2000/12/4
砂かぶり
 ←旭道山
 (砂かぶりより撮影)

10年ほど前に両国国技館に行った。朝8時から並んで2階席の一番後ろの席を

やっとこさゲット
したのだが、序の口・序二段の頃は、マス席はガラガラ。

問題なかろうと、マス席に
陣取る。

この時間、マス席にはよほどの相撲好きがいるのだろうと思っていたのだが、

見渡す限り、朝一緒に並んで2階席の切符を買っていた顔しか見えない。まぁ、

朝8時から並んだ段階で既に我々も「よほどの相撲好き」に登録されているのかも

しれないのだが、正規にマス席を買っている人が全く見られないのは意外だった。

 序の口・序二段は、テレビで見る限り
「俺でも勝てるぜ」と思いがちだが、

とんでもない。いっちょ前に頭で当たってるもんな。でも、このクラスの行司は、

「俺でもできるぜ」という感じだ。幕下クラスになれば、マス席から見る立ち会いの

迫力は凄い。こんな立ち会いができる力士が未だ幕下に甘んじているだから、

俺にはこの世界は無理だ、と、アホな感想を持つ俺(65Kg)だった。

 十両になる頃には、マス席に「いかにも重役」「いかにもお大臣」・そして

「いかにもお水」な方々が登場し始め、いつまでもここに座っていると

ヤバそうな雰囲気を感じ、早朝行列組は誰からともなくマス席から去って行った。

で、俺も十両・幕内前半戦と、2階席の一番後ろで見ていたのだが、砂かぶりの

席が一つ空いているのである。これは何とももったいない。そして勝負審判交代の

隙に、前を失礼、前を失礼と、その砂かぶりの席に座ることに成功。ここは凄い!

国技の迫力を十分に堪能した。これは間違いなく立ち技最強だ。

 だが、しかし。堪能できたのもわずかの時間だった。何せ、砂かぶりに本来座る

人ってのは、モノホンのお偉いさんな訳で、俺なんかが物珍しそうにキョロキョロ

したり、旭道山の写真をパシャパシャ撮ったりしていたら、明らかに挙動不審

なのである。案の定、まだ3〜4番しか見ていないのに、土俵上をほうきで掃いてる

下っぱ呼び出し(序二段の頃に見かけたヤツ)がやって来た。

「あなた、切符は?」こ、こいつ、角界では下っぱのくせに、かつては力士を目指して

いただけあって、俺のような素人から見たら、かなり迫力ある。おもむろに

立ち上がり、前を失礼、前を失礼と、砂かぶりから脱出して2階席に逃げ帰った俺

(当時18才・大学入試の1ヶ月前)だった。(もちろん、この年は浪人)

目次へ