「くりはま花の国」 21,04,13 京急の株主になっている友人が、系列の観音崎ホテルの宿泊割引券をくれたので、 毎日家に籠っている退屈しのぎに、この割引券を利用して1泊の宿泊をしてきた。 2食付きで5割引きだからお得には違いないがこのホテルはつい最近でも孫たちを 連れてバイキングを食べに行ったばかりだし、「SPASSO」という東京湾に面した 広大なプールと露天風呂もおなじみだから、特に旅というほどの新鮮さはなくお得 感も半分である。 それでも宿泊するのは初めてなので、東京湾を真下に一望できる眺めの良い部屋 で一晩くつろいできた。我が家まで車で40分もあれば帰れるのだが、天気も良いの で、翌日10分ほど走って久里浜の「くりはま花の国」に立ち寄った。 昔、娘たちが子供のころに連れてきたときには、菜の花が花畑一面に咲いていた 記憶があり、また孫と愛犬を連れて遊びに来た時にはポピーが満開で、花を沢山摘 んで持ち帰った記憶もある。 久し振りのこの日は、菜の花は見頃を終わっていて、今は約100万本といわれる ポピーが六分咲きといったところだった。近くの人に聞いたら、種類はアイスラン ドポピーとシャーレーポピーという名前だそうだ。 山頂に近い「天空の花畑」にはネモフィラが見頃で、西洋シャクナゲも真っ盛り だというので、童心に帰って山頂近くまで10分ほど名物の花電車に乗って途中の 花畑の景色を楽しんだ。 ネモフィラという花は見るのも聞くのも初めてだったが、2~3センチほどの可 憐な小花に、青色のグラデーションがきれいな花びらがついていて、広いお花畑 一帯に青く奇麗に咲いていた。写真に収める見物客が沢山いた。 連日、テレビ局が見物客と景色を取材しているとのことだったが、我々が花電 車に乗り込むときに、早速日本テレビの取材陣につかまり、取材をされてしまっ た。 なんでも今晩の日本テレビ17時のニュースに放映されるかもしれないと局のス タッフが言うので、家内は娘や友達に片っぱしから電話をしていた。(後刻帰宅 して17時にテレビをつけたら、確かに花の国の放映があり、幾人かの姿が映って いたが、遂に我々の姿は映らなかった。家内はがっかりした様子だったが、 私はホッとした。) このところさらに感染力の強い変異ウィルスの感染拡大で緊急事態宣言が再び 発出されそうな勢いで、とても県外への旅行はおろか、7月もオリンピックどころ ではなさそうである。ワクチン接種も遅れに遅れている。 この期に及んでまだオリンピック・オリンピックと騒ぐ当事者たちの気が知れ ない、やりたいやりたいと駄々をこねているとしか思えないと老いたミミズは思 うのである。 まるで、子供の運動会が台風で中止になりそうなときにそれでも強行しようと する主催者と同じではないか。この日のために練習してきた子供たち、支えて いる親、楽しみにしている観客、準備をしてきた先生はじめ裏方、皆運動会を やりたいに決まっている。しかし台風なら誰が運動会に行くものか。 容赦なく台風が襲来することがわかっていて強行する愚行は誰も冒すまい。 なのに何故オリンピックだけは主催者達は愚かにも強行しようとするのだろう。 それはやらねばならないしがらみがあるからだろう。 「経済効果」という甘い蜜、バックにいるIOCや巨大スポンサーなどのステーク ホルダー(利害関係者)の圧力、があるからである。 もしも強行して感染者や死者が急増したら、だれが責任を取るのか、政府や主 催者はどんな言い訳をするつもりなのだろう。未来ある青年や子供たちの将来を 奪ったらどんな責任を取れるというのか。決して取れはしない。 中止のリスクと強行のリスクを天秤にかけたとき、私は中止派の意見に賛同する。 進む勇気よりも退く勇気、言い換えれば強行する蛮行よりも撤退する愚策に軍配 を上げたい。 人命を危険にさらすオリンピックを、決して歴史は高く評価してはくれない。 1964年の東京オリンピックの感動を知っている私はもう一度あの感動を味わ いたい欲望に満ちている。オリンピックは選手と観客が一体になってこそ感動を 呼ぶ。無観客のスポーツは誰のためのスポーツか。記録と勝敗だけの戦いは選手 も決して喜ぶまい。 今は駄々をこねる時ではない。100日を切った今が諦める勇断の時だと思える。 自民党の二階幹事長の「中止もありうる」との観測気球はその意味で正しい。 むしろ遅きに失している。 今まで投資した莫大な施設は決してSunk Cost(埋没原価)ではない。活用 の道はある、このような修羅場を沢山くぐってきた老いた経験者はそう思うの である。 尤も、ワクチンの効果が劇的で、もしもオリンピックが強行された暁には、 最小の被害で終わることを念じながら、日本選手はじめ各国選手に熱い声援を 送るつもりでもある。 世論は私を含めどうも中止または延期派が多そうだが、オリンピックはそれ ほど魅力のある魔物の祭典なのである。 |