廿七年度東大教養学部 理二 六B 1953.5.28           戻る

追思  16p          復刻 by 林尚孝

雑感
小宮 弘毅

 とうに刈入れをもすんで黒い土を寒空にさらしている田畑、雑木はもうすでに葉を落してこごえており、???だけが僅かに緑を保っている背後の林や小山、????き帰りに小一時間眺める車窓の景色も昨今は全く???のとなってしまった。電車の中で本を読むことは苦手である。従ってそれからそれへと移って行く外の景色に目をやりつつ、何もすることなく車中の時間を過ごすのが常である。丁度小さな子供の様に。しかし朝の混雑した電車の中にあっては往々にしてそれさえ容易ではなくなる。
 入学早々の頃、田んぼは一面にレンゲの花に覆われ、めぐり来た春は近くの林にも遠くの山にも溢れていた。そして五月六月頃、きれいに耕作された田に規律正しく 2001/1/2