シロギス釣り。    19,06,26

   初夏から夏にかけての海釣りの風物詩はシロギス釣りである。
  シロギスは、別名「海の女王」とも「海の白雪姫」ともいわれ、釣り上げたときの煌めく
  銀鱗は例えようもなく美しく、まさに釣り人の醍醐味といえる。

   シロギスは釣れるのは20㎝前後が大半で、最大で30㎝ほど。大ものは「ヒジタタキ」、
  小ものは「ピンギス」と呼ばれる。

   シロギスの産卵期には10mより浅い場所にも群れが入ってくるので特に釣りやすい。
  子供たちにも釣りやすい魚なので、このシーズンは相模湾でも東京湾でもキスの釣り
  船で賑わう。

   食べ方は大きなものは刺身。フライも美味しいが何と言っても天ぷらが最高である。
  スダチを振ってそのまま食べてもよし、カレー粉を少しつけて食べてよし、塩もよし、た
  っぷりの大根おろしで、少し薄めの天つゆで食べるのは定番である。

   その昔、銀座の高級天ぷら屋の「天一」や、池波正太郎が愛した「てんぷら近藤」な
  どの上品な天ぷらの味は忘れられないが、値段が高級すぎて庶民は立ち寄れない。
  社用族の行く店である。「天ぷら阿部」の天丼も忘れられない老舗の味だった。

   横浜、関内駅徒歩1分の「天吉」の「濱天丼」も、伝統の丼タレの味がおいしく昔から
  地元民には人気の店だが、最近私には少し味が濃くなった気がして敬遠している。

   地元の鎌倉の小町通入り口にある「てんぷら ひろみ」の職人気質丸出しの親父の
  揚げる天ぷらは絶品で、遠く東京から通ってくる客もいる程ファンがいた。

   2代目になってから昨年久しぶりに訪れて食べたが、さほど印象に残るほどでもなく、
  店構えも往年の雰囲気がなく味気なくなった。
  若いころエビのしっぽを残したら、「食べられない天ぷらは揚げていない!」と頑固親
  父に叱られた強烈な思い出がある。

   若いころ「ひろみ」で修業して葉山で開業した「葉むら」、「銀座天一」で修業して葉山
  で開業した「天康」も地元で評判がよく、一流の天ぷら屋と遜色ない。
  「葉むら」の親父は修業した鎌倉の「ひろみ」の親父似で、むっつりしていて口が乱暴
  だが、腕は天下一品だから客足が絶えない。

   一昨年立ち寄った時、カウンター越しに「この塩はどこの塩?」と軽く聞いたら、ぶっ
  きらぼうに「海だ!」と答えてきた。ひろみ譲りの客扱いだから怒る客もいるらしいが、
  親父は平気のようである。機嫌がいいと天ぷらの揚げ方のコツを親切に教えてくれる。

   さて、6月中旬、葉山釣友会の例会は地元葉山沖のシロギス釣り。生憎の雨模様の
  不安定な天候だったので昼過ぎに早上がりしたが、30匹の釣果でまずまずだった。

   帰宅後早速さばいて天ぷらを作った。
  天ぷらは卵液の作り方、油の選び方と揚げる温度、揚げ時間にコツがあり、低温だと
  べたついてカラッと揚がらないし、高温で揚げ過ぎてはサクッとした食感が出ない。
  職人の技がモノをいう料理だが、家庭のガスレンジでも上手に作ることができる。

   下の写真は、①釣りたての調理前のシロギス、②調理したシロギス、③キスの天ぷ
  らである。シロギス以外の今日の具材は、玉ねぎ、シイタケ、なす、ピーマン、ミョウガ、
  レンコン、アスパラの7種類の野菜。薄めの天つゆでたらふく食べ、翌朝は天丼にした
  が、まだシロギスが残っているので孫たちのために冷凍保存しておいた。



   

      

   ・翌朝の、具沢山の天丼の写真はついつい撮り損ねてしまった。