2011年今年の重大ニュース(国内外編)    11,12,27

   国際的に見ても今年の重大ニュースの上位に確実にランクされるのが東日本大震災であろう。
  地震に加えて福島原発事故である。1000年に一度の災害だから世界各地のニュースキャスターが日本に
  集まり被害状況を発信した。地震と津波の復興には多くの課題を残し、原発の放射能汚染は解決まで数
  十年の年月を要することが明らかになった。脱原発の動きは皮肉にもいち早く海外で巻き起こり、スイス・
  ドイツ・イタリアでは原子炉の停止とエネルギー政策の大転換を鮮明にした。
   今年は国内外で沢山の大事件が起きた。とても10項目に選び抜くことはできない。「その他」で項目だ
  け列記したが、決して重要度が低いわけではないので容赦願いたい。今年は極力事実だけを紹介して、
  あえて自分のコメントは控えることにした。論評は読者自身のご判断にお任せしたい。
   来年もまた日誌を紐解きながら、1年の締めくくりとなる重大ニュースを選ぶ楽しみを味わいたいと思う。

 
 1、東日本大震災と東電福島第一原発事故
   3月11日午後2時46分、宮城県沖約130キロを震源とした地震が発生。M 9,0と日本の観測史上最大
  規模の地震となった。死者行方不明者は大津波に襲われた沿岸部を中心に2万人を数えた。震災に伴い
  東電福島第一原発では全電源が停電し、原子炉のメルトダウンが起き、水素爆発で大量の放射性セシ
  ウムが大気に放出された。放射能汚染牛や野菜が日本中に供給され、風評被害が蔓延して生産者を苦
  しめた。土壌が放射能で汚染され地域住民の避難が余儀なくされ、多数の人々が故郷と住家を失った。
  国際評価尺度ではチェルノブイリ原発事故と同じ最悪のレベル7と判定された。被害額はおよそ17兆円。
  震災直後から現在まで政治の不手際が目立ち復旧・復興の足取りは遅い。

 
 2、欧州の財政危機拡大
   巨額の財政赤字を抱えるギリシャの財政危機がスペイン、イタリア、ドイツなどの欧州各国に波及し、
  ユーロ圏全体の信用危機に発展した。各国の国債は軒並み元本割れとなりイタリア、スペイン、ドイツの
  国債利回りは軒並み高騰した。ユーロ為替相場は乱高下し、自己資本不足の銀行による貸し渋りで欧
  州経済活動が停滞し景気後退の長いトンネルに入った。EU首脳は厳しい財政規律を各国に課す新条約
  の締結で合意したが危機終息の展望は開けていない。EUの景気後退と円高ユーロ安は日本や中国か
  らの輸出の減少と収益悪化をもたらし、中国は中小企業の倒産などの影響も出始めている。

 
 3、菅首相退陣、ドジョウ野田内閣の誕生
   退陣表明から3か月も居座り続けた菅首相が退陣し、ドジョウらしく泥臭く政治を前進させると表明した
  野田内閣が誕生した。失言の目立つ閣僚の更迭など指導力を問われながら、日本の経済財政の再生を
  図るためTPP参加、消費税増税を打ち出したが、国論を真っ二つに二分している。離党者も出始め民主
  党の土台骨が揺らいでいる。

 
 4、中東に民主化の波、リビアのカダフィ大佐死亡。
   1月のチュニジアの政変(ジャスミン革命)をきっかけに民主化運動「アラブの春」が中近東全域に広が
  り、中東・北アフリカのアラブイスラム社会の独裁国に影響が広まった。国家による国民の虐殺と圧政に
  抗議するデモが各地で頻発(アルジェリア、ヨルダン、エジプト、バーレーン、リビア、イエメン、サウジアラ
  ビア)して中東の流血が続いた。チュニジアの怒りの連鎖である。チュニジアでは強権的なベンアリ政権
  が崩壊。エジプトではムバラク政権が倒れ、リビアでは最高指導者カダフィ大佐が反体制派との戦闘で
  射殺された。シリアのアサド政権は反体制デモの弾圧を続け4千人を超える死者を出し、国連人権理事
  会から「人道に対する罪」と糾弾されている。

 
 5、米国特殊部隊がビンラディン容疑者を殺害
   米特殊部隊は5月、パキスタンの首都イスラマバード郊外で、国際テロ組織アルカイダの指導者ウサマ・
  ビン・ラディン容疑者の隠れ家を急襲し殺害した。米国は01年の同時多発テロの首謀者として行方を追っ
  ていた。アメリカの中東戦争への介入がようやく収束に向かった。

 
 6、北朝鮮の金正日総書記が急死、世界に波紋
   北朝鮮の最高指導者、金正日総書記が12月17日死亡した。1948年の建国以来同国を率いた父親の金
  日成主席から権力を継承し2代にわたって北朝鮮を統治した。3男金日恩を中心とした後継体制が混乱な
  くスタートできるか、同国の核兵器・ミサイル開発や拉致問題がどうなるか、対韓・対中・対日・対米の外交
  姿勢、6か国協議への対応が注目される。

  
7、円が戦後最高値を更新、円売り介入、輸出産業苦境に
   震災直後、16年ぶりに戦後最高値を更新、円売り協調介入で85円台に戻したが、欧州危機が深刻化し
  た10月末には1ドル=75円32銭と再び更新した。政府は単独介入したが超円高は常態化し、輸出産業は
  大打撃をこうむっている。国際競争力の低下・海外への企業移転・日本の雇用問題の深刻化が懸念され
  る。

 
 8、タイで大洪水、日本企業が操業停止
   7月から続いた大雨の影響で、タイ各地で大規模な洪水が発生した。10月には日系企業も多く入居する
  アユタヤ県やパトウムタニ県の工業団地が浸水。自動車・電子機器メーカーに部品を供給する企業の工場
  が11月中旬まで操業を中止した。その影響でトヨタやホンダなどの自動車メーカーも操業停止を余儀なく
  され、生産や販売の影響が全世界に広がった。

 
 9、サッカー女子W杯、なでしこジャパン世界一
   7月にドイツで行われたサッカーの第6回女子ワールドカップ(W杯)で日本代表「なでしこジャパン」が米
  国を破って初優勝。欧州勢以外での初制覇で、チームには国民栄誉賞、紫綬褒章が贈られた。全国民
  が深夜まで寝不足になってテレビで熱狂的に応援し、国民は勇気と感動を与えられた。

 
 10、東電が初の計画停電、夏は15%節電
   電力不足で東電は震災直後から、地域ごとに電気を止める「計画停電」を初実施。7月には東電と東北
  電力管内で約37年ぶりの電力使用制限令が発動され、大企業は15%削減を強制され、民間は15%削
  減を努力目標にされた。自動車メーカーには輪番休業するなどの影響がでて、各家庭は毎日東電が発
  表する停電予定日に合わせる生活の日々が続いた。停電予定場所と時間は計画通り実施されず、いつ
  の間にか停電自体が解消してしまった。

  
11、その他
   @宮崎・鶏インフルエンザ拡大、韓国での家畜疫病の拡大 A新燃岳噴火 B北陸・日本海側で観測
   史上最大の積雪量 Cアジアカップサッカー優勝 D民主党小沢元代表逮捕 E大相撲八百長問題で
   激震 Fニュージーランド南部大地震 G東北新幹線”はやぶさ”走る H平泉・八丈島が世界遺産に
   認定 I中国新幹線脱線 11、地デジ全面移行、12、オリンパス、大王製紙の不祥事 13、大阪市
   長選・府知事選で維新の会圧勝 14、政府要請で浜岡原発停止、九電ではやらせメール発覚。