2016年今年の重大ニュース(国内外編) ![]() 今年のビッグニュースは大方の予想に反して番狂わせが起きた二つの出来事だろう。 双璧はイギリスのEC離脱とアメリカ大統領選である。マスコミの事前予想は完全に裏目 に出た。韓国の朴槿恵大統領の弾劾も連日報道された。国内では東京都舛添知事の 辞任と小池百合子候補の当選、矢継ぎ早の都政改革と都議会のドンとの対決も世間の 注目を浴びた。リオオリンピックでは金21個という健闘ぶりを見せた。年末になって俄か にロシア大統領との北方領土返還交渉、沖縄のオスプレー墜落事故が大きな話題にな った。イラクの内戦は終息の気配を見せず、ISの自爆テロが続いた。 話題に事欠かなかった2016年もこうして過ぎていく。来年はどんな年になるのだろう。 波乱の年か、平穏な年か、どうも世界のあちこちでまた予想外の出来事が起きるような 気がする。 1、混迷の予感・アメリカ大統領選でトランプ氏当選。 良くも悪くもトランプ現象が吹き荒れている。異色の新大統領はアメリカ第一主義を唱 えて強いアメリカの復活をめざし、大幅なインフラ投資と減税で経済成長と雇用の確保 を約束した。この発言が株価を押し上げ、日本株もお蔭で年内最高値を更新した。 大統領就任後の年頭教書と施策が注目されるが、アメリカの利害とビジネスだけに 興味を持ち、国際的な役割などには興味が薄い乱暴な言動で知られるトランプ氏だから、 彼の極端な功利主義が世界に波乱を巻き起こすことは十分に予想される。また日米安 保体制の見直しや輸入関税引き上げなど日本への影響と負担増は必至とみられる。 2、英国のEC離脱とEC諸国の離脱気配。 英国で国民投票の結果、EC離脱が決定し世界に衝撃を与えた。世界同時不況が懸 念され、円高・株安が進行した。イギリスではさらにスコットランド独立とロンドン市独立 の動きもある。EC加盟国の動揺も広まり更なる離脱の連鎖も懸念される。国民投票は 正しい選択だったのか、今でも英国内では投票結果を後悔する声が数多く聞かれる。 民主主義とは一皮むけば衆愚政治になりかねない。 3、東京都舛添知事の辞任と小池新知事の誕生。 政治と金で舛添知事が糾弾されついに辞任した。「せこい」が一世を風靡し一時は流 行語大賞かと思われるほどだった。我が8歳の孫でさえ、テレビで舛添氏の顔を見ると 「せこい人」と指をさした。辞任後の都知事選では自民党に反旗を翻した小池候補が圧 倒的な得票数を得て新都知事に当選した。都議会自民党のドンこと内田幹事長の専横 ぶりに対決して次々に改革案をだし、世間の喝采を浴びている。 4、韓国朴槿恵大統領の弾劾訴追成立。 韓国のデモは凄まじい。民間人の親友への国家機密の漏えいを疑われ、連日国内各 地で100万人規模でのデモが行われ、議会の与野党も世論に同調してついに弾劾訴追 案が圧倒的多数で成立した。大統領の職権は停止され憲法裁判所が180日以内に弾 劾決議の妥当性を審議し罷免が決定する。クリーンを前面に掲げて当選した朴槿恵大 統領は遂に失脚した。長年かけて築いた日韓合意が見直される懸念も出てきた。 5、井山名人の前人未到の7連覇と人工頭脳(A1)の進化。 過去にこんな棋士は見たことも聞いたこともない。しかも棋譜を並べてみると、その圧 倒的な戦闘力と読みの深さに驚嘆する。人柄はあくまで謙虚で礼儀正しいが、ひとたび 碁盤の前に座ると思索にふける姿に一変する。まだ誰も言わないが、「呉清源の再来」 といっても過言ではない。 今年遂に囲碁界に異変が起きた。人工知能(A1)が世界最強の韓国棋士イ・セドル9 段を4勝1敗で破るという快挙(?)を成し遂げた。一昔前まではコンピューターが囲碁で 人間に勝つということは考えられない事だった。A1ソフトのディープラーニング手法の 進化がもたらした成果である。「最強の着手は打てるがその着手の意味は分かってい ない。」 という理解不能なコンピューターの恐るべき特性に、これから世界の棋士達は どう挑戦していくのだろうか。興味津々である。 6、世界各地でテロが続く。 中東の紛争は世界各地に飛び火して、今年もトルコ、イラク、ベルギー、フランスなど 各地でテロや自爆テロが起きた。イラク政府軍と反政府軍、イスラム国、バックにはロシ アとアメリカがそれぞれ支援し、複雑で解決の道筋が見えない泥沼の様相を呈している。 仮に政府軍が勝とうとも反政府軍が勝とうとも、その後には独裁政府の出現と殺戮・ 報復の連鎖という地獄絵が待っているだろう。そしてそれを食い止める方策を米露も 国連も持っているとは思えない。イラク国民の苦難と絶望の嘆きは続く。 7、日露首脳会談、北方領土問題解決の道遠し。 北方4島の日本復帰という甘い期待を抱かせたプーチン・安倍両首脳の会談だったが、 獲得した領土は1uたりとも譲らないというプーチンの壁は破れず、領土問題について は最低限の共通認識すら得られず完敗に終わった。期待は水泡に帰した。北方4島で の共同経済活動という実質的な果実だけを持ち帰ったしたたかな「ロシアの熊」の外交 交渉の勝利だった。 「返還への第1歩」と首相は強調したが、ロシアへの経済協力は、2014年のロシアに よるクリミア併合に対する経済制裁というG7の足並みを乱すことになる。「法の支配」 という普遍的な原則を乱すことになる。拙速な急接近は避け、経済協力はG7諸国と 連携を取って慎重になされるべきだろう。難しいかじ取りが要求される。 8、参院選自民圧勝。改憲勢力確保。 改憲勢力3分の2の確保か焦点だった参院選で、自民が圧勝して3分の2を確保した。 どうなる日本、どう出る安倍。それにしても憲法第9条という世界に冠たる理念を改定 する危険に、国民は何故警戒感を持たないのだろう。 9、オバマ大統領広島訪問と献花。 G7,伊勢志摩サミットで訪日中の米オバマ大統領が現職大統領として初めて原爆 ドームと平和祈念館を訪れ、献花と演説をした。お返しは安倍首相の米戦艦アリゾナ 記念館訪問であり東南アジアの戦争犠牲者鎮魂の旅だろう。鎮魂の旅は天皇だけに 任せてはいけない。 10、熊本地震発生。 震度7という神戸大地震に匹敵する大地震だった。熊本〜大分と広く分布して死者 157名、家屋全壊8,200棟、避難者数18万人という東日本大震災並みの被害が出た。 11、豊洲新市場の盛り土問題。東京五輪開催場所変更のゴタゴタ。 豊洲新市場の盛り土問題は「食の安全確保」という視点は勿論だが、はからずも 大組織の弱点を見事に露呈した点で注目を集めた。意思決定のプロセス、決定責任 者の明確化と透明性確保という大企業なら当然のマネージメントシステムが東京都に おいてはなされていなかった事が他人事には思えなかった。 私の過去を振り返れば、この当然のマネージメントシステムは、なすことが当然とは いえ、色々な局面で完璧でなかったと今でも多少忸怩たる思いがある。 それにつけても「知らなかった。俺の責任ではない」と言い訳する石原元知事はじめ 幹部職員の無責任体質には開いた口がふさがらない。単身伏魔殿に切り込んだ小池 知事の剛腕ぶりに敬服した。これでは庶民の人気が上がるのも当然だ。 12、沖縄でオスプレー墜落事故。 かねて安全性を危惧されていたオスプレーが遂に事故を起こして墜落した。幸いに 沖縄島民に怪我がなかったが、反基地、反オスプレーの運動がさらに加速した。 在沖米軍トップのニコルソン在沖米四軍調整官が声明で、「県民や乗務員を守るた めに、意識的に浅瀬に着陸しようとした。褒められこそすれ非難されるべきではない。 」と主張したことに沖縄市民は猛然と抗議した。 沖縄の住民の悲願はいつどんな形で叶うのだろう。交渉相手は沖縄を戦略的な重 要拠点とする米国であり、日米地位協定という法的拘束力であり、沖縄を人質に差し 出して本土防衛を確約した日米安保条約と日本政府である。 その他;、、 米・キューバ国交回復、フィリピン・ドゥテルテ大統領の超法規的大量処刑、南シナ 海の海域紛争、TPP迷走、日銀マイナス金利導入、タックスヘブン、大隈さんノーベ ル医学生理学賞受章、天皇お気持ち表明、民進党旗揚げ、北海道新幹線開業、リオ オリンピックで健闘、日中首脳会談、南スーダン自衛隊員に「駆けつけ警護」任務を 付与、IR法(カジノ法)成立、 |