骨折その後の顛末。   16,12,07

   元来が臆病だったせいか、単に運が良かっただけなのか、それとも親が骨丈夫に
  育ててくれたせいか、幸い70数年間骨折した経験がなかったが、今回初めて背中の
  肋骨骨折をして、沢山の友人達から見舞いの電話やメールなどを頂いた。

   ひと月が経ち、ようやく快方に向かって医者からほぼ回復と太鼓判を押されたので、
  報告かたがた皆さんにお礼を申し上げる。やや大袈裟に情報が駆け巡った節が無き
  にしも非ずだったが、持つべきものは友達で、体の事はもとより、気持ちが萎えてい
  るのを心配して、元気になれよと叱咤激励してくれた。特に学生時代からの古い友人
  には感謝の気持ちで一杯である。

   肋骨骨折が背骨と腰の打撲も引き起こしたらしく、肋骨が良くなっても捻るとまだ背
  骨が痛み、持病の腰痛もさらにひどくなってなかなか全快とは言えないので、永年通
  っている整骨院でせっせとリハビリに通っている。医者はこの腰痛は少し長引くという
  ので我慢して慣らしていくしかない。

   気晴らしに一度だけ箱根の紅葉を見に行ってきたが、これは家内から催促されての
  いわば”牛にひかれて善光寺参り”である。ゴルフや釣りの誘いはすべて断ったが、
  それでも少しずつ歩く訓練を始めた。ただ筋力の衰えは驚くほど速く、もう以前のよう
  な長時間の散歩は無理のようだ。

   やることがないのでHPに書くこともなく、部屋で新聞や読み残しの本などを読み漁っ
  ていたが、最近視力がとみに衰えていて、読み始めると直ぐに目が疲れて30分もする
  と眼鏡を外してページを閉じて投げ出してしまう。眼だけでなく頭の芯も疲れを感じて
  根気が続かなくなってしまった。

   医者からゴルフでも釣りでもどんどんやりなさいとお墨付きをもらって、1か月の禁欲
  生活から解放されたので、有り難いことに悪友たちが釣りの誘いやゴルフの誘い、麻
  雀や忘年会の誘いなど立て続けに誘いが来る。さすがにゴルフと釣りは今年はやら
  ないことにしているが、先日ゴルフの悪仲間たちが快気祝いと称して忘年会を開いて
  くれ、久し振りに居酒屋の雰囲気を味わった。

   米国駐在が長かった仲間の一人が、世界の資本主義は終わった。と怪気炎を述べ
  始め大いに酒席が盛り上がった。資本主義が終焉したかどうかはやや異論があるが、
  頷ける節がなくもない。

   今年に入ってイギリスのEC離脱や米大統領選には驚かされたが、どうも国際協調
  という永年の秩序が崩れて、自国第一主義の風潮が蔓延していることは間違いない。
  それもこれも富の格差が拡大した資本主義の弊害が目立ち始めたからに他ならない。
  

   移民受け入れ、難民受け入れに反対する勢力が世界の主流になりつつあるし、フィ
  リピン大統領の過激思想といい、反移民、反イスラムを掲げるトランプ氏のアメリカ第
  一主義といい、先日のオーストリア大統領選に見られる極右勢力の台頭や反EUを掲
  げるイタリア、フランス、ドイツの野党の支持率拡大など、世界が国際協調という枠組
  みと秩序に終わりをつげ、新しい秩序形成を模索する過渡期に入ったように見受けら
  れる。今や人々の不満につけ込み台頭しつつあるナショナリズムやポピュリズム(大
  衆迎合主義)が世界にはびこる危険な兆候が見え始めているように見えてならない。

  第1次世界大戦、第2次世界大戦前夜の緊迫した世界情勢に似てきた気配がする。

   次に来る新しい秩序とは何かは判らないが、健全な資本主義・民主主義の下で培
  われた既存の常識で今の変化の潮流の善悪を判断するのは時代遅れなのかもしれ
  ない。その変化は急激に来るかも知れないし100年のスパンで来るかも知れない。

   アメリカが世界の牽引役から後退し、今は変革の曲がり角、潮目の真只中にある
  のに、我々はそれに気が付かないだけなのかもしれない。来年は新しい価値観が生
  まれようとしている世界の動きに注目しよう。こんな時こそ世論を導くマスコミの存在
  は重要なのだが、くれぐれも商業主義のマスコミの論調には右顧左眄しないように
  気をつけたい。マスコミはしばしば変わり身の早い無責任な口舌の徒になった過去
  があり、国家の針路を誤らせる危険性を孕んでいるからである。

   いよいよ今年も終わりである。書店に行って新しい手帳を買ってきた。3年日記も
  今年で書き終えたので新しい3年日記も買い求めた。どんな出来事が日記のページ
  を埋めるのだろう? 3年間果たして日記をつけ続けることが出来るだろうか?
  無事に書き終えればその次はいよいよ東京オリンピックである。