農業機械とシステム工学
筑波大学農林工学系
小中 俊雄
1997/2/14
1.いろいろな農業機械との出会い
場所 |
機械 |
装置その他 |
年月日 |
YEAR |
a. 東大農学部 |
土入れ機 |
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澱粉製造機械 |
昭27-31 |
1952-1956 |
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b. 農試 第6研 |
精米機依頼試験 |
昭31-33 |
1956-1958 |
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小型トラクタ利用実態調査 |
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c. 農試 第2研 |
犂プラウ中耕除草機 |
人工圃場 |
昭34-36 |
1959-1961 |
復元耕プラウ:特許 |
光学的プロフィログラフ |
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土壌分析 |
人工圃場 |
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NHK出演 |
麦作後処理作業 |
昭40/3/15 |
1960 |
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d. 農試 作業技術部 |
稲作用大型農業機械 |
1ha水田 |
昭37-43 |
1962-1968 |
根洗い田植機 |
代かき土壌 |
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e. アイオワ州立大学 |
スリップ沈下 |
soil-bin |
昭40-42 |
1965-1967 |
f. 三重大 |
静電容量型流量測定 |
昭43-52 |
1968-1977 |
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ライスセンタ |
シ−ケンス制御 |
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g. 筑波大 |
育苗機器 |
昭52-72 |
1977-1997 |
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推測走行 |
マイコン応用 |
昭57-58 |
1982-1983 |
|
h. アジア工科大学院 |
田植機 |
(株)クボタ |
昭54-56 |
1979-1981 |
マイコンの応用 |
エンジン制御 |
2.稲作りの体験(体系試験)と農業プラント
場所 |
機械装置その他 |
年月日 |
YEAR |
b.農試 第6 |
小型トラクタ利用実態調査 |
昭33-35 |
1958-1960 |
c.農試 第2 |
牛犂と手植え |
昭34-36 |
1959-61 |
d.農試 作業技術部 |
体系試験(水田稲作) 経済試算 |
昭37-43 |
1962-1968 |
e.ISU |
アイオワの農家 |
昭40-42 |
1965-1967 |
f.三重大 |
ライスセンタ |
昭43-52 |
1968-1977 |
g.筑波大 |
カントリーエレベータ |
昭52-72 |
1977-1997 |
h.AIT |
タイ国農業 integrated farming |
3.アイオワ州立大学とアジア工科大学院
場所 |
機械 |
装置その他 |
年月日 |
YEAR |
a. アイオワ州立大学 |
スリップ沈下 |
soil-bin |
昭40-42 |
1965-1967 |
ISU |
150ha農家体験 |
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b. アジア工科大学院 |
田植機 |
(株)クボタ |
昭54-56 |
1979-1981 |
AIT |
マイコンの応用 |
エンジン制御 |
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トラクタ力学 |
ベクトル |
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c. 南京農業機械化研究所 |
FAOコンサルタント |
1輪田植機 |
昭63 |
1988 |
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d. 農業工学国際会議 |
農業機械学会代表 |
昭67 |
1992 |
4.機械化体系からシステム工学へ
(
systems approach )
場所 |
機械装置その他 |
年月日 |
YEAR |
b.農試 第6 |
小型トラクタ利用実態調査 |
昭33-35 |
1958-1960 |
d.農試 作業技術部 |
体系試験(水田稲作) 経済試算 |
昭37-43 |
1962-1968 |
f.三重大 |
ライスセンタ |
昭43-52 |
1968-1977 |
|
(シ−ケンス制御) |
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g.筑波大 |
農業機械化ソフト |
昭52-72 |
1977-1997 |
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(農業機械化計画) |
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同上 |
農業システム工学 |
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(生物資源情報管理学) |
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同上 |
バイオシステム研究科 |
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(生物圏システム制御論) |
研究と教育のシステム化
農業機械化ソフトウェア
A. 農業機械 |
手法 |
1) トラクタ |
ベクトル、 |
2) 和犂、プラウ |
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3) など |
農業プラント (ライスセンター、選果場など)
農作業体系 (農業経営、機械利用コストなど)
システムアプローチ ( systems approach )
システム工学 ( SE, OR, )
CAI ソフトウェア in CD-ROM
国際交流: ISU, AIT, FAO,
退職のことば.txt (速報つくば)
定年前の1年、大学生活の総まとめとして
講義のソフトウェア化に取組み、あらためてその難しさ、多くの時間と労力がかかることを実感している。まず、
教材のワープロ入力から始めたが、最近のワープロソフトは高度の機能を有し、文章中に写真・音声など種々の映像を張り付けることができるし、もちろん別の文章をボタン化して挿入できるので、特別なソフトウェアを使わないでもハイパーテキスト型教材の使用が可能であり、高能率の授業が実現できる。先日、簡単な操作で演習問題などのアプリケ−ションを使用できる教育ソフトウェアを試作し、お試し版の
CD-ROMを製作して授業に使用してみたところ、居眠りする学生も見かけられず、大学教育の未来の一端を確信した。もっと早くから使っていたらと悔やんでいる。また、E_mailによるレポートの提出なども、
インターネット時代の今の学生にとっては抵抗なく受け入れられるものであるらしく、時代の流れを感じている。大学が大学であるためには、授業方法などの早急な改革が不可欠であり、教育機器施設の充実と
教育ソフトウェア開発研究への配慮が切望される。大学の社会的存在意義
(21世紀大学創造委員会ニューズレター No.6 8p)1994年5月27日発行
学問、教養等を修得する教育をもって、大学の社会的存在意義はあると考える。
したがって、学内の個々の教官や研究組織で研究に専念することはあってしかるべきであろうが、同時にそれらの研究成果を教育を通じて社会に還元することが、大学全体の組織としての義務であろう。これらのことはあまりにも当然のことであるから、明記されることが少ないのかも知れないが、やはり、まず第一に明確にしておくべきことではなかろうか。
2.大学院大学
研究に重点を置く大学院大学の方向は、未来志向型の大学としては当然の一選択肢と理解する。ただし、先端分野のみでなく大学全体のレベルアップへの十分な配慮が必要である。なぜならば、学生教育をとおしての大学の評価が最も重要であるから。
3.総合的、システム的学問のカリキュラム
従来の教育体系は分析の科学に基づいたものであったが、今後は総合の科学に重点を移していくべきと考える。 本来、学問は体系的あるいは Systematic なものであるはずであるから、カリキュラムもそうあるべきと考える。すぐできるものを例示すると、1)総合科目のなかに次のような固定科目の設置が望ましい。
a)総合化、システム化の科学(システム解析、システム工学など)
b)人生と学問 (哲学、宗教、芸術、文系科学など)
c)空間的にみた学問 (宇宙から地球環境まで)
d)時間的にみた学問 (古代から現代:未来へ)
e)体と健康の科学 (医学、体育学など)
f)生活のための科学 (農学、工学、社会科学など)
また、2)科目間の相互関係をシラバスのなかで明確にする(必要なPrerequisite科目、つぎに発展すべきAdvanced科目、関連科目などの明示)。すなわち、カリキュラムのシステム化を計る。
4.知識型から問題解決型へ
知識は、CAIソフトウェアでの自習に重点を移し、大学では自己表示力、判断力をつける討議型授業形態へ変えることによって、問題解決型の教育へ重点を移すべきと考える。
種々の改革が、つねに基本的目標と具体的授業内容を意識しながら検討されることを期待している。