05年、今年の10大ニュース(国内・国際編)
  

   今年も振り返ってみると国内・国際政治経済や産業界の出来事で特筆すべき事柄が沢山 ありました。特に今年憂慮すべ
  き社会面の出来事としては幼児・学童の虐待・誘拐・殺人事件の続発があります。、病める日本の新しい病巣が浮かび上が
  ってきた感があります。 耐震強度偽装建築問題など、昨年に引き続いて「虚偽」「隠蔽」をキーワード とする事件も横行しま
  した。今年取り上げた事件はすべて個人のモラルの問題だけでなく組織的、構造的な「仕組み」の問題として捕らえねばなら
  ない点で共通しています。一段と厄介で始末におえない事件の多発と言うべきでしょう。10大ニュースに絞り込むのが至難
  のためその他として10項目ほど付け加えておきました。見方によってはこちらのほうにウエイトを置く読者もいるでしょう。
  それはそれで大変結構なことです。


 1、JR宝塚線(福知山線)脱線事故。
  運転手を含む死者107人、負傷者550人の大惨事が起きました。繰り返される鉄道事故。JR西日本の社長が陳謝し再発防
  止を約束するシーンが何度も放映されたが、根本体質にある効率至上主義、競争に勝ち抜くための過剰な顧客重視、それ
  を支える日本特有の精密・過密ダイヤが真因であることは論を待ちません。
  私は今年9月にJR草津線の貴生川駅を訪れました。この駅は第3セクターの信楽高原鉄道の始発駅で、去る平成2年JRの
  電車と正面衝突して死者40数人を出した大惨事の場所でもあります。この時の事故責任問題はようやく裁判所で結審しまし
  たが、効率重視のための両社の人員配置の手薄さが事故の根底にあったことは間違いありません。再発防止を約束しなが
  ら繰り返される鉄道事故。人命尊重(安全)と効率主義(収益)を天秤にかけた末に事故が繰り返されては乗客は堪らない。

 2、耐震強度設計偽装事件。
  設計事務所、建築施工会社、販売会社、国指定確認検査機関、コンサルタント会社、国土交通省、それぞれがそれぞれの
  思惑で絡み合い凭れ合って世紀の偽装事件に発展しました。姉歯秀次建築士が耐震強度を偽装して建築されたマンション、
  ホテルは判明しているだけで全国で70件に及びます。事件関係者は自分の責任を逃れる弁明に終始しトカゲの尻尾きりの
  様に姉歯建築士だけを悪者に仕立ています。黒澤明の「悪い奴ほどよく眠る。」を見ているような筋書きです。巷間うわささ
  れるヒューザー小嶋社長の森派への政治献金と政界との癒着が事実だとするとさらに事件の真相は藪の中に入りそうです。
  ’90年代バブル崩壊後の建設不況、神戸大震災を教訓とした建築基準法の改正と検査機関の民への移管、不況からの回
  復とマンションブーム。この間で政と業になんらかの利益誘導があったのかどうか。建築業界には昔から「元請」〜「下請け」
  という縦の構造がありこれがしばしば談合などの悪の温床になることが多く今回もその例外ではありません。発端はともあれ
  ここまで事件が拡大した大きな要因の一つは、国の建築確認許可機関が検査機関としてまったく機能していなかったことに
  あります。しかしかといって国の審査体制を’90年代に戻して厳しく再構築するのは「民の時代」の流れに逆行します。また
  建築に携わる業者群に「人命尊重」のモラルを改めて求めて済む問題でもないでしょう。「経済設計」といわれますが「コスト」
  とは単に建築に要する直接コストではなくメンテナンスを含む「ライフサイクルコスト」と考えるべきです。これを徹底させる行
  政の指導を徹底してもらいたい。鉄道事故の教訓と同じく、人命尊重(安全)と効率主義(収益)の犠牲になった住民の救済
  と再発防止に課せられた行政の命題は限りなく重い。

 3、ライブドア、楽天、村上ファンドの大量株取得と企業防衛の攻防。
  昨年に引き続き六本木ヒルズの若き成功者達の動向が話題となりました。ライブドアとフジテレビ、村上ファンドと阪神電鉄、
  楽天とTBSとの間で繰り広げられた株式取得による経営参画の攻防です。 『株式会社が市場から資金を調達する仕組み
  として「株式の上場」があるのだから、どんなに株を買おうともそれは正当な行為であり非難には当たらない。まして大量の
  株取得による経営権の掌握でその企業の業績拡大が期待でき、株主にもメリットを還元できるならば、投下資本を効率的
  に運用する立場から言えば至極当然の行為でありそれが資本の論理というものです。』 これが若きマネーデーラー達の
  基本的に共通した認識です。これに対して狙われた企業経営者たちは資本調達の世界に「義」と「信」を求めます。「資本
  と経営の分離」が資本主義の基本でありながら日本的経営においては資本は「物言わぬ株主」として認識され、資本家は
  株主総会で初めて目前に現れる存在に過ぎませんでした。近代化の陰に温存された日本的な通念と慣習の間隙を衝かれ
  た今回の一連の騒動は日本の古い経営者に「自分の城は自分で守れ」の言葉の重みを改めて認識させることになりました。
  
 4、小泉自民党の総選挙圧勝と郵政民営化法の成立。
  郵政民営化法案の参議院否決をきっかけとした強引な衆議院解散と総選挙の圧勝は、小泉劇場と言われるほどに世論を
  完璧に読んだ強引で鮮やかな政治感覚だったし、党内の反対派を一掃し小泉一色の自民党に変身させた一大ドラマでも
  ありました。小泉首相の内外政策への賛否、、あるいは人柄に対する好き嫌いはさておき、歴代首相のなかで特筆すべき
  異色の首相であることは間違いありません。総理退陣後どのような「小泉内閣の評価」になるか興味がありますが、ある識
  者は小泉内閣を「9:11以降のアメリカを基軸としたサブシステム」だと評価していました。外交においてはアメリカ追従一本
  やり、内政においては「強者の論理」の徹底がそれです。その結果は国連において東アジア諸国はことごとく日本の提案を
  拒否するなどアジアの孤児となる始末でした。絶対過半数をばねとした憲法改正への着々とした歩み、靖国参拝の是非を
  めぐっての対中国、対韓国との外交確執など、沢山の危険因子を抱えた絶対君主ですが、「白」と「黒」の他にも違った「色」
  があることを知って欲しかったし、歴史に学び人に学ぶ謙虚な心を持って欲しかったが、時既に遅し、「歳月人を待たず」で
  しょう。彼を諌め翻意させ得る優れた人脈・ブレーンがついに登場しなかったことが小泉純一郎の最大のウイークポイント
  だったと言えそうです。

 5、黒田慶樹さんと清子内親王がご結婚。女系天皇・女性天皇肯定の動き。
  爽やかな婚礼でした。美智子皇后様のいたわりの言葉が大変印象的でした。黒田さんの父慶二郎さんはT社東京事務所
  (現在の東京本社)勤務時代からの私の仕事仲間でした。鷹揚でゆったりとした物腰としゃべり方には品があって凡庸な私
  などは少し卑屈になったものです。父親に似た新郎のそぶりにはとても懐かしくほほえましい思いがしました。
   女系天皇・女性天皇の肯定の動きが本格化して有識者会議からの提案もあり、来年の国会で本格審議されることになり
  ました。世論も概ね賛成なので多少の紆余曲折があっても成立することになるでしょう。
 
 6、大型ハリケーン「カトリーナ」来襲。ニューオーリンズを直撃。
  死者は1000人を超え経済的損失額は2000億ドルに達しました。人種問題も背景に略奪、暴行が横行し世界一の文明国が
  しばらくの間無法状態になりました。ブッシュ政権の対応遅れには米国民の不満が爆発し支持率も大幅に低下しました。昨
  年12月のスマトラ沖地震(死者22万人以上)、今年10月のパキスタン北部大地震(死者8万人以上)など、近年の自然災害
  の被害は極めて甚大なものがあります。


 7、東証、みずほ証券の珍事件。
      みずほ証券が誤ってジェイコム株を「61万株で1円。」として売却注文し取り消しの処理が出来ずにいる間に大量の買い注
   文が成立し多額の損失が発生しました。みずほ証券がジェイコム株の誤った大量売り注文で巨額の損失を出したのは、同
   証券が大半の株を買い戻すまでの「悪夢の10分間」が原因でした。誤発注の取り消しをシステム障害が阻み、売買停止に
   踏み切らない東京証券取引所の判断が傷口を広げました。その間に、国内外の証券会社やインターネットを通じた個人投
   資家が同株に殺到し400億円もの「利益」がばらまかれました。 同業者間のミスにつけこむ仁義無きあくどい利ざや獲得、
   東証の度重なるシステム不備と無能さを示した証券業界の珍事件でした。
  
 
 8、地球温暖化に関するモントリオール宣言。
   11月、カナダ・モントリオールでcop11が終了。京都議定書で決議された期限の2013年以降の枠組み交渉を継続して取り組
   むことが決議されました。しかし米・豪をはじめ発展途上国の不参加問題が持ち越されたままで、数値目標の未設定や各国
   の具体的対応策の遅れが目立つなど懸案課題が山積したままになっています。こうした状態が続いている最中にも確実に
   地球温暖化は進んでいます。このまま放置すると2100年には大気中のCO2濃度は現在の2倍以上、温度上昇は5,8度と
   IPCCは予測しています。正に深刻な事態で一刻の猶予も出来ない人類存続の最大課題であることを皆承知しているのか
   どうか私には不思議でなりません。大国、途上国とも小異を捨てて大同につく心構えを是非示して欲しいものです。
  
 9、日本の二大自動車メーカーが好調。
  @日産:中期計画「日産180」の完全達成。

     2002年2月にゴーン社長が日産リバイバルプラン終了後の新3ヵ年経営計画として発表した3大公約をすべて達成しまし
     た。コミットメントの内容は、(1)2004年度末までにグローバル販売を100万台増。(2)連結売上高営業利益率8%を達成。
    (3)実質有利子負債を0(ゼロ)にする。の3つでしたが(2)と(3)は02年度に2年前倒しで達成済みで、(1)の100万台増
    は最も難しいと言われていました。しかし本年10月この目標の達成を発表したことにより、ゴーン社長のコミットメントはす
    べて達成されたことになります。我が好敵手日産は質量ともに完全に健全体質に戻ったようです。(注:04/10〜05/9まで
    367万台。対01年度比プラス108万台)
  Aトヨタ、GMを抜いて世界第一位に。(06年度世界生産計画台数906万台と発表。)
    15年前に「世界販売600万台体制の確立」と標榜して全世界から叩かれたのがつい昨日のような気がします。地球上に
    人間がいる限り利便性のある自動車は人々に求められ愛され続けます。「有資源」、「温暖化」というキーワードを克服す
    る限り。そしてこれに打ち勝つメーカーだけが生き残ります。熾烈な戦いは世界戦となってまだまだ続く・・・。

 10、カリスマ企業王国の崩壊と危機。
  @西武「堤王国」の崩壊。

    東京地検はカリスマ会長堤義明氏を証券取引法違反で逮捕しました。また遺産相続を巡って肉親の内紛が激化しました。
    再建を巡って開かれた西武鉄道グループ各社の臨時株主総会は、グループ持ち株会社「西武ホールディングス(HD)」
    設立をいずれも承認し、堤義明・前コクド会長による創業家支配から離れてグループ再建を進めることになりました。西武
    の象徴的存在の横浜プリンスホテルや高輪プリンスホテルの売却もうわさされるなど後藤新社長の手腕がこれからの見所。
  Aソニー創業者の盛田家の斜陽。
    ソニー創業家「盛田家」の資産管理会社として故盛田昭夫名誉会長の長男秀夫氏が社長を務め、かってはソニーの筆頭
    株主だった食品販売会社「レイケイ」が倒産しました。妙高のスキー場の多額の赤字、F1事業の失敗などで資産を減らし
    続けてきた「レイケイ」は、追い討ちをかけるようにこの3年間で228億円の申告漏れを東京国税局から指摘され、追徴課
    税を受けた後の今年8月ついに会社を解散する事態となりました。愛知県で酒造会社を営む名門盛田家が、急成長した
    ソニーの株配当に頼って本業の酒屋をおろそかにしないように資産を分離したのが「レイケイ」設立の趣旨だったそうです
    が、ついに創業者の故盛田昭夫名誉会長の名誉と威信を傷つける出来事となり盛田家の斜陽ぶりを天下に露呈する羽目
    となりました。

 
 11、その他。
  @アスベスト禍表面化。 A橋梁工事談合事件、道路公団副総裁逮捕。 B混迷イラク情勢(米兵の死者2100名を超える)。
  Cロンドン無差別テロ。Dロッテ優勝、朝青龍年間完全制覇。、愛ちゃん、真央ちゃんの活躍。 E来年度一般会計予算80兆
  円を切り(8年ぶり)国債発行額も30兆円を切る(5年ぶり)。しかし定額減税の廃止など2兆円を超える増税。F学童の誘拐・
  殺人事件多発。父兄震撼。G宇宙衛星スペースシャトル”ディスカバリー”打ち上げ成功。野口さん無事帰還。Hイスラエルの
  ガザからの撤退。I衛星「はやぶさ」の「イトカワ」着地。

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