力士料理店 ”琴ヶ梅”              11,07,10

   息子と娘が私の70?歳の誕生日のお祝いを、錦糸町の力士料理店”琴ヶ梅”で開いてくれた。
  息子は1年に数えるほどしか葉山に帰宅できないのでこんな機会を作って顔を見せてくれるのが
  私にとっては最も嬉しい親孝行だと思っている。娘と息子から誕生祝のプレゼントまで貰ってすっ
  かり散在をかけてしまった。忙しい最中に笹塚から末の妹まで駆けつけてくれ、田舎から送ってく
  れたという筍で寿司を作り、息子用と葉山用に分けて土産に持ってきてくれた。ちゃんこ鍋を囲ん
  で和気藹々、笑いが絶えない楽しい一夜だった。誕生日などはどうでもいいが、みんなの談笑を
  聞けるこんな嬉しい場がいつまでも続いて欲しいとつくづく思った。
   店の主人の琴ヶ梅関は、現役時代は押しに徹した突貫小僧で関脇まで進み、将来大関・横綱
  を狙える有望力士だった。にこにこした笑顔に昔の面影が残っていて我々と親しく昔話をしてくれ
  た。現役絶頂期には押しの威力が強く、相手の力士が嫌がって叩いても決して土俵に這うことも
  なく、出羽錦などからは”質の悪い石鹸だ”と嫌がられたと聞いた事がある。何をしても落ちない
  ので、”質の悪い石鹸”というシャレが生まれたようだ、しかし晩年は昔の威力も衰え、”質のいい
  石鹸”になり、叩かれるとすぐに落ちてしまい、負け星がかさみ平成6年に引退に追い込まれてい
  る。歳を聞いたら45歳だそうだが、童顔でまだまだ現役を張れそうな見事な体躯だった。寺尾と
  仲がよくて彼の部屋で時々指導をしていると話してくれた。店の雰囲気もよく、時々娘が会社の
  同僚か先輩と立ち寄るようで、チャンコも単品も特有の臭みがない上品な味付けだった。店に
  来る前、日本橋三越で買い物を物色し、一昨年昔仲間と立ち寄り買い物をした室町の佃煮屋な
  どの老舗店の話などをしながら、家内と娘と写真を撮っておのぼりさんを演じてきた。
 店の主人の琴ヶ梅
 さんを囲んで。