手術が間近か。    20,07,28

   胆嚢を切除する手術までいよいよあと1か月となった。しかし現在はすこぶる元気
  で、手術を1か月後に控えた病人とは思えない。

   先日かかりつけの医者の定期診断の際、こんなに元気でおなかは痛くも痒くもな
  いのに、やはり胆嚢の摘出手術は必要ですかと念押しをしたら、「2度も緊急入院
  をして苦しんだことを忘れたのですか、今度痛みが再発したら慢性の胆管炎になり、
  さらには周囲が腐って敗血症になり、場合によっては重篤になるかもしれないです
  よ。」とダメ押しをされた。

   今のうちに胆嚢を腹腔鏡手術で切除することが最善の方法だと知りつつも、83歳
  にもなって親からもらった大事な臓器を切り取ることに多少罪悪めいた気持になっ
  ていたので、改めて事の重大さを認識した。

   プロ野球ファンなら誰でも知っている400勝投手の金田正一氏は、現役中は人一
  倍入念な体の手入れをしていたことで知られている。だからこそ前人未到の400勝
  もの勝ち星を挙げることができたのだろう。

   その金田氏は昨年10月に86歳で亡くなっているが、死因を知って驚いた。
  亡くなる3か月前に自宅で倒れ心筋梗塞と診断され、11日間の入院生活を送り、
  その3か月後に今度は急性胆嚢炎から急性胆管炎になり、敗血症になって東京
  都内の病院で死去したという。

   なんと彼の病歴は心筋梗塞といい急性胆嚢炎といい私に酷似していた。まさか
  私が死に至る最後まで金田氏と同じ経過をたどるとは思えないが、万が一のこと
  がある。他山の石、かかりつけの医者の言う通り、早めに胆嚢を切除することが
  この病を直す最善の方策だとあらためて肝に銘じた。

   しかし仮に、私に万一が起きた場合、辿った病歴があの大投手の金田正一と
  同じだと覚えておいて貰えれば、多少なりとも皆さんが偲んでくれるだろう。

   少々湿っぽいナーバスな話題では後味が悪いので、明るい別話題を一つ。

   先日の土用丑の日、北鎌倉の菩提寺で墓参りをした後、金沢文庫の人気の
  鰻屋「隅田川」でうな重を食べてきた。土用の丑の日とあって行列ができていて
  しばらく待たされた。この店のうな重は身が柔らかくて甘めのたれが年寄り向き
  で私は好きだ。

   朗報はうな重の値段が昨年よりも若干安くなっている事だった。安くなったとい
  ってもランクが中の「竹」で税込み4千円もするので高嶺の花には変わりはない。

   今年はなぜかシラスウナギが例年以上の豊漁なので、稚魚が育つ来年は鰻が
  安くなるという。そのため今ある在庫の鰻を早く処分したいので今年も若干安く
  なっているのだそうだ。本当かどうか、そのメカニズムの真偽のほどは知らない。

   理由はともあれ絶滅危惧種に指定されている鰻が安く庶民の口に入るのは歓
  迎すべきことである。

   近々東京にいる息子が久しぶりに墓参りに葉山に帰ってくる。例年通り帰りに
  は鎌倉の鰻屋の「茅木屋」でウナギを食べさせることにしている。手術入院前の
  親子の団らんのひと時はきっといい思い出になるだろう。