葉山サロン。      14,06,18

   「東京若柳会」という会が毎年6月に行われている。私の生まれ故郷の宮城県の田舎町
  から上京した人達が故郷を懐かしむ会である。エビ餅や納豆餅やズンダ餅などの多彩な
  モチ料理が振る舞われ、米などの故郷の名産品が抽選で配られ、若柳音頭という盆踊り
  の唄を唄って踊り、幼馴染と歓談するのが恒例なのだが、県や町のお偉いさんが次々と
  登壇して挨拶が1時間以上続くのが退屈だし、また殊更に逢いたい旧友がいる訳でもない
  のでこの所出席を敬遠している。

   たまたま能登の弟が上京して、私の幼馴染のMちゃんと一緒にこの会に出席するという
  ので、会が解散後に我が家に宿泊し、古川の妹と姫路の義妹も上京させて、最近恒例に
  している「葉山サロン」を我が家で開くことにした。

   男衆2人が「東京若柳会」の目玉の「エビ餅」を土産に持ってくることを秘かに期待したが、
  参加者が瞬く間に食べてしまったらしく持参が叶わず、かわりに「ひとめぼれ」のコメが抽
  選で当たったと持参してくれた。我々夫婦と来客4人の6人で2泊3日の葉山サロンを今年
  も賑やかに開催した。初日は寿司を取り寄せ、春巻きを作って焼酎とビールで田舎談義。
  Mちゃんが参加すると彼の人柄がにじみ出ていつも笑いが絶えない食卓になる。

   2日目は男衆3人で金沢八景の船宿から「カサゴ釣り」に出掛けた。アジにするかカサゴ
  にするか最後まで迷ったが女衆の希望でカサゴにした。これが正解で釣果は合わせて56
  匹もの大漁に恵まれた。絶好の釣り日和でカサゴの強い引きを楽しんだ。因みにアジは
  この所全く不漁で、当初予定したアジの船宿ではこの日1人5〜6匹程度しか釣れなかった
  らしい。

   夕食にはカサゴの煮付け、唐揚げ、刺身、カルパッチョ、粗汁とカサゴ尽くし。それでも
  半分以上は残っていて明日からご近所配りになる。昼間に女衆が作っておいてくれた肉
  じゃがと、弟が持参した日本酒「立山」で大いに盛り上がった。

   海外事情に精通しているMちゃんが最近私の得意分野の「日清・日露戦争」前後の本
  を読んでいるというので、吉村昭の「ポーツマスの旗」を進呈し、さらに我々の故郷の東
  日本大震災の話題に及んだので、同じく吉村昭の「三陸海岸大津波」を進呈した。また
  日本酒「立山」の話から宇奈月〜黒部に話が飛んだので、同じく吉村昭の「高熱墜道」も
  進呈した。3冊とも吉村明の代表的な力作で読み応えがあるドキュメンタリーだ。

   Mちゃんと古今東西の歴史談義をすると時間のたつのを忘れてしまう。彼とは幼稚園
  からの友達なので、話していると70年もの昔に帰ったような懐かしさと切なさがこみ上げ
  る。明後日にはまたミャンマーに行く(帰る)という。兄弟同様の間柄なので、「歳なのだ
  から無理をしないで程々の海外生活を。」と注意したら、「これが生き甲斐だから・・」と
  笑って答えてくれた。

   また来年葉山サロンを開きたいし、来年は今回話題に出た「餅懐石」を是非やってみ
  たい。何種類の餅になるだろう。数えただけでも瞬く間に10種類にはなる。団子程度の
  大きさにして綺麗にお膳を飾って、と夢は膨らむ一方で楽しみだ。元気でいなくちゃ〜。