2021年 初釣り雑感。           21、01,15

   コロナが猛威を振るっていて外出はままならないが、ここが我慢のしどころだろ
  う。コロナが日本に上陸してちょうど1年になる。まだまだ長い戦いが続く。

   囲碁の形に「鶴の巣ごもり」というのがある。囲碁を知っている人なら有名な形
  なのでご存じだろうが、何故そう呼ぶのかは謎である。想像力に乏しい私には
  この形が巣に入っている鶴の姿とはどうしても思えない。兎に角、家に引き込ん
  でばかりの生活は、なぜか「鶴の巣ごもり」という表現がピッタリだと思ってしまう。

   遂に我が葉山でもあちこちでコロナ感染が起きているらしく、町民は枕を高くし
  て眠れない日々が続いている。こんな田舎町にコロナ菌が来るとは思いもしな
  かった。古い言葉で言えばまさに敵前上陸の様相である。

   こんなご時世に釣りに行くなんて非国民だと眉を顰める方も多かろう。しかし
  釣り船屋は、感染対策は万全だからぜひ来船して釣りを楽しんでくださいと誘い
  に来る。彼らも生活が懸かっているから必死である。

   私は昨年の病気入院などがあって、9月から釣りに行っていないのでかれこれ
  5か月もご無沙汰で、ひところのような中毒症状は消えたが、それでも時々ネット
  で釣果を見たり、釣友と話していると釣りに行きたい衝動に駆られる時がある。

   ネットの釣果によると、今は太刀魚がだいぶ上がっている。アジは釣れていな
  いようだ。しかしコロナの影響で客足はいまいちらしく釣り船屋は困っている。
  彼らには国の休業補償金が支給される理由はないので、ひたすら客が来るまで
  耐えるしか道はない。

   冬眠していた生き物たちが長い眠りから覚め、活動を始める時期を二十四節
  気では「啓蟄」という。今年の啓蟄は3月5日だから、まだまだ「土の中で冬ごもり
  している虫」がもぞもぞ這い出すには早すぎるが、海も同様で、今どきは魚は海
  中にじっとしていて3月ごろからようやく活発にえさを求めて釣れ始める。

  今はいわば魚の冬眠期で、「海の啓蟄」には少し早すぎるのである。こんな時期
  に釣れる魚はそうはいない。

   釣り愛好者たちは「海の啓蟄」を待ちきれずに、そして「鶴の巣ごもり」を抜け
  出したくて、もぞもぞと釣りの準備を始める。気の早い人は待ちきれずに早々と
  厳冬の中を釣りに出かける。

   私も、ついつい釣り竿を並べてあれこれ想像を逞しくし、アジやタチウオやメバ
  ルの仕掛けを作り始めて満を持して暖かくなって出番がくるのを待っている。

   このところ関東周辺の気候は寒暖を繰り返している。日中15度を記録して3月
  下旬並の暖かさから一転して4~5度位の寒さの時もある。三寒四温は春先に
  起きる現象だが、一足早い三寒四温の訪れである。

   こんな温かさでは釣りの虫がうずうずして遂に太刀魚に出かけることにした。
  太刀魚釣りの好きな学友も同じ気持ちらしく、以心伝心期せずして気持が一致
  して同行することになった。

   天気は上々、無風快晴で海風が心地よい。外出自粛の地上と違って海上に
  コロナ菌がいるとは聞いていないが、釣り客全員マスクをしての釣りである。
  指4本から5本の粒ぞろいの良型のタチウオを6本も釣り上げた。

   船宿の女将が、太刀魚の味噌漬けも美味しいよというので、定番の刺身と
  バタ焼に加えて味噌漬けも作ってみた。なかなかの味だったのでこれからの
  レパートリーに加えるつもり。

   2本はいつも世話になっている会社の後輩に届け、2本は娘家族にあげた。
  娘婿さんが孫と一緒に来宅して持ち帰ったが、コロナ感染の予防のため、
  家には上がらず玄関で魚を受け取り帰って行った。孫達と顔を突き合わせて
  歓談できる日が待ち遠しい。兎に角コロナには気をつけなくちゃ。