apx.251. 実験計画法   目次(第5章)へ

 

 実験計画法とは,あるシステムの特性を実験によって明らかにしたいときに,実験の手順を計画し,測定値を精度よく解析するための統計学的一手法である.

 z=f(1 ,x2 ,x3 ,x4 )で,x1 ,x2 ,x3 ,x4 を要因とよび,各要因を3水準(3個の異なる値)に変えて,目的の特性値zの観測値を得るためにこれらの全組合せの実験を行うとき「完全配備型」の要因実験とよぶ.この例では3481回の実験を行うことになる.

 これらの要因実験のデータは,分数分析 ( 計算プログラムは容易に入手できる ) を行って各要因の特性値への影響の大きさや各要因間の交互作用 ( 相乗効果 ) を明らかにできる.

要因の数が増えると「完全配備型」では実験回数が多くなりすぎて効率が悪くなるので,つぎのような直交表による要因の割津付け後実験を行って,少ない実験回数で効果的に解析を行うことができる.

          L9 ( 3 4 )直交表         単式実験の組合せ表

実験番号

x1

x2

x3

x4

 

実験番号

x1

x2

x3

1

1

1

1

1

 

1

1

2

2

2

1

2

2

2

 

2

2

2

2

3

1

3

3

3

 

3

3

2

2

4

2

1

2

3

 

4

2

1

2

5

2

2

3

1

 

5

2

3

2

6

2

3

1

2

 

6

2

2

1

7

3

1

3

2

 

7

2

2

3

8

3

2

1

3

         

9

3

3

2

1

         

 表中の123 は,要因x1,x2,x3,x4 の各水準を意味する.各要因間に交互作用がなければ,3481回の実験の代りに本組合せの9回の実験で各要因の影響は明らかにできる.

 以上のような各要因の水準の組合せによる実験を複式実験とよび,つぎに述べるような組合せによる実験を単式実験とよぶ.

 上の例では,2n+1= 7回の ( nは要因の数 ) の実験ですむが,交互作用の情報は得られず,実験のコストパフォーマンス ( cost performance:経費当りの効果 ) は小さいといわれる.