高齢者講習。    16,03,20

  高齢者で車の運転をする人はだれでも経験済みだろうが、満70歳になると
 免許証の更新時に「高齢者講習」を受ける義務がある。さらに75歳以上になると
 高齢者講習に加えて、「講習予備検査」を受けなければならない。先日2度目の
 「講習予備検査」と「高齢者講習」を受講してきた。

  高齢者講習とは、機械を使って動体視力や夜間視力を測定し、さらに実際に
 車を運転して指導員から助言を受ける講習で、落第などはないから修了証を免
 許更新時に警察に提出すればいいだけだ。

  75歳以上になるとこれに加えて「講習予備検査」が行われる。これはいわゆる
 認知症の程度を検査するようなもので、受講者は一様にプライドを傷つけられた
 ような、情けない気分になるようである。

  まず初めに、卓上から時計や携帯やペンや持ち物すべてを下げさせられる。
 回答用紙が裏向きに伏せて置かれる。検査員が不正をしないように、子供を
 諭すような口調で注意をする。まさに役人の「上から目線」を感じる。

  この検査は3つの検査項目によって受講者の記憶力や判断力を判定する。
   @、時間の見当識。 A、手掛かり再生。B、時計描画。の3つである。

  @時間の見当識。
  検査当日の年、月、日、曜日、現在の時間を書かされる。私を始め、老人は
 毎日がサンデー毎日だからなかなか思い出せない。私などひどいもので、年も
 日も間違えてしまった。毎朝新聞を読み、パソコンを開き、HPもメンテしている
 のに、今年が何年だか、今日が何日だかちっとも思い出せない。年月があや
 ふやとはどうした事か。全く不甲斐ないこと極まりない。

  A、手掛かり再生。
  これは4種類のイラスト、例えばトラックとか机とかバナナとかが描かれたボー
 ドが4枚提示され、検査員の説明を受けながら16個のイラストを記憶する。
 その後、別の作業をはさんでから、先ほど記憶したイラストをヒントなしに回答
 用紙に記入する。16個すべてを思い出せば満点だがそうはいかない。

  更に、ヒントを与えられ、このヒントをもとに同様に回答する。私はなんと4つ
 しかイラストを思い出せず、ヒントを与えられても10個思い出すのがやっとだっ
 た。大抵の人は情けない記憶力だと嘆くことになる。

  (3)、時計描画。
  まず時計の文字盤を紙に描く。次に指定された時刻(例:11時10分)を示す
 針を、その文字盤の上に描く。3年前の検査の時に短針の位置を失敗している
 ので、今回は注意して書いたから正解だと思っていたら、1点減点されていた。
 短針の長さが長針の長さと同じ長さだから減点だという。まあどうでもいいか!

  こうして「講習予備検査」は終了し、その後の実車走行講習の後で検査結果
 が示された。結果は点数に応じて3段階で評価される。

  76点以上が「記憶力・判断力に心配のない人」、49点〜76点未満が「記憶
 力・判断力が少し低くなっている人」、49点未満が「記憶力・判断力が低くなっ
 ている人」、の3つの分類で判定されるが、私は54点で辛うじて危険ゾーンを
 免れた。危うい所だった。

  この結果は警察に登録される。検査結果で「記憶力・判断力が低くなってい
 る」とされると、交通違反(信号無視や一時不停止など)があった場合には、
 専門医の診断を受けなければならず、医者から認知症と診断された場合は、
 免許が取り消されることになる。

  有り難くない履歴が警察に登録されるのは、「あなたは運転不適格者ですよ」
 と云われたに等しく、免許証返上が現実のものになった証拠でもある。今回の
 54点はそれが近いことを正直に示している。3年前の検査では、もう少しよかっ
 たと記憶しているが、それも記憶が不確かで曖昧だ。

  検査員は「また3年後に逢いましょう。今までの最高齢者は98歳でしたよ。」
 と激励してくれた。私が特に注意されたのは視力の減退で、特に夜間の視力が
 極端に悪い事だった。だが視力の減退をカバーするために、今は運転中に遠
 視と乱視の眼鏡をかけて運転しているので、視力の低下はかなり補正されては
 いる。

  しかし運転要注意者の烙印を押されたことは間違いないから、自信過剰にな
 らずに特に夜間に注意して運転したい。免許証返上はしばらく待ったである。
 検査員の言うように98歳は無理でも、3年後の満81歳には元気で高齢者講習
 を受講する気構えを持って・・・。

  しかし枯葉マークだけはまだ車に貼り付けたくない。だいいち新車にそんな
 マークは似合わないではないか。(年寄りのやせ我慢だが・・)