2018年、重大ニュース(国内外編)。18,12,26

   今年で「平成」が終わり、来年5月には新しい年号に代わる。小渕官房長官が「平成」と
  大書した色紙を国民に披露してから30年がたった。名古屋に向かう師走の新幹線の車中
  でそれを知り、同乗の友人と祝杯(?)をあげた事を思い出す。

   天皇陛下の85歳の誕生日を祝う一般参賀が23日、皇居で行われ、談話も発表された。
  戦争の惨禍を悼み、台風や地震の被災者を慰労し、常に国民に寄り添う真摯な姿を拝見
  すると、たとえ天皇制を批判する立場の人でも、天皇の人となりを批判する人はおるまい。
  来年からは昭和~平成~〇〇と3代の世相を見ることになる。

   今年を象徴する一文字漢字は「災」だった。「災」は「天災」でもあり「人災」でもある。
  年初のインドネシア地震・津波での死者2000人以上という大災害をはじめ、米アラスカ州
  やニューカレドニアの大地震、直近では先日インドネシアで噴火が原因とみられる津波で
  280名超の死者を出すなど、世界各地で災害が発生した。本稿では我が国の3つの災害
  を重大ニュースに取り上げる。残りの出来事のほとんどは紛れもない「人災」である。

  
1、異常気象か?日本列島に災害頻発。
  ①西日本豪雨、死者220名超。
   7月、西日本の各地に記録的な豪雨。死者は220人超。豪雨災害としては、平成最悪
  の人的被害。 被害の特徴は河川の氾濫や冠水、土砂崩れなどが広域で同時多発的に
  起きたことである。住宅被害は全国で5万棟を超え岡山、広島、愛媛の3県では計6000
  棟超が全壊した。

  ②大型台風、異常なルートで襲来、関空が冠水し孤立。
   9月、台風21号が四国、近畿を縦断し、近畿地方を中心に大きな被害をもたらした。
  関西空港は、高潮で浸水して停電が発生、全面閉鎖に陥った。強風でタンカーが空港
  と対岸を結ぶ連絡橋に衝突し、旅行客ら約8000人が孤立する未曽有の事態になった。
  旅客便が再開したのは、被害から3日後の7日で、閉鎖による経済損失額は500億円
  に上るとする試算も示された。

  ③北海道で震度7、道内全域で停電。
   同じく9月、北海道の胆振(いぶり)地方を震源とするマグニチュード(M)6,7の地震が
  発生。道内で観測史上初となる震度7を厚真(あつま)町で記録した。大規模な土砂崩
  れが起きた厚真町で36人が死亡するなど、死者41人、負傷者は750人に上った。地震
  により、苫東(とまとう)厚真火力発電所など道内の発電所が一時、全て停止。管内の
  ほぼ全域で電力供給が止まる国内初の「ブラックアウト」が起きた。

  2、スポーツ界に不祥事多発。
  ①度重なる大相撲の暴力事件。貴乃花親方、幕内力士貴ノ岩が引責引退。
  ②日大アメフト部員が危険タックル。監督・コーチが除名処分に。
  ③レスリング協会の強化本部長がパワハラ。協会はパワハラを認定せず。うやむやに。
  ④ボクシング連盟会長、助成金流用、試合の判定介入、恫喝的言動により協会除名。

  
3、日産・ゴーン会長を逮捕。
   東京地検特捜部は11月、役員報酬を有価証券報告書に過少に記載していたとして、
  日産自動車会長のカルロス・ゴーン容疑者ら代表取締役2人を金融商品取引法違反
  (有価証券報告書の虚偽記載)の疑いで逮捕。12月、さらにゴーン容疑者を会社法違
  反(特別背任)容疑で再逮捕した。

 <所見>;役員報酬の虚偽記載は、高額な報酬の批判を恐れ、世間体を気にして報酬
 の一部を退任後の支払いにあて有価証券報告書(有報)には記載しない、いわゆる過
 少記載という姑息な隠ぺい工作だが、日産の実損益には無関係な違反の容疑である。

  この逮捕で図らずも「有価証券報告書」の名前が世に知られたが、この報告書は資本
 金一億円以上の上場会社が金融庁に提出を義務付けられている書類で、重要な決算
 書類ではない。一般の人の目に触れることはないし、勿論ほとんどの従業員も存在すら
 知らない。専門部署の人と一部の役員だけが知る書類である。

  有報への虚偽記載はよほどの悪質な記載でなければ誤記として「おとがめ」で済ませ
 られることが多い。マスコミが著名人の高額な報酬に対してのある種の「社会正義」から、
 声高にトップ記事にしているようにしか感じられない。本質はたいした事件ではない。

  私は発覚当初から、姑息な隠ぺい工作なので、大きく報道されるのにかなりの違和感
 を持っていた。しかし、ゴーン氏の私的な投資(デリバティブ)の損失を自社に付け替え
 たとなれば、会社に多大な損失を与えたことになり、まさしく「特別背任罪」に該当する。
 こちらの方が、企業や株主にとってはより深刻で重大な事件であり、ガバナンスが大き
 く問われる不祥事である。

  一刻も早い事件の解明が待たれるが、しかし事件は10年前のリーマンショック時にさ
 かのぼり、海外の子会社に絡む複雑な事件なので、犯罪の立件のハードルはかなり高
 そうである。

  4、史上初の米朝会談、緊張緩和進む。
  トランプ米大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が、6月にシンガポールで史上
 初の米朝首脳会談。共同声明には正恩氏が「完全な非核化」に取り組み、トランプ氏が
 北朝鮮の体制の「安全の保証」を約束すると明記。


  朝鮮戦争(1950~53年)以来、敵対関係にあった米朝両国の首脳が直接会談し、「非
 核化」を明記した文書をまとめた意義は大きい。歴史的和解の一歩といえよう。ただし、
 非核化の進め方や検証方法、期限などで合意することはできず、具体性に欠く内容とも
 なった。

  非核化プロセスの先行実施を求める米国と、制裁解除などの見返りを求める北朝鮮
 との駆け引きは、さらに激しくなりそうだ。衣の下に鎧を着た恫喝者と異端児の握手には
 狐とタヌキの独裁者の影がちらつく。拉致問題をトランプに丸投げして自らは何もできな
 い安倍首相の無能ぶり、滑稽ぶりが際立った。

  5、南北首脳会談、朝鮮半島非核化で合意。
  韓国の文在寅大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は4月、南北軍事境界線
 上の板門店で史上3回目の南北首脳会談を行ない、「朝鮮半島の完全な非核化」と、年
 内に休戦中の朝鮮戦争の終戦宣言を目指すことで合意した。しかし非核化の具体策や
 経済制裁の解除を巡る米朝の溝は今も埋まっていない

  正恩氏は会談にあたり、北朝鮮の最高指導者として初めて軍事境界線を越えて南側
 に入り、出迎えた文氏と握手を交わし、マスコミは大々的に報道した。

  6、米中間選挙、上院共和、下院民主勝利。
  トランプ政権に対する初の審判となった米中間選挙が11月に投開票された。
 上院は与党・共和党、下院は野党・民主党が過半数を占め、来年から両院で多数派が
 異なる「ねじれ」が生じることになった。民主党が下院の過半数を獲得したことで、新議員
 の任期が始まる来年1月以降、予算案や法案の通過が難しくなり、トランプ大統領は厳し
 い政権運営を強いられる。

  7、EU、英離脱協定を正式決定。
  欧州連合(EU)は11月、来年3月の英国の離脱条件などを定めた「離脱協定案」と、
 英・EUの将来の関係に関する「政治宣言案」を正式決定した。協定案には、20年末ま
 で今の貿易関係などを維持する「移行期間」が盛り込まれた。

  「移行期間」が盛り込まれたが、発効に必要となる英議会の承認を得る見通しは立っ
 ておらず、メイ首相は今月予定していた下院採決を来月に延期した。何の取り決めもな
 い「合意なき離脱」への懸念が強まり、離脱派と非離脱派のデモ合戦が続いている。

  8、トランプ流の「アメリカファースト」が世界を分断化。
  ①、米が輸入制限発動、米中摩擦が激化。
  米政権は鉄鋼とアルミニウムの輸入制限を発動した。7月から9月にかけては2500億
  ドル相当の中国製品に関税を上乗せした。これに対し、中国も報復関税で対抗し貿易
  摩擦が激化した。報復関税の連鎖が始まり、世界各国への影響は深刻である。

  ②日本はじめ各国との貿易赤字解消をめぐる厳しい交渉が始まる。保護主義の台頭。

  ③トランプ、イラン核合意離脱表明。
  トランプ米大統領は、米欧など6か国とイランが2015年に結んだ核合意からの離脱を
 表明。同合意からの離脱に伴い、米国は合意により解除していた経済制裁の一部およ
 び全面再開に踏み切った。イランとの緊張関係が深刻化し、原油調達の影響が懸念さ
 れる。

  ④トランプ、INF全廃条約破棄表明。
  トランプ米大統領は20日、ロシアとの中距離核戦力(INF)全廃条約の破棄を表明。
  ロシアの条約違反や、中国への対抗上、米国も中距離核ミサイルの開発・配備を進
  める必要があることを理由に挙げた。

  ➄、トランプ、シリアからの撤退表明、マティス国防長官辞任へ。
  ⑥トランプ、在イスラエル米国大使館をエルサレムに移転。
  米政府は在イスラエル大使館を商都テルアビブからエルサレムに移転した。トランプ
  大統領が2017年末にエルサレムをイスラエルの首都と認定したことに伴う措置で、東
  エルサレムを首都とする国家の樹立を目指すパレスチナ自治政府の猛反発を押し切
  った。中東の火種に火を注ぐ暴走である。

  9、その他。
   ①私大医学部で不正入試発覚相次ぐ。
   驚くべきことだが、長年、そして全国的に女性と浪人の受験生が入試で不利に採点
   され、医者の子弟は有利に採点されてきた。学会長年の常識らしい。
  ②自民党総裁選で安倍首相が連続3選。
   対抗馬の石破氏は再び敗れ、安倍首相の1強多弱の独壇場が続く。
  ③豊洲市場が開場 。④2025年万博、大阪で開催決定。➄将棋・羽生善治、囲碁・
   井山裕太の両氏に国民栄誉賞 ⑥大谷翔平、メジャー新人王に。