apx.233. 相似模型   目次(第5章)へ

 

 ある物理現象で,n個の変数xiの間に

     f( 1,x2,…,xn )=0         (1)

の関係があるとき,互いに独立でs個の無次元項の間に,

     g(π1 ,π2 ,…,πs )=0        (2)

の関係が得られ,(1) (2)式は同値である.このとき,(1)式に含まれる基本次元の数をmとすると,

     s=n− m                 (3)

の関係がある.力学現象では,通常基本次元はMLTの3個であり,(2) 式は (1) 式より変数の数が3個少なくなり解析が容易になる.

 原型 ( prototype )と模型 ( model )の間に,つぎのような関係があるとき相似模型とよぶ.

     π1 p=π1 m

     π2 p=π2 m

     |

     πs p=πs m

 このとき,g(π1 m,π2 m,…,πs m )=g(π1 p ,π2 p ,…,πs p

たとえば,矩形板の沈下量 z の実験を行うとき,f(z,l,b,p,q)= 0の関係があるとする.

 

   

次元

沈下量

z

矩形板の長さ

l

矩形板の幅

b

垂直圧力

p

FL 2

土壌貫入硬度

q

FL 2

n=5,m=2であるからs=5−2=3

   π1 = z / l ,

   π2 = b / l ,

   π3 = p / q ,

   ∴ g ( z / l , b / l , p / q ) = 0

あるいは z / l = G ( b / l , p / q )

    bp / lp = bm / lm

    pp / qp = pm / qm

   のもとで実験を行えば, zp / lp = zm / lm

が得られる.すなわち,

    lp / lm = bm / bm = n(縮尺度 length scale)

が成り立つ相似模型を用いると,模型実験からzp がつぎのように求まる.

           zp=n・zm