1.2.3.2 草木とバッタの相互関係   目次へ

 

 近年アフリカにおいてバッタの大群が発生して大きな被害があったときいたが,バッタが大発生すると餌としている草木が喰いつくされてその結果バッタは自然に減少してゆき,草木は再び繁茂してくるという周期的な現象である.もちろん,気象条件によってバッタの大発生は起こるといわれているが,上述の現象を最も簡単に定式化するとつぎのように表すことができよう.

     dx1/dt = ( k1 - a x2) x1         eq. 1.3

     dx2/dt = ( b x1 - k2) x2         eq. 1.4

ここで,x1:草木の数    k1:草木の増加率    a:草木の被食率

    x2:バッタの数   k2:バッタの死亡率   b:バッタの出生率

      t:時間

 バッタがいなければ草木は(1.3)式から dx1/dt = k1 * x1,すなわち,x1 = e k1*t となり指数関数的に増加するが,バッタの発生(x2 の増加)でその数は次第に減っていく.

 一方,バッタは(1.4)式から草木が多いときは増加するが次第に草木が減ると自然死の数が打ち勝ちバッタは減少していき,x1,x2 ともに図1.1のように周期的に変動する.

 上式のような関係は生態システムによくみられ,自然界の動物の競合現象や作物と雑草との関係(除草作業で雑草が減少すると作物は増収する)などの解明に用いられる.

 

演習問題 1.2.3.1 参照

 ●ソフトウェア 草木とバッタ:fdc_j640.exe

図 1.1 草木とバッタ

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