2013年今年の重大ニュース(国内外編)13,12,25 屠蘇気分も冷めやらぬ正月早々、1月16日にアルジェリア人質拘束事件が勃発し 日本人10名を含む37人の死亡が確認された。アルカイダ系の武装勢力による犯行で、 襲撃された天然ガス精製プラントの建設に参加していた日本企業「日揮」の犠牲者に は図らずも私の知人の名があった。 物騒な事件で幕を開けた2013年だったが、さらに追い打ちをかける様にソロモン諸 島沖地震(2月)、イラン地震(4月)、中国四川地震(4月)等の巨大地震が起きて多く の人命が失われ、東日本大地震を髣髴させる地球規模の異変が相次いだ。 今年も選ぶのに苦労するほど沢山の出来事が日本や世界中で起きたが、私にとっ ての最大のニュースはトヨタ自動車中興の祖、豊田英二最高顧問が100歳の天寿を 全うされたことである。生前親しく数々の薫陶を受けた私のみならず、グループ社員 すべての人にとっての精神的支柱だった。謹んでご冥福をお祈りする。 1、2020年夏季オリンピックの開催都市が東京に決定。 東京で夏季オリンピックが開催されるのは1964年以来56年ぶり2回目となる。 イスタンブールとマドリードを抑えて「東京」とコールされた瞬間、日本中が湧きかえった。 久し振りの朗報である。これからの7年間で日本と東京がどう変わるのか。日本の総力 を挙げて世界中の人達に、日本人と日本を印象付ける準備が始まる。 復活日本! 2、参議院選挙で自民圧勝。ねじれの解消。 7月、第23回参議院選挙投開票の結果、与党の自民党が大勝し、自公連立与党が 過半数となりねじれ状態が解消された。民主党は惨敗し1強多弱の勢力分布となった。 「決められる政治」になり自民党の政権運営が注目されたが、早くも強引な国会運営の 手法が見え始めた。右寄りのタカ派の本領発揮。 3、東電福島第一原発問題収束の道遠し。 国際原子力機関(IAEA)が福島第一原発のタンクから漏れる放射能を含む汚染水の 国際原子力事象評価尺度を「レベル3」(重大な異常事象)に引き上げると発表した。 汚染水の増加に歯止めがきかず、収容するタンクも造れど足らずの有様で、収束の 目途すら立っていない。汚染水の量も、流出場所も、流出経路もすべて不明という。 東電は福島第一原発5,6号機の廃炉を決定し、これで同発電所の全ての原発が廃 炉になる。しかし廃炉まで3~40年かかると云われその道のりは遠い。燃料棒の取出し も難航を極めている。避難民の帰宅の目途も立たず、汚染土壌の処理も遅々として、 中間貯蔵所の場所も決まらない。福島再生の道は遠い。 一方、東電は2016年度までに柏崎刈羽原発(新潟県)の全7基を再稼働させる予定 で、政府は原発再稼働を容認する含みを見せている。今後の原子力政策は原発容認 と脱原発を巡って大きな議論を呼ぶ事だろう。 4、アベノミクスが一躍流行語に。 「デフレと円高からの脱却」 を目指す安倍首相の経済政策が華々しくスタートし、 キャッチフレーズの「アベノミクス」が一躍庶民の人気となった。柱となる3本の矢(金融 緩和、財政出動、成長戦略)が瞬間的な効果を上げ、株価の上昇、円相場の回復、企 業業績の回復をもたらし始めた。しかし肝腎の3本目の矢の「成長戦略」が決め手に欠 け、公共事業中心でまだまだ役人の作文の感が強い。 政府は2014年度の経済成長率を名目3,3%、実質1,4%と7年ぶりにGDPが500兆円 を超えると発表した。すべては成長戦略の成否にかかっている。しばしの好況感が線香 花火に終わらないことを期待したい。 財政面を見ると日本の借金(国債、借入金、短期証券)が遂に1000兆円を突破した。 社会保障費と復興費がその主因である。膨大な国債の所有者が我が国の国民なので 当面負債は憂慮すべき事態には至っていないが、いずれ借金のツケは少子高齢化の 少子がすべて担う事を忘れてはならない。 5、消費税8%、来年4月から実施。 民主党政権時代、野田首相が執念を燃やして当時の自民党谷垣総裁と渡り合い、 衆議院を通過させた消費税増税案が参議院を通過した。解散と民主党分裂、遂には 民主党の大敗北と自民党一党独裁をもたらす遠因となったいわくつきの法案が成立し、 来年4月からとうとう増税が始まる。 凡そ8兆円と云われる増税の使い道は医療費と社会保障費に充てるのが建前だが、 各省庁は虎視眈々と増税分の取り込みを狙って概算予算を計上している。 現在の社会保障費を維持する為に必要な消費税はおよそ17%だと云われている。 年々増大する社会保障費に充当するためには消費税の増税は不可避だが、どこまで 増加させる事になるのだろう。国の借金の返済と社会保障費の財源をどこに求めれば いいのだろう。無駄の切り詰めだけで成り立つとも思えない。さらなる増税は国民生活 を疲弊させる。いずれも難問である。 因みに2014年度の一般会計を見ると、歳入総額96兆円、うち借金(新規国債)41兆 円、税収50兆円、その他5兆円と歳入の4割は借金に頼っている極めて不健全な歳入 構造になっている。歳出を見ると、社会保障費や防衛費などの基礎的財政収支が73 兆円、償還する国債費が23兆円となっている。 基礎的財政収支の73兆円は税収50兆円では賄えない。2020年までにこのプライマ リーバランス(基礎的財政収支を税金だけで賄う。)を黒字にするのが政府目標だが、 その道は果てしなく遠い。果たして絵物語にならずに実現可能なのだろうか。 6、全国で異常気象。 北九州、中国、北陸、東北など日本海側を中心に局地的な大雨が目立った。東日本 から西日本の太平洋側の一部や九州南部などは記録的な少雨となった。各地で集中 豪雨、竜巻、ゲリラ雷雨があり、突然の災害に襲われて被害が続出した。10月には台 風26号の大雨による土砂崩れで、伊豆大島で17名が死亡、39名が安否不明という大 災害が発生した。 一方で記録的な猛暑日が続き、各地で40度を超え、熱中症の患者が続出した。特に 高齢者には大変な暑さだった。世界中が異常気象に見舞われているが地球温暖化の 影響なのだろうか。日本の四季が変化して春と秋が短く感じるのは気のせいだろうか。 日本は亜熱帯地域になり始めているように思えてならない。 7、特定機密保護法成立。 安全保障に関わる機密情報を漏らした公務員らへの罰則を強化する特定秘密保護法 案が可決成立した。国民の知る権利は守られるのか、秘密指定の恣意性をどう防ぐの か、一般市民が巻き込まれることは本当にないのか、などの国民の懸念は総理の懸命 の弁明にも拘わらず払拭されずに強行採決され、不安と疑惑だけが根深く残った。 どのようにでも拡大解釈が可能な稚拙で危険な法案の成立を急ぐ背景には何があった のだろう。 次に見えるのは集団的自衛権の容認であり、武器輸出3原則の見直しだろう。そして 11月に成立した国家安全保障会議設置法(日本版NSC)と合わせて、来年成立を目論む 国家安全保障基本法の制定により、主要国との強固な軍事情報相互連携体制が完結 する。平和憲法の精神は次第に蝕まれ、改憲への道を進む。 8、食材偽装、次々に発覚。 阪急阪神ホテルの食材偽装が発覚し、その他の有名ホテルや多くの飲食業者が偽装 の存在を公表し謝罪した。高級食材を食べたがる客も頂けないが、客の心理を裏切る 一流ホテルの行為は謝罪以前に「接客ポリシーの欠如」というほかにない。偽装ではなく 「誤表示」だと言い逃れるに及んでは云う言葉もない。 かって日本一接客マナーが優れているといわれた「ザ・リッツ・カールトン大阪」に宿泊 した経験を持っているが、あのホテルでさえ食品偽装があったと聞いては開いた口がふ さがらない思いがした。 9、猪瀬東京都知事、徳洲会裏献金問題で辞職。 東京オリンピック招致成功で得意絶頂の猪瀬知事が医療法人徳洲会グループから 5000万円を受領した問題の責任を取り東京都議会議長に辞表を提出した。 独特の感覚で都政の運営に当たり、430万票もの都民の圧倒的支持を得た猪瀬氏も、 とうとう「献金」か「個人的な借財」かという疑問に明快な弁明ができず、遂に不名誉な 結果を招くことになった。おそらく断腸の思いだったであろう。政治と金は付き物だが、 思いもよらぬ落とし穴が待っていると心すべきだった。 特ダネをモノにし、追及の手を緩めず、遂には猪瀬氏を東京都知事から引きずりおろ した朝日新聞はさぞ快哉を叫んでいることだろう。 10、楽天優勝、マー君24勝無敗。長嶋・松井に国民栄誉賞。 プロ野球界のビッグニュースとして楽天と巨人の朗報を選ぶ。コメントは不要でしょう。 11、中国が一方的に防空識別圏を設定。 中国政府が突然事前通告や協議もなく日本が領有を主張する東シナ海の尖閣諸島 を含む上空を防空識別圏に設定した。日本の防空識別圏と尖閣上空で重複し島の領 有を巡る日中の主張がさらにエスカレートした。米国は尖閣諸島上空にアメリカ空軍所 属のB-52を中国政府に非通知のまま飛行させ、日米共同歩調の姿勢を見せた。 東南アジア諸国も中国の防空識別圏設定に抗議し、中国の勢力範囲拡大に警戒感 を一層強めている。 一方海域でも南シナ海の領有権を巡り中国、フィリピン、台湾、ベトナムがそれぞれ 排他的経済水域をを設定して紛争が激化している。ここでも中国の威圧的な行動が目 立ちフィリピンなどは断固とした反中国の姿勢を崩さない。空も海も中国の動きに各国 が神経を尖らせている。 12その他。 ①、北朝鮮NO2の張成沢国防副委員長が失脚、軍事裁判後即時死刑。 ②、シリア内戦による死者が10万人を超えたと潘基文国連事務総長が発表。 ③、タイの反政府デモが続く。 ④、アルジェリア人質拘束事件。 ⑤、富士山が世界文化遺産に登録。 ⑥、国産新型ロケットイプシロンの打ち上げ成功。 ⑦、みずほ銀行が暴力団に融資発覚。 ⑧、みんなの党分裂。新党”結いの党”結成。 9、 中国の大気汚染 PM2,5が深刻化。 10、JR北海道の不祥事発覚。杜撰な検査体制。 以上。 |