2015年今年の重大ニュース(国内外編)15,12,31

   「混沌」あるいは「混迷」という文字がぴったりする今年だった。私の3年日記は
  今年の大きな出来事でびっしりと埋まってしまった。今年の重大ニュースは取捨
  選択が難しいので、10項目に絞らずに羅列するにとどめた。後は読者の判断に
  お任せする。

   何といっても国内では、違憲の疑いの濃い集団的自衛権の行使を認める安全
  保障関連法が成立したことである。歴代内閣の憲法解釈が変更され、自衛隊の
  海外での武力行使が可能になった。世界ではイスラム国(IS)が各地で無差別テ
  ロを繰り返し世界中に恐怖を与えた。今年は沢山の出来事があったが、突き詰
  めればこの二つに尽きる。

   自然災害も相次いだ一方、ラグビーワールドカップでの歴史的勝利に日本中が
  沸いた。暮れも押し迫ったぎりぎりの年末、永年の懸案だった慰安婦問題に日韓
  両政府が合意し、今後の日韓協力関係に一筋の光明が見えるという朗報もあった。

   世界中で「答えのない難題」が目白押しの2015年だった。今年の大きな政治決
  断が、暮らしと社会をどう変えていくのか、来年を注視したい。

  1、イスラム国(IS)のテロの猛威と各国の報復。
    ①、年明け早々、ISが仏週刊新聞「シャルリー・エブト」をI襲撃。記者ら12名を
    殺害した。さらに2月には、日本人ジャーナリスト2人の殺害映像を公開した。
    3月には、チュニジア国立図書館で武装グループが銃を乱射し多数を殺害した。
    各地で自爆テロが続き、10月には、エジプトでロシア機が墜落し、ISは爆弾に
    よるテロだと公表した。
    ロシアは直ちにシリア領内でISに対する報復の空爆を開始し、米、仏は空爆を
    一層強化した。しかしロシアのアサド政権支持、欧米の反政府派支持もあり、
    さらにトルコのロシア機撃墜の後遺症もあって統一戦線は一筋縄ではいかない。 

    ②、イスラム教信者のシリア難民が次々に欧州に脱出し、その数は100万人
    以上となっている。受け入れに比較的寛容だったドイツやアメリカを始め各国
    には難民受け入れに拒否反応がでている。日本の難民受け入れも及び腰で
    ある。(モンロー主義、排他主義、利己主義が台頭。)
  
  2、日本の安全保障の変質。
    ①、4月、日米が防衛ガイドラインで合意、日米防衛協力のための指針を抜
    本的に改定した。見落とされがちだが、日米安保条約が極東を対象範囲に
    絞っているのに対し、日米同盟を地球規模に拡大して地域的な制限をなくし、
    米軍支援を拡大して共同で外敵に当たるという改定である。極東の防衛に
    限定した日米安保はこの時点で既に廃案になったに等しい。
    ② 安倍内閣が戦後70年談話を閣議決定、発表。
    ③ 安全保障法の強行採決、成立。海外での武力行使を正式に容認。

  3、環太平洋経済連携協定(TPP)が大筋合意、
    日米など12か国の巨大な経済圏に道筋。世界のGDPの4%をカバーする貿
    易圏となる。関税撤廃で工業製品の輸出は拡大するが、農業や畜産業への
    影響が懸念される。

  4、日韓国交50年を節目に劇的な進展。
    6月に両国で記念式典、11月に日韓首脳会談、慰安婦問題早期解決で一致。
    12月、日韓外相会談で慰安婦問題合意、日本は政府の責任を認め、韓国が
    設立する財団に10億円を拠出する内容。しかし元慰安婦の方々や支援者の
    合意を得ることが出来るか、韓国内では賛否が拮抗し期待と懸念が交錯。
  
  5、消費税増税時の軽減税率、難産の末自公で合意。
    
酒類と外食を除く食品全般を8%に据え置くことで自公が合意。これに伴う
    財源不足は1兆円と見込まれている。それだけ消費者は助かることになるが、
    不足する財源の手当てに高齢者いじめなどの新たな財源探しはご免こうむり
    たい。国会論戦での議論沸騰は必至。

  6、九州電力川内原発1号機が再稼働。
    1年11か月ぶりに日本は「原発0」の状態が終わった。これまでに16原発の
    26基が審査を申請し、関西電力高浜原発3,4号機(福井)と四国電力伊方
    原発3号機(愛媛県)も主な審査を終え再稼働の手続きが進んでいる。
    福島原発の収束もなく、核のゴミの処理も決まらない活火山層だらけの日本
    で、再び原発の安全神話が甦る。

 7、沖縄普天間基地移転問題の先行き見えず。
    遂に政府と沖縄県それぞれが訴訟を起こす異例の法廷闘争へ。国の都合で
    国民がいつも犠牲になる縮図を沖縄に観る。泥沼化。

  8、米・キューバ国交回復。
    米オバマ大統領とキューバカストロ国家評議会議長が首脳会談。1961年の
    国交断絶以来54年ぶりに米キューバ国交が回復した。ケネディ大統領時代
    に「核のボタン」を押す寸前までいった緊迫の一瞬が思い起こされる。

  9、COP21「パリ協定」を採択。
    地球温暖化対策の新たな国際枠組みで合意、日本は「2030年度に13年度比
    26%減」を目標に。アメリカと中国が参加したのは京都議定書と比べて進歩
    と云えるが、依然として法的拘束力がないので、努力目標の域を出ない。

 10、日本人2人にノーベル賞。
    大村智・北里大特別栄誉教授にノーベル医学生理学賞、梶田隆章・東京大
    宇宙線研究所長にノーベル物理学賞。これで日本人の受賞者は24人に。
 
 11、ラグビーW杯で強豪の南アに歴史的勝利。
    世界中を驚かせた日本ラグビー。五郎丸選手のポーズが俄かラグビーファン
    の人気になった。

 12、自然災害が列島を襲う。
    ①各地で噴火や地震が相次いだ。口永良部島・新岳が噴火、箱根(6月)、
     桜島、浅間山(6月)、阿蘇山(9月)。
    ②台風18号の影響で北関東や東北で記録的豪雨をもたらした。鬼怒川の
     堤防が決壊し、茨城県常総市で多数の家屋に被害が出た。

 13、企業の不祥事が今年も起きた。
    ①、東洋ゴム社長免震ゴムの性能偽装問題で引責辞任。
    ② 東芝不正会計で歴代3社長が引責辞任。
    ③ 旭化成建材、杭データ偽装、過去10年で360件も。

 14、東京オリンピックを巡るゴタゴタ。
    ①、新国立競技場の計画白紙に、高額な工費への批判。、
    ②、東京五輪エンブレムの使用中止、デザイン模倣・盗作の疑惑。、
    組織委員会をはじめ、責任回避をする無様な姿が白日の下にさらされた。

 15、アジアインフラ投資銀行(AIIB)の設立。
    アジア、欧州の57か国参加意向。日米は不参加。国際金融市場で中国の
    発言力と影響力が一層高まる。

 16、ギリシャへの金融支援。
    ユーロ圏財務省が860億ユーロの支援を決定し、ギリシャの財政破たんは
    回避されたがギリシャ財政の抜本的な改善の道は遠い。

 17、VW排ガス規制逃れ。

    排ガスの試験は通常、車両を固定してドラムを回して静的に測定する。
    VWは、測定時にハンドルが固定していることを悪用して、「ハンドルが固定
    していることを検知したら、排ガスが意図的に少なくなるように記録する。」
    偽りのソフトを組み込んで測定値を出していた。そのため排ガスの数値も
    燃費も、実力よりも公表値は良く出る。つまりはユーザーを騙していたこと
    になる。詐欺であり隠蔽である。
     対象車は世界中でジーゼル車1100万台に及ぶ膨大な無償の回収修理と
    なり、さしものVWも過去の栄光と信頼を一挙に失った。

 18、中国が1人っ子政策を廃止。
    労働人口減少を止めるため第2子を容認。少子高齢化の急速な進行によう
    やく中国政府は気が付いた。これから今までのツケが来る。

 19、ミャンマーで総選挙。
    アウンサン・スーチー氏の国民民主連盟圧勝。永年の言論迫害を乗り越え
    て、遂に新政権の樹立へ。

 20、中国人民元が主要通貨の仲間入り。IMF決定。
    いよいよ「元」が世界通貨の仲間入り。「円」よりも流通量が拡大し、ドルに
    次いで2位になる。中国の貿易量と元の決済が飛躍的に増大する。

 21、北陸新幹線の長野~金沢間が開通。
    東京~金沢が2時間半の近距離となり、利用客が飛躍的に増加した。 

 22、選挙権年齢変更、満18歳以上に選挙権。  
    若者の政治離れ、無関心層をどれだけ呼び戻せるか、期待したい。

 23、弱小政党の合従連衡の動き。
    維新の分裂を始め、野党が解党と再結集にむけて模索が続く。、

 24、大阪都構想、住民投票で廃案。

 25、マイナンバー配達開始、