2007年今年の重大ニュース。(国内外編)     07,12,30、
  今年の世相を代表する漢字一文字は「偽」でした。揮毫した清水寺の管主様は勿論、日本人の全てがこの国の
  自堕落振りを嘆いたに違いありません。政において然り、官において然り、業において然り。数年前から指摘して
  きたように、「虚栄〜虚偽〜隠蔽」の連鎖がとめどなく続き、それが政官業の全ての分野に蔓延しているのです。
  国家の品格を取り戻すことが果たして出来るのか。又その日は来るのか。幕末ならぬ平成の志士達よ、何処に
  ありや。我は野にいてただ嘆くのみである。
          ”かたつむり 登らば登れ 富士の山。”

 
1、安倍首相突然の辞任と福田首相の誕生。
  <蛇足>施政方針演説でわが国の舵取りの方針を堂々と披瀝した直後、突然首相の座を投げ出して入院して
  しまうとは、過去に全く例のない宰相で、正に言語道断、政治家はおろか人間としての資質を問われてもいたし
  かたない。最近は都合が悪くなるとすぐに責任回避、責任転嫁をする女々しいトップが各界に増えているが、こ
  の退陣劇はまさに現代の風潮を象徴的に示すあきれた茶番劇でした。東京駅で襲撃を受け重傷を負いながら
  なお国会のひな壇に登り続けた浜口雄幸ライオン宰相に見習うべきであった。病気が国政の停滞になると仮に
  認識していたら、当然施政方針演説の前に退陣すべきであった。進軍ラッパを鳴らした直後に大将が突然敵前
  逃亡する事は断じて許される行為ではない。常々政治家の出処進退は自ら決めるべきものと云っていた安倍
  氏の、あまりにもあきれるまでの出処進退劇であった。 

 
2、松岡利勝農水相事務所経費で追い詰められ自殺。
  <蛇足>自殺は逃避の最も卑怯な手段だということを本人は理解していなかったのか。近年の小中学生がいじ
  めから逃避して自殺する風潮が問題になっているというのに、範を示すべき政治家の先生が最も卑劣な逃避の
  方法を自ら実践してみせるとは、死者に鞭打つようだが、同情に値しない恥ずべき行為だと知るべきだ。順風満
  帆の人生を送り、周りからちやほやされて育ったエリートほど打たれ弱いというべきか。首相の病気雲隠れと表
  裏一体をなす逃避事件であった。

 
3、大連合構想で民主党小沢一郎代表の辞意騒動
  <蛇足>大連合の是非、黒幕渡辺恒雄の介入の是非はさておき、小沢一郎民主党党首の去就もまた見っとも
  無い茶番劇だった。男が一旦辞任を決意し満天下に公言したならば、それを貫くのが党首のけじめであり政治
  家としての国民に対する約束の履行というものだ。朝令暮改を潔しとしない、説を曲げない”男・小沢一郎”の筈
  だったがどうした小沢さん。もっとも、辞意表明そのものが党幹部に対する駄々っ子のすねた我侭のようにも見
  えて頂けたものではなかったが・・・・。いずれにせよ”豪腕小沢、老いたり”の感は否めない。
   ここで取り上げた1,安倍首相〜3,小沢代表までの3件の逃避劇は、いずれも違った形の責任回避の形だが、
    どの形も責任のとり方としてはふさわしくなく、現代の青少年に及ぼす悪影響が計り知れない代表例だ。

 
4、国内外で言論封殺のテロ事件勃発。
  <蛇足>年明け早々長崎市長伊藤一長氏が市長選挙のさなかに山口組系暴力団幹部に射殺され、暮れも迫
  った12月、パキスタンのプット元首相が選挙演説直後に凶弾に倒れ暗殺された。90年に本島市長が右翼に襲
  撃されて以来、長崎で再び言論に対する無謀な挑戦が再発したことになる。パキスタンでの襲撃は、テロ自爆と
  いわれ真相解明はまだ闇だが、影にアルカイダが見え隠れしている。伊藤氏にしろプット女史にしろ、選挙戦さ
  なかに平和と民主主義を民衆に訴えた直後の暗殺であり、暴力による言論の圧殺、言論への重大な挑戦とい
  うべきだ。歴史を辿れば奈良・平安の昔から維新前夜、そして明治・大正・昭和・・平成に至るまで、政治、言論
  に携わる人たちへの無謀な暴力と、それによる犠牲者のなんと多かった事か。志半ばで凶弾に倒れた憂国の
  士たちの無念を思い、ただただ冥福を祈るのみである。

 
5、防衛省汚職事件発覚。守屋事務次官逮捕。
  <蛇足>背広組のトップ守屋元次官が兵器商社山田洋行との”産軍癒着”で夫人ともども逮捕され、さらに元
  次官の国会証言により政界の関与にまで波及し、給油再開立法の審議が難航した。兵器ゆえの巨額な調達
  金額、兵器ゆえの調達の密室性から、防衛庁の兵器調達疑惑はあとを絶たない。守屋元事務次官1人の汚
  職事件ではなく兵器調達の仕組みに群がる利権関係者の汚職構造の一端と見るべきで、氷山の一角と捕ら
  えるのが妥当というべきだろう。山崎豊子の”不毛地帯”ではロッキード、グラマンの機種選定・利権をめぐっ
  て政官業の凄まじい主導権争いと癒着、贈収賄が描かれているが、今日の商社と防衛省の癒着振りを見る
  と、まったく当時と変わりない様相が窺がえて暗澹たる思いがする。

 
6、参議院選挙で自民・公明連合の敗北と”ねじれ国会”の混迷。     
  <蛇足>政治資金処理で閣僚が相次いで辞任し、加えて閣僚の失言が続いだ直後の参院選では自民党に勝
  ち目はない。民主党の躍進は自民党が勝手に自滅したためで民主党が支持された訳では決してない。ともあれ
  参議院で野党が過半数を占めたことで、”ねじれ国会”が生まれた。自民・民主両党とも対決姿勢をとり続ける
  限り法案は1本すら通らない現象がおきることになった。早期衆議院解散か、両党合議で法案を通すか、衆院
  優先を拠り所にした自民の強行採決か、政界再編成(大連立)か、このいずれかしか選択肢はありません。大
  連立が大山鳴動して頓挫したあと、さあどうする、次の手は。

 
7、宙に浮いた国民年金5000万件。社会保険庁の怠慢。
 <蛇足>”来年3月までに5000万件の未照合の年金記録を全て精査し、最後の1人に至るまで必ず支払いま
  す。これが政権党の約束です。”と明言した参院選の自民党公約を、そのまま文字通り受け止めていたのが国
  民の大多数だと思っていたら、それは国民の勘違いで誤解です。そんな公約をした覚えはありません。誤解を
  招くような言い方をしたとすれば謝罪します。とのことでした。国民の大多数は国語の勉強が足りないらしいで
  す。誤解などしないように国語の読解力を高めなさいといっているようです。自民党と社会保険庁のお偉い方々
  に安心してもらえるように、国民の皆さん、せっせと国語の勉強をしましょう・・・。世の中何を信じたらいいので
  しょうか。お先真っ暗ですね。

 8、サブプライムローン問題が世界経済を直撃。
  <蛇足>アメリカの低所得者向けサブプライムローンの破綻が世界的な金融不安を招いている。アメリカ経済
  がバブルの頃に家を持った低所得者が、バブル崩壊でローンを返済できなくなり、ローンの証券化商品を大量
  に持っていた金融機関(シティバンクほか邦銀)の収益が悪化し、これに嫌気をさした外国人機関投資家が日
  本株を大量に手放し、引き上げた資金を値上がりが期待できる原油市場に投入した結果、大幅な株安を招い
  たのです。年末の株価は年初から2000円も安い15200円と5年ぶりに年初を下回りました。日本の証券市
  場の取引高の6割にあたる600兆円を占める外国人投資家の去就は、日本の株価にいつも大きな影響を与
  えます。サブプライムローン問題で日本の株価は世界で最も影響を受けた事になってしまいました。

 
9、相次ぐ食材偽装と賞味期限偽称。
  <蛇足>ミートホープに始まり、北の恋人、不二家、吉兆、赤福、崎陽軒にいたるまで次々に偽装問題が発覚
  し、連日これらの会社トップが頭を下げる光景がマスコミを賑わした。日本偽装列島一色、「政の偽」に負けず
  劣らずの「食の偽」であった。しかし一方では期限切れの商品を全て廃棄することが果たして適正な処理かに
  ついて疑問の声も聞かれた。まず第一に賞味期限切れでも十分食べられること、産廃物増大につながる事、
  食糧不足で餓死する人々が沢山いることへの心の痛みなどである。昔は自分の舌が賞味期限切れかどうか
  の「審査員」で日付などは必要なかったのに、今では表示頼みの時代になってしまいました。

 10、切迫する地球温暖化の危機

、 <蛇足>この夏、岐阜県多治見市、埼玉県熊谷市で40,9度の日本最高気温を記録した。世界各国で大水害
  や旱魃など異常気象がもたらす被害が続出した。京都議定書にはアメリカ、中国や発展途上国などが数値目
  標に反対して批准せず、温暖化は確実に進んでいる。二酸化炭素など温室効果ガスの削減を先進国に義務
  づけた初の国際協定、京都議定書の約束期間が1日から始まる。2012年までの先進国の平均排出量を90
  年比5%減らすとした目標の達成をめざす期間で、温暖化を食い止める国際社会の取り組みの第一歩となる。
  将来はさらに厳しい削減が必要とみられており、この5年間の成果が、地球環境の行く末を占うことになる。
  12月のインドネシア・バリ島で開かれた気候変動枠組み条約締約国会議(COP13)では、日本はついにアメ
  リカに同調して京都議定書の切れる2013年以降の数値目標設定に反対し欧州連合(EU)から顰蹙を買った。
  この夏カナダを訪れた時、3000m級のカナディアンロッキーに広がる沢山の大氷河を見てきたが、何十万年
  前に形成された大氷河が温暖化によって無残にもかなり氷解しており、近年進み具合が特に急だと案内人が
  説明してくれた。将来の子孫に良い環境の地球を渡す義務が全世界の地球人にあることを、全世界が利害を
  超えて自覚し努力して欲しいが、その進展は依然として遅牛の歩みである。

 11、その他。
  @オイル高騰に拍車をかけるドル下落と金融投機。A中越地震震度6。世界最大の柏崎狩原発が長期運転休
  止。B人工多能性細胞(jPS細胞)の創出。(京大)C郵政民営化でゆうちょB&かんぽ生命スタート。D横綱
  朝青龍の出場停止処分と時津風部屋のリンチ死亡事件。E東国原秀夫宮崎県知事誕生。Fトヨタ、GMを抜い
  て自動車生産高が世界一に。

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