3.2.2 農作業計画への応用 目次(第3章)へ
農業への応用例としては,作付体系の計画,農業経営の改善等などがあるが,ここでは,最も簡単な作業日程計画への応用例について述べる.
〔例題〕 作業期間が異なる組作業
図3.8において,作業1, 2は,作業可能日が一部重複していて同時に二作業はできないので,その複合負担面積は,次式で求められる.
eq. 3.2
ここで,
S:全作業可能時間 (h)
S1:作業1の作業可能時間 (h)
S2:作業2の作業可能時間 (h)
t: t1+ t2 二作業のha当り所要作業時間 (h/ha)
t1:作業1のha当り所要作業時間 (h/ha)
t2:作業2のha当り所要作業時間 (h/ha)
図3.8 二つの作業の作業期間が重複している場合
t = t1+ t2 = 0.5 + 5.0 = 5.5(h)
S = 60, S1= 42,S2= 30から
=min(10.9 84.0 6.0)
=6.0(ha) eq. 3.3
これは,作業2がこの組作業の複合負担面積を規制していることも示し,作業2の能力を大きくすることによって組作業の能力を増加することができる.
組作業の数が増加し,作業可能期間や作業条件が複雑になると上記の手段では複合負担面積の算出が困難になる.そのような場合には,線形計画法を導入すると統一的な手法で算出できる.
上記の事例を,線形計画法を用いて解く場合は,拘束条件式として,
x1≦S10 eq. 3.4
x2+x3≦S11 eq. 3.5
x4≦S20 eq. 3.6
eq. 3.7
のもとで,目的関数
eq. 3.8
を最大にすればよい.
ここで,x1,x2は作業1のS10,S11期間の作業時間,x3,x4は作業2のS11,S20期間の作業時間であり,(3.7)式は,作業1の作業面積A1=(x1+x2) /t1と作業2の作業面積A2=(x3+x4)/t2を等しくすることを意味している.
(3.4)〜(3.8)式の制約条件式は,スラック変数x5〜 x8を用いるとつぎのような等式に書き変えられ,目的関数zを最小にする線形計画法の問題になる.ただし,Mは十分大きい正の数である.
x1 +x5 =30
x2 +x3 +x6 =12
x4 +x7 =18
x1+ x2−0.1 x3−0.1 x4 + x8 = 0
z =−x3−x4+M * x8を最小にする.
〔解〕 第2作業の所要時間z=−x3−x4=−30, すなわち,負担面積H=−z/t2=6.0(ha),したがって,第1作業の所要時間x1+ x2は,(x3+x4)*t1/t2=3.0(ha)である.
●ソフトウェア 作業日程計画プログラム fw_sch80.exe