廿七年度東大教養学部 理二 六B 1953.5.28           戻る

追思  101p          復刻 by 林尚孝

<編集後記>

 我々の雑誌も六ヶ月近くの日子を費やして漸く発刊の運びに到りました。何しろ編集委員が未経験者だけに試験前の貴重な時間を割いて何回か会合して相談しながら無駄骨折や取越苦労に終わったこともしばしばでした。我々の雑誌の全員投稿の方針は、他クラスの投稿雑誌的な行き方に較べ、雑誌の意義と価値を高め、語学二先生の投稿も戴いて内容を豊富なものにしました。それだけに編集委員の仕事も遣り甲斐があったような気がします。唯海老原先生に書いて戴けなかったのは、我々各自にとって思ひ出多かるべき先生だけに残念でした。追試に掛かった者も掛からなかった者もこの雑誌によって教養学部生活に於ける自分を追思し、更に自己完成の意欲に燃えて戴ければ編集委員の微々たる努力も無駄ではなかったというものです。
 表紙の絵は内川君の麗筆になるもので、簡潔な筆致は雑誌に一段と精彩を加へました。面倒な丁合を手伝ってくれた林、西林、陳の諸兄にも茲に感謝の意を表します。
 このように編集委員以外の人々の多大な御協力も得たのですが、この雑誌の完成を前にして我々編集委員の中の二名、中村、広田の両君が共にこの級を去りました。労を惜しまず協力して呉れた両君だけに残念の極みです。我々編集委員一同は皆様と共に今後の両君の御健闘と御幸福を祈ります。

編集委員
 光武  顕
 広田伊蘇夫
 中村 博彦
 大坪 謙吾
 松井  豊
 小野 莞爾