石鯛釣り。     17,11,16

  磯釣りの王者はなんといっても石鯛釣りで、荒磯の岩場から釣り上げる時の強烈な
 引きが釣り人の醍醐味らしいが私にはその経験がない。釣り竿の太さも並の太さで
 はなく、鋭い歯で道糸やハリスを噛み切られないようにワイヤーを用いた針と仕掛け
 も桁違いで、餌は主にサザエを惜しげもなく使う。石鯛と格闘するので、引きずり込ま
 れないように身支度も用心するという。

  そんな本格的な石鯛釣りには及ばないが、東京湾の剣崎沖の一角が、数少ない
 石鯛の漁場として知られていて、乗合船で石鯛釣りを経験できる。

  会社時代の釣り同好会の11月の例会が石鯛に決まった。マダイも出るから仕掛け
 は石鯛用とマダイ用を用意するよう船長から連絡があり、期待に胸を躍らせて勇躍
 出船した。天気は上々、風もなく全くの釣り日和だった。

  早速石鯛がかかってきた。30センチほどの小型の石鯛だった。大潮で波の流れが
 速く、なかなか当たりが取れないが、40センチを筆頭に何とか石鯛を9枚も釣った。


     

  仲間たちには外道にカワハギ、メジナ、アジ、イナダ等が釣れていた。本命の石鯛
 は8名で船中69匹。まずまずの釣果だった。午後から釣り場を移動してマダイに狙い
 を変えた。

  早速800gほどの中型の真鯛を釣った。仲間の一人は5匹も釣りあげ大喜びだった。
 納竿の寸前、1人に大物らしき引きがあり、慎重に釣り上げたらなんと6キロもあるブリ
 だった。私にも同じような大きな当たりがあり、重くてなかなかリールが巻けない。

  ”慎重に”と船長から声がかかったが、待ちきれずついつい強くリールを巻いて抵抗
 したら、突然竿が軽くなりバラしてしまった。針が曲がって伸びていた。逃がした魚は
 大きい。船長は、多分ブリかワラサではないかと云っていたが、私には幻の大鯛では
 ないかと思われ切歯扼腕の思いだった。

  それにしても東京湾は魚影が濃い。まさか石鯛やブリまで釣れるとは思わなかった。
 相模湾ではこんな魚は釣れない。そういえば太刀魚も相模湾にはいない。東京湾で
 しか釣れない。豊富なプランクトンが東京湾にはいるらしい。そのメカニズムは良く判
 っていない。

  船宿を預かる若い女将と船長は兄妹で、2人ともなかなか親切で気さくなので、アン
 グラーには評判がいい。人気の仕立て専門で予約を取るのも難しいので、来年の5月
 と11月の予約を早々と入れておいた。5月は鯛かイサキ、11月は石鯛か真鯛になる。
 今から楽しみだ。