると累計の感染者数が8000万人を突破、死者数は170万人を上回った。
  国別で最も被害の大きい米国では死者数が30万人を超えた。各国・地域は、経済活動と
  感染対策の両立という難題に直面している。

   今月、英国、米国は、米製薬大手ファイザーと独製薬企業ビオンテック,の開発したワク
  チン、そしてロシアは国産ワクチンをそれぞれ使って接種が始まった。ワクチンの開発は
  通常10年以上かかるといわれているが、開発から投与まで1年余という異例の早さだった。
  日本をはじめ世界各地でワクチン開発競争が激化している。

   直近になって、感染力の高いコロナウィルスの変異種が欧州で発見され、瞬く間に世界
  中で猛威を振るい始めた。新ワクチンの効果の見極めが急がれる。

  2、わが国でも新型コロナ感染拡大。

   新型コロナウイルスの感染拡大を受け、政府は4月、緊急事態宣言を発令した。
  宣言は5月下旬に全面解除されたがその後も混乱は続いた。都道府県は市民に外出自
  粛を呼びかけ、遊興施設や商業施設など幅広い業種に休業を要請した。

   宣言を受けて繁華街や駅から人の姿がめっきり減ったが、長く続いたステイホームに
  耐えきれず、最近では東京、大阪、北海道などを中心に、繁華街の人出が再び増加し、
  感染者が急拡大している。

   現在まで国内の感染者は累計21万人、死者は3000人を超えた。特に高齢者や心臓病
  ・糖尿病などの基礎疾患を持つ人の感染が多かったが、最近では若年層にも拡大し始
   めている。年末から正月を迎えてさらなる感染拡大が懸念される。

   病院では、入院病床や医療物資が不足し、重症患者の増加に伴い、医者と看護師の
  不足が顕在化し、病院の医療崩壊の危機が目前に迫っている。

   社会的距離の確保やマスク着用などの「新しい生活様式」が浸透し、自宅などで勤務
  するテレワークや、感染リスクが高まるとされる「3密」を回避する動きが広まった。

   政府は、一律10万円の給付や、企業に支給する「雇用調整助成金」の拡充などを盛り
  込んだ緊急経済対策を実施。苦境に陥った観光業界を支援する「GoTo トラベル」事業
  も始まった。

   しかし、第2波、第3波と感染が拡大し、12月には1日の新規感染者数が過去最多の
  水準となるに及んで、政府は遂に目玉政策の「GoTo トラベル」事業を年末年始に全国
  一斉に停止した。
   
   新型コロナウイルスの変異ウイルスの感染者が世界各国で増えている状況を踏まえ、
  出入国在留管理庁は、全ての国・地域からの外国人新規入国を28日午前0時から来年
  1月末までの間、原則として一時停止すると発表した。

   来年春からは医療従事者、65歳以上の高齢者、心臓病や糖尿病などの基礎疾患者
  を優先にワクチンを接種することが決まった模様である。

   3、米大統領選でバイデン氏勝利。

   米大統領選は、再選を目指す共和党のトランプ大統領を制し民主党のバイデン前副
  大統領が勝利した。

   新型コロナウイルスへの対応や経済の再建策などが主な争点となったが、トランプか
  反トランプかの選択の選挙だった。郵便投票を採用したため、歴史的な高投票率を記
  録した。大接戦の末バイデン氏はようやく勝利宣言を行い、国民に融和を呼びかけた。

   トランプ氏は敗北の受け入れを拒み、再集計の申し立てや法廷闘争を続けたが、
  勝敗が覆る州はなかった。12月、各州の選挙人による投票でバイデン氏は306票を
  獲得し、トランプ氏の232票を上回り、勝利が確定した。

   来年1月、バイデン氏は第46代大統領に、カマラ・ハリス上院議員は黒人女性初の
  副大統領に就任する。だが、トランプ政権の4年間で深まった国民の分断を修復する
  のは容易ではない。

   アメリカファースト主義から国際協調路線に転換が予想されるバイデン政権だが、
  対中東問題、対ロシア・中国・北朝鮮の外交・貿易・防衛問題、我が国との安全保障
  や貿易問題など難問が目白押しで、世界のリーダーとしての手腕が期待される。

  早速、トランプ氏が離脱を進めてきた地球温暖化対策のパリ協定や、イラン核合意、
  世界保健機構(WHO)への復帰、TPP(環太平洋経済連携協定)再加盟などの動きが
  加速されるとみられる。

  4、安倍首相辞任。

   安倍内閣は第1次内閣を含めた通算で連続在職が7年8か月余と歴代最長の歴史
  的な長期政権を築いて退陣した。

   経済政策「アベノミクス」は功罪相半ばし、消費税率を8%、10%と2度にわたって
  引き上げた。集団的自衛権の限定行使を認める安全保障法制を制定して憲法との
  不整合をもたらした。祖父以来念願の憲法改正は幸い実現できなかった。

   新型コロナ対応の遅れ、森友・加計学園を巡る忖度や隠蔽工作など長期政権のほ
  ころびが露呈した。閣僚、官僚の不祥事が多発したがトカゲのしっぽ切りに終始した。

   辞任後、首相在任中の「桜を見る会」の前夜祭を巡り、政治資金規正法違反の疑い
  が浮上した。現職の首相が事実と異なる虚偽答弁を118回も繰り返して国会の審議に
  無駄な時間を費やし、「憲政史上稀に見る汚点」を残した。

  すべてを秘書の責任にすり替える常套手段も、国会を空転させた虚偽答弁の罪も重
  い。菅内閣は早々に幕切れを図っているが国民の納得は得られていない。

  5、菅首相誕生 新内閣発足。

   自民党総裁選で岸田文雄、石破茂両氏を破って総裁の座に就いた。
  デジタル庁創設や不妊治療の保険適用などを目玉政策に掲げ、就任直後から矢継
  ぎ早に実現を指示した。肝いりの携帯電話料金引き下げ要請に業界側が呼応する
  動きが広がり、就任早々の「秋田の令和おじさん」の人気は上々だった。

   一方で、日本学術会議の新会員任命拒否問題でつまづき、新型コロナ対策でも
  「GoTo トラベル」事業の継続へのこだわりでも国民の不評を買い、ようやく年末
  年始の「GoTo トラベル」の全国一斉停止に踏み切ったが、あまりにも対応が後手
  に過ぎた。支持率も急落している。

   最近では、多人数での会食を控えるように国民に訴えていながら、本人が多人数
  で会食していたことが判明して世間の批判を浴び、陳謝する喜劇があった。
  すべてにわたって首相としての発信力の弱さが目立ち始めている。

   6、東京五輪・パラ 1年延期 。

   新型コロナの猛威が東京五輪・パラリンピックを直撃し1年の延期が決まった。
  来年、果たしてコロナは収束して無事に五輪は実施できるのかが懸念される。
  私は1964年( 昭和39年)の東京五輪をよく知っているので実施が待ち遠しい。

   7、香港の国家安全維持法が施行。

  中国の全国人民代表大会常務委員会は、香港での反体制活動を取り締まる国家
  安全維持法(国安法)を可決し、法律が施行された。

   昨年に香港で大規模化した抗議運動の封じ込めや民主派への締め付けが狙い
  で、「一国二制度」の下での香港の「高度な自治」は形骸化が決定的となった。

   国安法では「国家の分裂」「外国勢力などと結託して国家の安全を脅かす」など
  4種の行為を禁じている。法施行後、香港紙アップル・デイリーの創業者や民主活
  動家の周庭氏らが国安法違反容疑で次々に逮捕された。

   香港当局の強硬な対応に民主派は萎縮を余儀なくされ、民主活動グループは
  解散の危機にある。中国の一国支配がじわじわと進められている。

   8、英国がEU離脱。

   英国は1月、欧州連合(EU)から離脱し、統合を進めてきた欧州は歴史的な転
  機を迎えた。EUからの加盟国離脱は初めてで、加盟国は27か国に減った。

   英国の離脱を後押ししたのは、流入を続ける移民の脅威や、超国家的な存在
  であるEUが英国の主権を制限しているとの不満だった。2016年の国民投票以降、
  国内は混乱し、離脱派と残留派の間に埋めがたい溝が残った。

   英国とEUは自由貿易協定(FTA)の締結など将来の関係を巡る交渉で難航を
  極めたが、年末ぎりぎりにようやく新たな自由貿易協定を結ぶ通商交渉で妥結し
  た。
  もしも決裂すれば、年明けに関税がいきなり復活し、欧州経済、ひいては日本経
  済も大混乱に陥るのは必至だった。

   9、甲子園 春夏中止。

   新型コロナ感染拡大の影響で、春の選抜高校野球大会と夏の全国高校野球
  選手権大会が中止となった。同一年の両大会中止は史上初。8月には選抜出場
  予定だった各校1試合ずつの交流試合が行われた。

   10、将棋の藤井聡太七段 最年少タイトル獲得。

   棋聖戦五番勝負で藤井聡太七段が、渡辺明三冠に勝利し、タイトルを奪取した。
  17歳11か月での戴冠は最年少記録。さらに18歳1か月で王位も獲得し、史上初の
  「10代二冠」を達成。羽生善治九段のもつ最年少二冠の記録を大幅に塗り替え、
  同時に八段昇段の最年少記録も樹立した。

   11、その他
  ・新型コロナで政府が全国小中高の休校要請、・ソフトバンク4年連続日本一等。