孫のピアノ発表会。 ![]() 5年生になった長女の孫が幼稚園の時から習っているピアノ教室の発表会 があるというので、横浜の能見台駅から20分ほど歩いて、会場の長浜ホール に出掛けた。長浜ホールは数年前に葉山の文化財研究会の仲間たちと見学 に来ているので2度目だが、かって野口英世が勤務した横浜海港検疫所の建 物の一角にある歴史的な建造物である。 明治32年(1899年)当時22歳の若き野口英世は、横浜海港検疫所に検疫 医官補として5か月間勤務した。赴任間もなく横浜港に入港しようとした「亜米 利加丸」の乗員からペスト患者を発見し隔離するという成果を上げている。 英世が勤務した検疫所の旧細菌検査室が改修されて現存し公開されてい る。猪苗代の野口英世記念館ほどではないが、英世の業績が偲ばれる貴重 な品々や写真が展示されている。 その隣にある木造の瀟洒な建物が横浜海港検疫所の旧事務棟で、現在の 長浜ホールになっている。このホールで行われた今日のピアノ発表会の発表 者は小学生およそ20人、ほかにバイオリンを習っている大人2人が発表した。 ファイナリストとして登場した孫の演奏は、連弾でジョセフ・ウィナー作曲の 「茶色の小瓶」、独奏でベートーベンの「エリーゼの為に」だった。本人は1週 間前から緊張していたらしいが、堂々とした演奏ぶりで、贔屓目に見ても発表 者の中で最も上手だと思われた。 特に「エリーゼの為に」は万人がよく知った曲なので、間違えればすぐに判 るから心配だったが、無事に弾き終えることが出来てホッとした。 「茶色の小瓶」は、1940年代に大流行したスウィングジャズで、グレンミラー 楽団の演奏は特に有名だった。学生時代によく聞いた曲だが、この歳になっ て孫のピアノ演奏を聴くとは夢にも思わなかった。まさに夢のような出来事だ った。 最後にピアノの先生2人の連弾と、バイオリンの先生の模範演奏で締めくく られたが、さすがに先生たちの演奏は水際立った演奏で、その調べに暫らく 陶酔した。先日紀尾井ホールで聴いた川畑成道のバイオリンに匹敵する音 色だった。 発表会終了後、娘夫婦と孫2人と我々夫婦の6人で、ねぎらいの夕食会を 開いた。気楽に食べられる居酒屋風のところがいいというので、行きつけの 逗子の居酒屋の一間で、酒のつまみ風の一品料理を沢山注文して全員腹 一杯になるまで食べた。 常連の飲み客が集まる店なので、孫達の食べ物を心配したが、何のことは ない、焼き鳥、串焼き、コロッケ、卵焼き、モズク、ヌタ、枝豆、ポテサラ、など などを大人顔負けの健啖ぶりで食べ、最後にお結びを食べて充分満足した 様子だった。 こんな庶民的な料理が好きなら、大人になっても十分に男衆と付き合える だろうと、妙なところで安心した。この店は今の主人の2代前のおじいさんの 時代から通っている店で、もう55年前にもなる古い付き合いの店だが、安く て美味しくて何でもある逗子唯一の人気居酒屋である。 店の雰囲気が気に入った娘曰く、「父の誕生日祝いと傘寿祝いを兼ねて、 ここの居酒屋で祝賀会をやったらどうだろうか。」 おいおい待ってくれ!一昨年の喜寿祝いを帝国ホテルでやってくれたのに、 傘寿祝いは居酒屋かい?と思ったが、自分の意見を言うのはまだ早いから 云うのを止めておいた。もう少し考えてくれ!帝国ホテルから居酒屋では少 し格が落ち過ぎではないかね? |