2−7、POPと演歌の融合を楽しむ



森昌子のアルバムには、カバー曲集と独自のオリジナル曲集がある。そのうち二十代のオリジナルなアルバムの中にはPOPと演歌を融合したような、新鮮で興味深いアルバムがみられる。それはアイドルとして活躍した十代のPOPな歌と二十代の演歌を混合したような、あるいは橋渡しするような、軽快でしかも落ち着いた、味わいのある大人の歌である。

こうしたアルバムのほかに、二十代では、「古賀メロディーを唄う」や「昌子哀愁」など、独特のアルバムがある。この二つのアルバムは別の項で取り上げている。ここではそれらを除く、二十代の全てのオリジナルアルバムを取り上げる。

二十一歳の時、ポニーキャニオンに移籍後、最初に出したアルバムが「旅立ち」(一九八〇年三月)。このアルバムはやや雑多な寄せ集め的な感じがして、まとまりに欠けるが、心に響く良い曲も何曲かある。

その後、シングルのヒット曲に恵まれず、とても苦しい立場の中で発売されたのが、二十二歳の時のオリジナルなアルバム「そしてひとり」(一九八〇年十一月)とアルバム「北寒港」(一九八〇年四月)。この二つのアルバムはアルバムの表紙写真に特徴があり、これまでの明るくてかわいいイメージをひっくり返すような陰鬱な表情を見せており、逆にこの表情に、演歌にかける意気込みのようなものが感じ取れる。

その後、シングル「哀しみ本線日本海」が大ヒットし、アルバムにも影響を及ぼし、次の二十三歳の時のアルバム「北の女」(一九八二年五月)では、演歌で暗い歌が中心ながら表紙写真は明るくなり、その次の二十四歳のアルバム「立待岬」(一九八二年十一月)ではかなり自由な旋律の歌が目立ち、新しい森昌子の側面を示す。同じく二十四歳のアルバム「北風は暖かい〜今、故郷は〜」(一九八三年八月)では演歌とPOPが融合したような軽いリズムの歌が中心となる。そして、シングル「越冬つばめ」のヒットの後は、さらに軽い調子の、都会的なリズムの曲も歌い始める。それが二十五歳の時のアルバム「女の暦〜揺れる想い〜」(一九八四年十二月)だ。しかし、このあと歌謡界の引退が視野に入ってきたのか、次の二十六歳のアルバム「愛傷歌〜やがて秋から冬へ〜」(一九八五年十月)は面白い歌もあるがやや退廃的な側面が多くなり、これでアルバムは終了となる。

 二代のアルバムは今現在、ほとんどCD化されておらず過去のLPレコードを再現するか、YouTubeで聞くしかない。味わい深い曲が多いだけにCD化が求められる。


ブログ46.森昌子、アルバム「旅立ち」から


十九、二十歳とヒット曲に恵まれなかった彼女が、レコード会社を移って、最初に出したシングル曲が「ため息橋」で、そして二曲目が「故郷(ふるさと)ごころ」。そしてこの二曲を含めたアルバムが、「旅立ち」だ。このアルバムには上の二曲のB面「春日和」と「冬の部屋」も含まれている。「春日和」を最初聞いたころは、この声に背筋をぴんと張った女性像を見る感じがした。今聞いても、とてもいい曲だ。

  また、このアルバムには作曲家・船村徹のオリジナル作品が三曲入っており、そのうち一曲は「寒椿」で、二十五歳の時にはシングルA面で再度リリースしている。

A面
 1、故郷ごころ http://youtu.be/yJvHJB-OsLk  http://youtu.be/-7VPqgXHfmI

2、寒椿 http://youtu.be/E9qSchfU8Zw  3、小島の舟唄 http://youtu.be/3jL5RopsPhM

4、春日和 http://youtu.be/rX_t669jKOI  5、渡れない川 http://youtu.be/qd5AQuxxtJc

6、旅立つ彼(ひと) http://youtu.be/sF33gdZ85YA

B面 1、ためいき橋 http://youtu.be/puTDP_1O09U  http://youtu.be/h0VYnqXSWLM   http://youtu.be/aqLNt8rp1E4    

2、さよならの海 http://youtu.be/j2eCfGfkdHE  3、冬の部屋 YouTubeになし

4、別れて二年 YouTubeになし 5、北国ひとりぼっち https://youtu.be/XEhGHCqJTT0

6、微笑(わらい)泣き http://youtu.be/vkL5IUKI2u8


ブログ47.「旅立ちの彼(ひと)」から見る森昌子と森山良子

今日、たまたま、森山良子の二〇〇三年発売の「涙(ティアーズ)」というCDを図書館で借りたのですが、そこに森昌子がLPレコードで歌っている「旅立ちの彼(ひと)」という曲が入っていました。聞くなり、あ、これは森昌子の歌だと思いました。
 この歌は、彼女の元を去って、旅立つ彼に対して、『ごめんなさいね』と謝り、帰ってきて欲しい、と心から叫ぶ歌なのですが、森山良子と森昌子の叫び方に、大きな開きがあるのです。
 森山のほうは、彼に対して大きな声で叫んでいます。それに対して、森昌子のほうは、自分に向かって帰ってきて欲しい、と言っているように聞こえるのです。ぼそぼそ言っている感じなのです。だから、聞くほうにしても、自分の慰めのために聞かされている感じなのです。聞く方が第三者的になってしまうのです。森山は彼に言っています。森は自分に言っています。
 言葉としてどちらが伝わるかと言うと、森山の方です。結局、いい歌でありながら、このLPレコードの中では、いい作品にはなっていません。好きなら好きと、大声で言ってほしいのです。それでないと、聞く方にその感情がはっきりと伝わってこないのです。


ブログ48.村上春樹「ノルウェイの森」を読んで


村上春樹の小説「ノルウェイの森」(講談社文庫)を読んだ。この小説の終わりに近づくにつれ、YouTube上でアップロードされている、森昌子が歌う「さよならの海」の動画の背景シーンが気になってしよがなかった。それは、この動画の若い二人の抱擁シーンや激しく泣くシーンが印象的だったからだ。その画面をまず確認したい。


YouTub
から「さよならの海」 https://youtu.be/PAOlyUba7Ck

この抱擁シーンは小説のどの場面かはわからない。これがデパートの屋上での緑との抱擁シーンならよくわかるが(主人公と緑との愛が徐々に姿を現し始め、そしてそれがデパートでの抱擁シーンとなる)。しかし、泣いている場面はよくわかる。そしてこれぐらい激しく泣くのもわかる。泣き続けねばならない心情もわかる。


ブログ49.アルバム「そしてひとり」を聞いて

一体、森昌子の歌はどこへ流れていこうとしているのか。当てのない航海を続けているようだ。歌手と言うのは、このようなものなのだろうか。常に悩んでいるのだろうか。聞いていて、私もよく分からない。色々な作詞家・作曲家の歌を歌いながら、森昌子と言う歌手は、自分をどう表現しようとしているのだろう。

 

 森昌子の二十二歳の時のアルバム「そしてひとり」(一九八〇年十一月)を聴いた感想です。このアルバムは移籍後、「ためいき橋」、「故郷ごころ」、「信濃路梓川」、「波止場通りなみだ町」と続いたシングルレコードの、最も新しい「波止場通りなみだ町」をメインに据えたアルバムです。

このアルバムの一曲一曲の感想を書きました。またYouTubeの動画も載せました。

1、波止場通りなみだ町(少し退廃的で、気が重くなる、昌子に合っているのかどうか)

 (動画、http://youtu.be/OJ20CXpPE0k 、とても色っぽいですね)

2、雨の港町(単純なメロディーの繰り返しだが、軽快で気持ちがいい。何度聞いても飽きない曲)

(http://youtu.be/hHXpfw-m1T0

3、信濃路梓川(とてもきれいな曲、歌詞もいい。昌子のイメージや歌い方と合っている)

(この動画はすばらしい http://youtu.be/ypO9eZV9ySA)

(とても可愛い動画 http://youtu.be/W49SsxNFVQU)

4、夕焼けの空(とてもいい曲、特に三番がいい。こういう歌を歌ってほしい)

 (レコード https://youtu.be/raHav9gT_qk )

5、父と娘(まあまな曲)YouTubeになし。

6、雨の糸(ぼそぼそ話すような歌い方がとても新鮮で、聞き耳を立ててしまう)

(レコード http://youtu.be/apJ1ZKB5K6g)

7、白鷺(歌詞がよく似た風景で、陳腐、新鮮さがない)

(レコード http://youtu.be/mdZWO0sD5yU)

8、わかれの季節(昌子の声そのものに、十代のときのような震えがない。単調な声。曲は面白い)

(レコード http://youtu.be/XR9yGxY1jUg)

9、明日葉の歌(あしたば、ってどういう意味?歌全体は前向きで、軽快でいい)

(レコード http://youtu.be/2-ChxOEwlBY)

10、愛の白夜(大人の落ち着いた雰囲気の歌、でも、情景が浮かばない。昌子らしさが感じられない)

(レコード http://youtu.be/iUMw-vfWrZY)

YouTube動画を見ると、感想も少し変わってくる。それは二一歳前後の森昌子が、とても女らしくきれいになっていると言うこと。こんなきれいな女性が、どろっとした歌を歌うのですから、演歌ファーンにはたまらないかもしれません。でも、十代の歌が好きな私にとって、少し違うな、と感じるのです。


ブログ50.アルバム「北寒港」を聞いて

アルバム「北寒港」を最近のオークションで手に入れた。そして今日聞いてみた。印象はよくない。曲に色鮮やかな色彩が浮かばない。モノクロのようなイメージだ。歌詞があいも変わらず同じ言葉の繰り返しで、うんざりしてくる。森昌子の歌い方も、なんだか単調だ。演歌と言うのは、声の出し方や音域と言うのが歌謡曲とはだいぶ違うのでしょうかね。音楽のことはよく分かりませんが、私の琴線に触れる曲は少ないです。その中で、ひとり相手」が一番心に入ってきそう。「赤い糸」は前々から知っているので、この曲は好きです。他に「雨の再会橋」や「三日月恋情」ぐらいかな。ただし、シングルA、B面の曲は省いています。

それと触れなくてはいけないのが、表紙と裏面の写真。やはり、この時期の森昌子を端的に表わしているのではないでしょうか。表紙の伏し目がちな、気の重そうな顔。少し自信をなくしているのかな。まだまだ、自分が歌うオリジナルな演歌に、自信が無くて悩んでいるのかな。裏面の写真は、もっとひどいですね。砂利で、未舗装で、重機の轍(わだち)が残り、しかもセメント?で白く濁った水溜りがある道で、舞台衣装のようなきれいな服を着て何か遠くを見据えているのですから。こんな造成地のようなところで、何を見ているのでしょうか。これまでの自分とは違った、新たな自分を発見しようとするまなざしなのでしょうか、それとも、これから演歌の世界で生きることの不安を表わしているのでしょうか。

  私は、森昌子の後期の演歌を聴くたび、悲しくつらくなります。それは歌っている曲にでは無くて、昌子自身のあり方のようなものに悲しさを感じるのです。一つ一つの曲はいいのだけれど、なにか喜んで歌っているとは思えないつらさのようなもの。歌うことが本当の心からではないようなもの。

それは、私が森昌子の十代の曲が好きだからかもしれませんし、演歌の歌詞が好きでないからかもしれません。昌子の心は、もう少し、後期の曲を聞きながら、推測していきたいと思います。

私が挙げた四曲をYouTubeから

ひとり相手  http://youtu.be/_YyWeKk2AbQ  赤い糸 https://youtu.be/X6QNvW825do  

雨の再会橋 https://youtu.be/EPXMA-nOqlQ  三日月恋情 http://youtu.be/_qEECBMoFCc 


ブログ51、マニアックな聴き方ができる森昌子の歌

今音楽を聴く人のパターンはいろいろ細分化されているのだろう。今日の朝日新聞には、昨年度の音楽ランキングが載っていて、CDの売上部門は第一位から第四位までAKB48が占めている。一方、音楽配信サービスの「iTunes」のランキングではAKB48が十位以内に入っておらず、一位は「アナと雪の女王」の主題歌「レット・イット・ゴー」だ。これの理由はAKBが握手会でCDの売り上げを伸ばす一方、配信サービスではそうしたサービスがないなど、いくつかの理由が挙げられているが、消費者の側でも音楽消費が細分化されているそうだ。

  私自身、森昌子の歌を中心に聴いているが、森昌子の歌はアイドルとして、大衆歌謡の流れのなかにある一方、そうした流れではない面がある。昌子の歌の大きな流れとして、レコードのA面はヒットを狙った曲だろう。当時は多分、そのA面の売れ行きで、昌子の評価が下されただろう。

  だが今、森昌子を聴く人々は、A面以外の曲に、聴く喜びを見出していると思う。つまり、B面やLP(アルバム)、あるいはYouTubeで配信されている当時の舞台やテレビの録画シーン。たとえば、二十歳のときに発売された「昌子哀愁」というアルバム。これを最初聴いた時、とてもつまらなかった。しかし、何度か聞いているうちに、それはスルメのように、味わいを持ち始めたのだ。それはマグロの造りのように、上級な味わいではない。でも、二級品の味わいというのか、庶民の味わいというのか、作品群としてみれば、なかなかいけるのだ。

  アルバム「古賀メロディーを唄う〜二十一歳の演歌〜」も、当時多分、人気はなかっただろう。曲そのものが昭和十年前後だし、おとなしい曲だ。今も、YouTubeでの再生回数は多くない。しかし、私はこの古賀メロディー十二曲がどれも素晴らしくて、森昌子の最大の出来栄えではないかと思っている。そうしていろいろなアルバムを見ていくと、アルバム全体が素晴らしい曲で満ち溢れているものもあれば、アルバムのうち、一、二曲にとても印象深い曲が含まれていたりする。

  それらは茶の間でヒットした曲ではない。A面ではない。だから、今は、聴こうとしてもなかなか聴けない曲が多い。それはLPレコードを再生しデジタル化しなければならない。

  ある面、マニアックな聴き方に入るのかもしれない。しかし、今の音楽業界というのはCDランキング一位のAKBや五位の嵐にしろ、それを聞くのは大衆ではなくて、一部の若者に過ぎないだろう。そうした、細分化、マニアック化が進んでいるというのなら、森昌子の歌は、とてもマニアックな面を持った歌が多いということだ。ヒットした「せんせい」や「おかあさん」、「哀しみ本線日本海」、「越冬つばめ」以外の曲は、二級品揃いかも知れない。でも、不思議なことに、その二級品だからこそかもしれないが、そこに手垢のつかない、綺麗な隠れた小川を見るような、川辺の堤防に居眠りするような、心地よい調べが拡がっているのだ。

  森昌子の歌の多くは、そうしたマニアックな聞き方が出来る作品が多いということだろう。

  一例として、二十三歳時のアルバム「北の女」(一九八二年五月)。「哀しみ本線日本海」のヒット後、最初にでたアルバムだ。このアルバムは全体として暗いが、「鴎歌」、「北寒港」、「哀しみ本線日本海」のA面曲以外に、「別れ船」や「紫陽花の雨」など、それなりに味わいある歌が含まれている。これらを聞くには、レコードの再生かYouTubeでしか聞けないが、今持って十分心に響いてくる曲だ。特に「別れ船」がいい。

YouTube
から

森昌子、アルバム「北の女」所収。

別れ船  https://youtu.be/dlbQJoMSHA0

紫陽花の雨  https://youtu.be/GJ-erVyKvFk


ブログ52.森昌子、アルバム「北の女」から


アルバム「北の女」は一九八二年五月発売だから、シングル「鴎歌」(一九八二年三月)を歌っている時だ。その前年に、シングル「哀しみ本線日本海」がヒットし、久々に森昌子健在をアピールしたわけだ。

  森昌子という歌手は元々、明るい歌手なのだろうけど、十九歳以降ヒット曲に恵まれず、昌子自身いろいろ悩むことが多くて、精神的に危機的な状況だったのだろう。アルバム「北の女」の表紙写真は明るくなっている。「哀しみ本線日本海」のヒットで自信が戻ったのかもしれない。歌は寒い地方の海や女が主題となっており、日本海だけでなく、東北や北海道地方まで歌っている。「別れ船」もそうした一連の北の海をテーマにしていると言える。


YouTubeから

1.「鴎唄」 https://youtu.be/J59WNF1_h20(少し気の抜けたような歌い方。)  https://youtu.be/SP4KVvtJFhA 

2.「サビタの花」 https://youtu.be/LGfOvx5_UAg 

3.「流氷情話https://youtu.be/z8arZcGLqMY  4.「妹」 YouTubeなし 

5.「哀しみ本線日本海

https://youtu.be/cAv46t-S3G0 https://youtu.be/V4dNFGc6KuU (動画)

https://youtu.be/4u1RxBNRezM (これもいい動画) https://youtu.be/UlHu2t2JzkU (動画)

https://youtu.be/nqsygp-zu9w (CDから) https://youtu.be/MuYyTu7fAJM (再デビュー後)

6.「北寒港 https://youtu.be/KjzPdUIwyTo (一九八一年)

https://youtu.be/GWo5CtKPMlI (昌子らしく明るい。でも、声量が少し乏しいね)

https://youtu.be/IfnKPx6Qokg (十周年記念リサイタルの声)

https://youtu.be/TNW6ux8278A  https://youtu.be/sQkvw0NgffM (NHKのど自慢の録音)

7.「花暦」 https://youtu.be/09nguZIAmK8  8.「別れ船」 https://youtu.be/dlbQJoMSHA0  

9.「白鷺」 https://youtu.be/mdZWO0sD5yU 10.「紫陽花の雨」https://youtu.be/DZ8Drbc_E-Q


ブログ53.森昌子、アルバム「立待岬〜愛しき人へ」


二十四歳の時のアルバム「立待岬〜愛しき人へ」(一九八二年十一月)を二級作品とけなしたが、何度か聞いていると、森昌子の今後の歌の方向性を示す特徴が、このアルバムに表れているようにも感じられた。

それは大人の演歌として、大人が聞くに堪えられる歌とも言える。このアルバムは、人を優しく包み込むような夜の闇と酒、そして思い出の切なさが入り混じった、都会の情念や男女の関係、さらに年を重ねるにしたがい、きれいさよりも汚さが目に付く人間、そうした、人間臭さのようなものを、昌子独特の優しさ、きれいさで昇華しているともいえる。

昌子の歌はどんな歌でもきれいだ。汚れた歌でもきれいに歌うと思う。
このアルバムで昌子の特徴的な演歌を四曲選びました。

「日暮れ雨」 (昌子演歌の特徴を最も表わしているように思う) 

http://youtu.be/2d-B7mf4TZY  

「思い川」(これも昌子らしい歌い方だし、メロディーが頭にこびりつく) 

http://youtu.be/MSViQX4qNCQ 

「思い出めぐり」(これは昌子の声が特にきれいだ。声の調子の良い時に録音したのかもしれない)

http://youtu.be/WYEwqayYCYU     

「夢帰り https://youtu.be/6ehQ6UnWuPg


ブログ54.アルバム「立待岬〜愛しき人へ」を聞いて(その2)

前回、このアルバムの演歌について取り上げたが、このアルバムは演歌だけからなっているのではない。二十二歳ごろからは演歌歌手と呼んでもおかしくないようになってきたが、もともとは演歌歌手ではない。歌謡曲を歌う歌手、ポピュラー歌手だろう。歌謡曲と演歌の違いは何かと言うのはさておき、このアルバムの中には、とても軽やかな曲(東京ランデブー)や父親を思う温かな曲(季節(とき)に抱かれて)、高音が連続するとてもきれいな曲(美濃赤坂線)が含まれている。十曲のうち半数ぐらいがこのような曲であと残りが演歌。もし、演歌ばかりなら、このアルバムは暗くて聞けないだろう。昌子の歌の傾向としては、完全に演歌にのめりこんでいるわけではなさそうだ。

この次のアルバム「北風は暖かい」も演歌とも歌謡曲とも言える、中間的なものが大半を占めている。「越冬つばめ」は演歌だろうが、「ほお紅」は演歌だろうか。森昌子の場合、どうしても港や涙、失恋が似合う女に仕立て上げられた感があるが、「越冬つばめ」以降、それらから遠ざかる傾向にある。「寒椿」、「ほお紅」、「涙雪」、「恋は女の命の華よ」は都会的なセンスあふれる曲だ。

  森昌子の演歌は「立待岬」から演歌歌手として花開き、都会的なセンスを歌うことでそれを確実なものしていったのではないだろうか。

YouTubeから

「東京ランデブー」(こういう軽快な曲をもっと歌ってほしいな。昌子が歌えばどんな曲でも聞き応えがあるのだから)http://youtu.be/uEfIUKhWbLc 

「季節(とき)に抱かれて」(とても聴きやすい曲ですね。名曲の部類だろう)

https://youtu.be/t949oo0QgP8  

「美濃赤坂線」(もし十代に歌っていれば、もっと違った歌い方をするだろう。声や発声が演歌に慣れすぎたためか、高音部分に不満が残るが、それでもとてもきれいに歌い上げている)

http://youtu.be/d0e8fjLWAps https://youtu.be/OEgrJmuWSx8 (動画)


ブログ55.森昌子、アルバム「北風は暖かいー今、故郷は…」


二十四歳のアルバム「北風は暖かいー 今、故郷は…」(一九八三年八月)は、心の和むいい曲が並んでいる。このアルバムは、解説書によれば、NHKの『民謡をあなたに』の番組で司会役を務めた森昌子が、各地で出会った人びとと心を通わせながら話し、聞いたことを、作詞家杉紀彦がそれらをモチーフにして作詞したとのことだ。地元の人と話をする森昌子の若い頬は上気し、その息遣いがやさしさに裏打ちされて、とてもぬくもりのあるものに感じられた、と番組のプロデューサは書いている。満員の会場では、司会役の森昌子が出てくると、途端に和んで来るそうだ。

 

  森昌子の歌の流れを見てみると、会社移籍後、「ためいき橋」、「故郷ごころ」、「信濃路梓川」、「波止場通りなみだ町」、「北寒港」、「哀しみ本線日本海」、「鴎歌」、「立待岬」、「ふるさと日和」、「越冬つばめ」と続く。このアルバムは「ふるさと日和」に関係して作られている。

杉紀彦はこれまでに、ステージの組曲やエンディングの曲に深く関わっている。また、「なみだの桟橋」も作詞している。今回は、ふるさとがテーマだから、詩そのものにそれほどの新鮮さは感じない。でも、曲はすべて聞き応えがあるし、何度も聴いてみたくなる曲がある。

  YouTubeには残念ながら、「幸せにかける橋」や「帰郷」がありません。残念ですね。でも、「ふるさと日和」の動画が数多く残されているのは、当時の歌の雰囲気を知る上からとても貴重なものです。この次の曲が「越冬つばめ」。これらの動画を見ていると、「越冬つばめ」がヒットしたというより、森昌子の人気があって、その上で「越冬つばめ」がヒットしたというほうが正確かもしれませんね。それだけ、当時の森昌子は人気があったということを感じますね。

YouTube

アルバム「北風は暖かいー 今、故郷は…」より

「北風は暖かい」http://youtu.be/P9sY3u2kyF4  「紅花になりたい」 http://youtu.be/2HfkmoM4Jjw 

「紡ぎ紡いで」 http://youtu.be/DGTAIgFrCNo 

「海峡記」 http://youtu.be/DVxtyiHhmhs 

「かずら橋物語」 https://youtu.be/96pkrFM4h24 

「ふるさと日和」 http://youtu.be/H_m6SLrpwDk (代表的な動画) http://youtu.be/AhssetxBwn8   http://youtu.be/onlESUnDRzc(ほのぼのとした歌い方)http://youtu.be/TVR9BFaOlvI

「幸せにかける橋」 YouTubeなし

「あなたの灯台」 http://youtu.be/C1s1jO7KJE4 「花追い人」 https://youtu.be/w3U4svJ5C6U 

「帰郷」YouTubeなし


ブログ56.大阪市内の一番美しい場所で森昌子の「帰郷」を聞く


今日、私は夕方、「walkman」をもって近くの大正内港へ散歩に行きました。実を言うと、気持ちがなんだか重く、晴れなかったのです。いつもは昭和山へ行くのですが、海を見るのも又違う気持ちになれるのです。内港の浅瀬には、たくさんのカモが泳ぎ、大きなサギも一羽いました。森昌子のアルバム「北風は暖かい」の中の「幸せにかける橋」、「あなたの灯台」、「花追い人」とかけていると、だんだん気持ちが上向いてきて、「帰郷」を聞いていると、足が勝手にリズムを取って動き出すのです。この曲の、何と軽やかでリズムのいいこと。このときには、千歳橋の欄干にいて、その広大で美しい光景を見ながら、体中が踊りだしそうでした。ああ、この光景は、多分大阪市内で一番美しい光景だろう、と思いました。海、山、テニス場、きれいなマンション、昭和山、遠くに日本一の阿倍野ハスカルビル、さらに遠くに、生駒山の稜線、二上山(ふたかみやま)の二つのくぼみ、そして金剛から葛城山、もともとは大阪平野は淡路島まで繋がった海だったのだな、と言う思いが強くなりました。そして、今の地質の仕事の状況がいかに不完全なものか、いかに歯車的な、部分的な仕事なのかと言うことが思い巡らされて、自分の置かれている状況が少しは理解できて、気が晴れてきました。

大阪の大正区、ほとんどの大阪の人間が来たこともない所が、大阪で一番美しいとは何と皮肉なものだろう。そして、森昌子の「帰郷」というほとんどの人が知らない、CDにもYouTubeにものっていなくて、古いレコードのアルバムでしか聞くことができない曲が、人の身体を自然に動かせ、沈欝な気分を取り除いてくれるとは、誰が想像できるだろう。


ブログ57.森昌子が歌う作詞家・杉紀彦の世界

森昌子が歌う、作詞家・杉紀彦の作品を集めてみたくなりました。というのは、彼が作詞した歌は、心に残っているのですが、それは組曲だったり、エンディングの歌だったりして、一つの独立した曲としてまとまりに欠けているのです。以前に、私が好きな動画集とか言う題名で杉紀彦さんをこのブログで取り上げたことがあるのですが、再度、今回、取り上げることにしました。

YouTubeから

最も早く、印象に残る曲がデビュー五周年、歌舞伎座特別公演(昭和五十一年九月、十七歳)で歌った、「母に手紙を書く時は」(服部克久作曲)

http://youtu.be/2iNbFlHEm8c http://youtu.be/vW_F5JzRAHc   http://youtu.be/xR2lbYnUzgA 

次は 昭和五十二年一月十八日(十八歳) 「浅草国際劇場 新春特別公演森昌子ショー」で歌う「思い出をください」(服部克久作曲)

http://youtu.be/xPAbm6vwenA 

学校を卒業してからの、新歌舞伎座特別公演(昭和五十二年八月十八日(十八歳)「涙の熱唱」で歌った「なみだの桟橋」(市川昭介作曲)と「この胸の幸せを」(佐々木勉作曲)。 

 なみだの桟橋 http://youtu.be/u0E-nLiM208  http://youtu.be/ddSmCZ-WKZw (この歌い方もすばらしいですね)  http://youtu.be/crSXsj3Q7DI   

この胸の幸せを http://youtu.be/hWBoGU8u-e4  

 

その次は、デビュー七周年記念リサイタルで歌った、組曲「ほたる子」(服部克久作曲)と「いつまでも愛していたい」(服部克久作曲)

生きて下さい 愛して下さい http://youtu.be/QcIoX_C45S0  「恋唄」とても好きなのですが、YouTubeになし

 いつまでも愛していたい http://youtu.be/FCSflvikZmA 

 

さらに、十周年記念リサイタル(一九八一年十一月、二十三歳)でも、組曲?として四曲ほど彼の歌を歌っています。もう一つかな?

昔ばなしは風の中 http://youtu.be/XHiFRJnRay0 

恋囃子ふるさと祭り http://youtu.be/O1S4hs1xq1g 

かもめ回帰線  http://youtu.be/wV5W92Ibv-Y https://youtu.be/I1tp-T5mIhM 

流氷情話 http://youtu.be/z8arZcGLqMY  

 

その他、

シングルレコード

春の岬(一九七七年十一月、十九歳) http://youtu.be/Ifp1226PzQM  http://youtu.be/a4kvteVTGCQ   http://youtu.be/b5t58oIrPhE 

ためいき橋(一九七九年十月、二十一歳) http://youtu.be/puTDP_1O09U  

http://youtu.be/aqLNt8rp1E4 (この画像はとても色っぽいですね)

  http://youtu.be/h0VYnqXSWLM   http://youtu.be/mGBor43djN0 

 

LPレコード

純情詩集(一九七七年五月、十八歳)  https://youtu.be/Gfd9nShFrEA  

北国ひとりぼっち(一九八十年三月、十九歳) https://youtu.be/XEhGHCqJTT0  など。

こう見てくると、杉紀彦という作詞家は、森昌子のステージを組曲で支えたという面とシングルレコードでも昌子の歌唱力を引き出した人なのですね。アルバム「北風は暖かい」の中の、「海峡記」や「帰郷」も良い曲です。

  海峡記 http://youtu.be/DVxtyiHhmhs 



ブログ58.森昌子 アルバム「女の暦〜ゆれる想い〜」を聞いて


最近、森昌子の二十六歳のアルバム「女の暦 〜ゆれる想い〜」(一九八四年十二月)を手に入れた。B面は出張先に持っていって聞いていた。A面はこれまで一、二度聞いただけだ。今日、「walkman」で聞きながら、自分なりのコメントを書いてみた。このアルバムを聞いて感じたことは、森昌子って、やはり演歌歌手ではないってことだ。演歌も歌うが、演歌ばかりではないと言うことだ。このアルバムはそれを証明しているようにも思う。全十曲。順番に紹介していこう。

YouTubeから

「ほお紅」 https://youtu.be/VgygBxxcN0E  http://youtu.be/qROjFbpy9Vg  

この歌の歌い方はとても優しいが、このほお紅をつける女性は、誰なのかと言うことが頭をよぎる。果たして森昌子のことなのか、あるいはドラマの主人公のことなのか。これがテレビの主題歌でなければ、作詞者は多分、森昌子のことを思い浮かべながら作詞したのだろうと思う。でも、ドラマ場合はどうなのだろうか。でも、歌としてはとてもいい。男性の私でも、ほお紅をつけて歩いてみたくなる。今の女性も、ほとんどの人がほお紅をつけている。その気分を、森昌子もうまく表現していると思う。

「吉祥寺物語」  http://youtu.be/fqJ7z5BUACg

とてもきれいな曲だ。作詞が秋元康。AKB48の生みの親。詩の内容が昔暮らしたアパートの思い出で、やや陳腐だが、曲が良くて、森昌子の歌い方がうまくて、とてもいい曲だと思う。

「哀しみの向こう側

http://youtu.be/g85R4nIdu3U   http://youtu.be/eoHoIqsj4Ig

ちょっと違った雰囲気の歌だ。こういう軽い歌い方も、森昌子に歌わせたい。大人っぽい歌い方だ。こういう種類の歌を集めて、アルバムにすれば、これまでの演歌の森昌子を抜け出せるかもしれない。でも、これ一曲では、効果は薄いね。

「ゆきのはな」 http://youtu.be/0jfbKVqFhxg

絵画のような、動きの少ない、少しだけきれいな曲。詩もいいのか悪いのかよくわからない。 

「冬化粧」 http://youtu.be/yt798NiYruY

秋元康作詞。男と女の愛の関係を歌った曲だ。「涙雪」と似た歌だ。それなりにいいのかな、一、二度聞いただけでは、よくわからない。

「浪漫秋(女の暦、挿入歌)」 https://youtu.be/37iHvzgTra0 

「ほお紅」とよく似た曲だ。愛や結婚にあこがれる女性のきれいない心情を歌っている。とてもきれいな曲。でも、浪漫秋って何なのでしょうか

「冬の陽炎(かげろう)」  http://youtu.be/aU3ium86pAk

 このアルバムの中では、「ほお紅」「涙雪」を除いて、一、二番目にいい曲だと思う。

「昔、むかし・・・」 http://youtu.be/hj50qO9KYg0

これは森昌子のことを歌っているのでしょうか、あるいは作詞者の思い出なのでしょうか。

「涙雪」 https://youtu.be/LzpmahMJ8vo  https://youtu.be/Veruj6k4LUU  

秋元康作詞、芹澤廣明作曲。曲、詩ともこのアルバムの中で最も完成度が高いと思う。「夜が近づいて 二人をせかせるは ・・・」、男と女は夜に、物語を持つって感じ。別れ話は夜が多いものね。

「あなたの椅子・立秋」 https://youtu.be/BrSI8BrauTE   

ピアノの伴奏で、とても美しい曲。でも、この歌声には、森昌子の心からの訴えがある。それは聞くものにとても響いてくる。二十五、六歳の森昌子そのものの叫びのようにも聞こえる。このアルバムの中では最も感動的な曲。 


ブログ59.森昌子 「おまえと呼ばれたい」

今日、引退一年前のアルバム「愛傷歌〜やがて秋から冬へ〜」(一九八五年十月)のB面を始めて聞いた。なんと森昌子二十七歳の曲だ。私が聞きなれた二十二、三歳という年齢と、隔世の感がある。女の年齢と言うのは、男とは違うね。女の二十七歳と言うと、もう熟女の感じがする。

B面はほとんどが三木たかし作曲だ。引退間際になると、この人の作曲が多くなる。黛ジュンのお兄さんだと思うが、いい曲を作っている。五曲のうち、「おまえと呼ばれたい」はシャンソン風な、軽い感じがして、新しい境地を開くようないい歌だ。こういう歌を歌ってほしい。

YouTubeから B面

アルバム「愛傷歌〜やがて秋から冬へ〜」から

おまえと呼ばれたい http://youtu.be/yGEqnTXmMQc 嵯峨野情話 http://youtu.be/FcMsINONxeQ 

「嵯峨野情話」、これは歌詞に特徴がある。聞き流すだけでは、一つ一つの言葉がはっきりしないが、心をくすぐる曲だ。

夜汽車 http://youtu.be/VysF8lh-SQ0 この曲はいいと思うのだが、夜汽車と言う言葉が陳腐な感じがする。もっと別の言葉を使えば、全体としていい歌なのだけれど。

おんな舟歌 http://youtu.be/zJudsLiMc8U これも悪くはない。

恋きずな https://youtu.be/LEtDqlUOZUg (「愛傷歌」のB面。)


ブログ60.森昌子の霧に包まれた演歌

アルバム「愛傷歌〜やがて秋から冬へ〜」(一九八五年十月)のA面は、何か変な歌い方だ。録音の仕方が悪いのか、わざとこんな歌い方をしているのか、それとも曲にあわせると自然とこのような歌い方になったのか、清明な歌があるとするとこれは霧に包まれた、あるいはおぼろげな、あるいは退廃的な演歌、と呼べるものではないか。あまりに歌に味わいを持たせようとしたあまり、人にこの味は何だというような、怪訝さを感じさせる歌い方になっている。これでは歌手としての輝きは失われる、と思えるのだが(ただ、「未練雪」は森昌子的な雰囲気も大いにある)。

YouTubeから A面

二人づれ  http://youtu.be/fb-mAUmyq8k 未練雪  http://youtu.be/KUopHKurHww 

鎌倉にて・・・秋子 http://youtu.be/npZA7XPAV28  幸せ明かり  http://youtu.be/nM6AWVYcs1A


ブログ61.私のいる風景

一週間ばかり和歌山県の那智方面へ出張に行き、身体も精神もくたくた。多分森昌子の歌が無ければ、もっと精神的に追い詰められていただろう。毎日がもっと味気ないだろう。

いつか再び、おまえと呼べる人と出会えればと願う。


「おまえと呼ばれたい」 http://youtu.be/yGEqnTXmMQc 

「赤い糸」  https://youtu.be/X6QNvW825do

花追い人https://youtu.be/w3U4svJ5C6U

「砂時計」 http://youtu.be/T_-EEFc0r1E 

「夕笛の丘
https://youtu.be/A3P-a2krlZE 

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