家内の古希祝。 19,06,07 ホテル・シェラトンは懐かしい思い出の詰まった高級ホテルである。、 中でも選りすぐられた高級ホテルは「シェラトングランド」と称されて利用客に至福の満足 感を与えてくれる。大阪のリッツカールトンと双璧をなす高級ホテルである。 その昔、アメリカ訪問当時にアメリカT社の上席副社長M・C氏との会食に利用した経験 があるし、横浜シェラトンは朋友のダルマ会の友人達との待ち合わせ場所として、また社 用の接待の場所としても度々利用した、横浜港を見下ろす景色の良い懐かしいホテルで ある。 息子と娘たちの3人が家内の古希祝として、我々夫婦のために横浜シェラトンの昼食券 をプレゼントしてくれた。3か月ものびのび行きそびれていたが、ようやく予約を取って横 浜に出かけた。 YCAT(Yokohama City Air Terminal )の高速バスを初めて利用した。京浜急行 が運営するこの高速バスは極めて便利で、葉山の自宅前のバス停から直通で40分で 横浜駅東口に到着する。費用も時間も格段にお得で、だいいち乗り換えがなくゆったり シートなので疲れが全然違う。今までどうして利用しなかったか反省しきりである。 シェラトンの正面玄関を入ると懐かしいロビーがある。数々の思い出の詰まったこのロ ビーは華やかで虚飾に包まれた苦い過去を思い出させる。8階に行くと「和食・木の花」 がある。 ホテルの瀟洒な和食堂だから、和服姿のウェイトレスが小ぎれいなテーブル席に案内 してくれた。席からはベランダに小さな人造の和風庭園が見える。どこのホテルにもある 定番の風景である。 ウェイターとウェイトレスの応対はさりげなく心配りができている。おそらく洗練された マニュアルで徹底的に教育されたのだろう。子供たちがプレゼントしてくれたのは、懐石 料理のフルコース。 毎月メニューを変えるとのことだったが、6月とあって、旬の野菜や魚がきれいに小鉢 に盛り付けられている。さすがはプロの板前の冴えた腕前である。色とりどりの季節感 も申し分ない。 家内の古希祝だというので、料理長が特別に赤飯を1品追加サービスをしてくれた。 家内の許しを得て久し振りに冷酒1合を頼んだ。選んだ銘柄は新潟魚沼産の「緑川」と いう純米酒。初めて名前を聞く酒だったが、辛口で私の好みにあう美味だった。 周囲の席には、和服姿のご婦人たちの会食姿や、一見して社用族の商談の会食とす ぐにわかる中年サラリーマンの昼食風景が見られた。食事の後、シェラトンのある駅の 西口から東口に移動し、そごうで買い物をして帰りもYCATの高速バスで自宅前まで直 通で帰宅した。乗車して乗換もせずわずか40分であっという間に帰宅できた。 昔話になるが、昭和32年に初めて横浜駅で下車し、西口から眺めた駅前の景観は、 まだ高島屋もなく、相鉄の名品街ができたばかりの開発途上の土地だった。バラックの ような木造2階建ての建物の看板に「この世の花」というダンスホールのネオンサインが 明滅していた。現在はビルが林立する横浜きっての一等地になり隔世の感がある。 その付近、いわゆる南幸町付近に現在の「シェラトン」や高島屋がある。 私が昭和33年から1年間、家庭教師をした聖光学園中学の3年生の男生徒の住まいも、 近くを流れる「幸川」のそばの静かなたたずまいだった。現在のシェラトンの裏側付近 だろうか。 今ではそんな昔話を知る人もめったにいないだろう。なにせ60年も前の話である。 |