2−2、少女(高校生)時代を楽しむ

ここで少女時代と呼ぶのは、森昌子の高校生時代及び九歳の誕生日を迎えるまでの期間である。最も声が綺麗で、歌に意欲的で力強さが感じられる時だ。美空ひばりに可愛がられ、ひばり二世とまで言われた。この時期、シングルレコードのA面に、森昌子の声に合った小気味のいい秀作が並び、聴く者にリズミカルな感動を与える。その感動は声のちょっとした震えや高音部の声の出し方による。この時代に森昌子のコアなファーン層が出来上がったのではないだろうか。そのコア層というのは、代、二代の若者ばかりではなく、中高年のおばちゃん・おばあちゃんも含まれる。そうした幅広いファーン層に森昌子の歌も影響され、あるいは森昌子が「十六歳の演歌」というアルバムを発表するからなのか、舞台でもヒット曲ばかりでなく、民謡や演歌、大正・昭和初期の歌まで多種多様な歌を歌っている。この多様な歌をそつなくこなすのが森昌子の特徴ともなっている。

 高校卒業時点において、森昌子は大学に行って学校の体育の先生になることを心に決めるが、実際は歌手を続ける。しかし、常に歌手を辞めることを考え続けたのが森昌子である。卒業後、シングル「なみだの桟橋」が一つのピークとなり、それ以降、「哀しみ本線日本海」まで、大きなヒット曲がなくなったが、それでも、テレビや舞台では活躍し続け、お茶の間では人気を持続し続けた。

ここでは主に面を主体にB面曲も取り上げるが、この時期に発表されたアルバム「あの人の船行っちゃった」(一九七五年十二月)や高校卒業時のアルバム「出発の詩集 港のまつり」(一九七七年五月)に関係するブログも取り上げる。これらのアルバムもこの時期特有なポピュラーな曲から構成されている。


ブログ7.「森昌子」再再考

半年間も森昌子を聞き続けている。車の中で、家ではパソコンのYouTubeから流れる画像を見ている。まるで恋に落ちた若者のように無我夢中で一人の女性の声を聞き、画像を見ている。うちの息子からすると異常だとのこと。でも他の人の曲を聞く気になれない。聞くとそれなりにいいのだが、また、森昌子に戻ってくる。

  何がそれほど、私をひきつけるのだろう。音楽というものの魅力なのだろうか。これを機に、いろいろな音楽を再発見したいと思う。色々なジャンルの曲を聴きたいと思う。そういう思いが芽生えたのは確かだ。それはまさしく音楽という領域のことだろう。

  だが、音楽の魅力というものだけではない。もっと詳しく見れば、森昌子の十代の声が持つ、共感性のようなものだ。それは「面影の君」、「夕笛の丘」、「おばさん」、その他の曲に見られるちょっとした声のふるえや声の伸ばし方、あるいは甘ったるい声、あるいは凛とした声、それが、歌詞とハーモニーをなし私の心を震わせるのだ。歌い方が上手いだけではない。CDの技術もあるのだろう。もっと深く突き詰めれば、森昌子の生い立ちとも関係しているのかもしれない。

  たとえば、森昌子の髪型が、岩崎宏美のような癖のないロングが似合っていたら、私の心をこんなに打つだろうか。モンキーのような髪型はたまたまの偶然とは思えない。それは森昌子の育った環境や周りから受けた教育・知識あるいはもって生まれた感受性と密接にかかわっていると思う。彼女は二歳ぐらいまで、祖母に育てられ、その後両親と六畳一間の家で暮らし、そこでは風呂も近所の親戚の家で借りて入り、便所も共同便所だったということを本人が話していた。母は心臓が悪かったらしい。彼女の髪型はなるべくしてなったのではないだろうか。

だから、彼女の若いころの歌にはそういう生育環境から受けた感性が発露しているのではないかと私は想像する。そして、二十歳ぐらいになると、徐々にそうした感性から変化し、裕福になった分、声に変化をもたらしたのではないだろうか。逆に女性らしい優しさが前面に出てきた。それは「信濃路梓川」の画像に端的に出ている。そして、二十四,二十五歳ごろの演歌はとても上手くなってきて、人の心を捉える。「恋は女の命の華よ」、「ほお紅」、「越冬つばめ」、「鴎歌」、「いつまでも愛彩川」、「寒椿」…いい曲が一杯だ。でも、十代の歌のような感動は覚えない。それは感動ではなくて、うまさだ。尾崎豊の曲にも感動して涙したことがあった。尾崎豊は当時、歌詞に感動したと思うのだが、森昌子の場合はやはり声だ。歌詞はつまらない歌詞が多いのが残念だ。


ブログ8.森昌子、高校2年生の歌声(POP編)

森昌子のデビュー以来の曲をたどってみて、彼女は十六、七歳に、一つの代えがたい「演歌の世界」を築いた。しかし、彼女の演歌と言うのは、アイドルとしてみせる、裏の世界だ。アイドルとして人気を博した歌は、これらの歌ではない。アイドル当時のことを私は全く記憶がないが、三年ほど前から聞き始めたそれらの歌は、今の私にも心に訴えかけてくるものが多い。そのよさと言うのはどういうものだろう。音楽的なことは良くわからない。でも、私が感じるその一つにはリズムの良さがある。これでもかこれでもかと言うような、リズム感が襲ってくる。次に感じるのは、声の振るえというのか、響きなのか、何か心を震わすのだ。そして、声そのものの持つ美しさ。この美しさは何か無機質で機械的な美しさだ。
 高校二年生のシングルレコードは「面影の君」、「あなたを待って三年三月」、「あの人の船行っちゃった」、「おばさん」だ。なんと贅沢なラインナップ。次の高校三年生の「夕笛の丘」(一九七六年六月)とあわせて、聞くものをとりこにせずにはいられない。これが、森昌子の世界だ。そしてその陰に隠れて、演歌の世界がある。森昌子にとって、高校二年生は最も充実した、輝いた時なのだろう


ブログ9.森昌子の初期の歌を年代順に味わう

テレビ大阪で今日の午後七時から名曲歌謡ベストと言う番組があって、一九六〇七〇年代のベスト三を取り上げていた。少し見ていたが、残念ながら、森昌子の歌はベスト三には入っていなかった。

私が思うには、彼女の歌は、一曲だけ聞くのではなしに、その年代の曲を曲程度聞くと、その良さが出てくるように思う。今日も、私は和歌山の串本から大阪へ帰る途中、五時間ぐらいずっと彼女の歌を聞いていた。色々聞いた中で、だんだん聞き飽きてきて、気分を変えたいと思う時、やはり、シングルコレクション51のDISK1に戻る。DISK1は森昌子の「せんせい」から「どんぐりっこ」まで初期シングルのA面八曲を集めている。

 このDISK1には二〜三曲を除いて、とてもすばらしい曲が並んでいる。年代順に、これだけすばらしい曲を立て続けに歌ったのだから、多くの人をとりこにしたのも頷ける。このうち、「おかあさん」は、明るくて元気がよくて、初期の作品にはなくてはならないもの。「下町の青い空」「北風の朝」「春のめざめ」も明るくてすがすがしくていい曲だ。

 「面影の君」は昌子らしい特徴的な声で歌っていて、なくてはならない曲。「あなたを待って三年三月」もいい。「あの人の船行っちゃった」も、声に特徴的な、昌子らしさを最も表わしている曲だと思う。

次にくるのが「おばさん」。これは少し異色だ。でも、この声のすばらしいこと。そして曲・歌詞・声の総合的な要素で一番良いと思えるのが「夕笛の丘」。これらの曲は、何も恣意的に並べ替えたのではなくて、シングルレコードの発売順なのだから、そこに非凡な才能を見ない人はいないだろう。

そこで、シングルコレクション51のDISK1の歌を取り上げた。八曲は多いので、一曲選んだ。初期の歌を年代順に聴いて、その良さを味わって見てはいかがでしょうか。

YouTubeから

1、夕顔の雨 https://youtu.be/b0m1WdFo118  https://youtu.be/8vsh_zVR6ZY (一九八一年動画) 

2、記念樹 https://youtu.be/T53AsWkEcLI  http://youtu.be/an8N0bVqBps(動画)

3、下町の青い空 https://youtu.be/Yiwftur9T4k  https://youtu.be/7KoWSRGwfjs (動画)

4、おかあさん https://youtu.be/6d9UlIc8t9o  https://youtu.be/hIE89YY3T-8 (一九八一年動画)

5、北風の朝 https://youtu.be/1WxhG57Y2y8  https://youtu.be/3-5Xg081hbo  (一九八一年)  

6、春のめざめ https://youtu.be/DX4jeS9bjzI  http://youtu.be/3yXG4I0cA28 (動画)

7、面影の君 https://youtu.be/hHCN8HNq2Lo (レコード)https://youtu.be/7gSieEhFNXE (動画)

https://youtu.be/f4lPLLgBWVE (一九八一年の動画)
8、あなたを待って三年三月 http://youtu.be/_81YB9Jb1m8(最もポピュラーな動画)

https://youtu.be/5VXgkp2i4Yc   (レコード)

http://youtu.be/PQ1FgAqe1hQ(紅白歌合戦)http://youtu.be/CdWU9CwhmU0 

http://youtu.be/2agP0As_XW8(表情がとても明るくてお嬢さんっぽい感じ、二十才)

https://youtu.be/OrQznYMda9A (一九八一年、ちょっと大人びた感じ)
9、あの人の船行っちゃった https://youtu.be/sASE3GZ90Ls (レコード)http://youtu.be/Up-Y4pIG3Rw http://youtu.be/1tUAJapVIu0(一九七七年)   https://youtu.be/PHFRj03NVw8 (一九七六年動画)
10、おばさん https://youtu.be/qV9Zi8IHHuc (レコード) https://youtu.be/b8OKM6G0Dc0 (動画)  

https://youtu.be/kZc9bYl18I4 (舞台での映像)
11、夕笛の丘 http://youtu.be/CwvLHky0ltw(動画)http://youtu.be/A3P-a2krlZE(動画)

https://youtu.be/fyd4Mq6zT2M (動画) http://youtu.be/4kbRUC6URqk(一九八一年動画)


ブログ10.森昌子、高校3年生の歌声(POP編)

今日は森昌子の高校三年生の歌声を考えてみたい。私は残念ながら、「夕笛の丘」以降の曲をあまり評価しない。

まず、高校三年生のシングレコードにはどのようなものがあるのかリストアップした。

  A面 

夕笛の丘 (一九七六年六月) (B面:北の夏)

どんぐりっ子 (一九七六年八月) (B面:山形民謡 花笠踊り)

少年時代(一九七六年九月) (B面:にほんの詩)

恋ひとつ雪景色 (一九七六年十月) (B面:あすなろう)

小雨の下宿屋 (一九七七年一月) (B面:恋景色)

 

中学、高校一、二年と築いてきたものが「夕笛の丘」以降、崩れてきそうな感じの、もの足りなさだ。

「どんぐりっ子」は東宝映画「どんぐりっ子」の主題歌らしくて、映画の封切りは、七月三一日。山口百恵・三浦友和コンビの映画「風たちぬ」の二本立てで上映され、その年の配給ランキング六位と言う(ウィキペディアより)。百恵と友和はもう熱々状態?それに比べ、森昌子は片思いの歌ばかり。

こういう事情があるのかないのか知らないが、「どんぐりっ子」にしろ、「少年時代」にしろ、「恋ひとつ雪景色」にしろ、もうひとつ心に訴えかけるものが少ない。高校三年と言う最高の時なのに、いい歌を歌えなかったのというのは、とても残念。

「小雨の下宿屋」は少し心に訴えるものがある。でも、私にとったら歌詞の意味が良くつかめない。どういう情景を歌っているのか、森昌子の立ち位置や下宿屋の人との関係があやふやだ。だから、聞いていて意味がわからなくなって、不満が残って、結局評価としてよくなくなってしまう。

でも、声は一級品だから、ステージの歌声はすばらしい。ほんとうなら、ここでこれまで築いてきたものを爆発させるほどのヒット曲があってもよかったのに、逆に停滞し始めた。そして、歌手を辞めるかどうか悩み、大学へ進学するかどうか悩む。山口百恵が歌手・女優として爆発的に名声を博していくのとは逆だ。森昌子のひとつの限界点を示しているのだろうか。

YouTubeから、この時代のA、B面を聞いてみよう。

夕笛の丘 http://youtu.be/A3P-a2krlZE https://youtu.be/CwvLHky0ltw 

(B面:北の夏、作詞:及川恒平、作曲:高田弘)  https://youtu.be/Y_1vJWHKmaE 

どんぐりっ子 http://youtu.be/OfbcAUnG5c4  

(B面:山形民謡 花笠踊り)

少年時代(作詞:阿久悠、作曲:遠藤実) http://youtu.be/OjXy71UP9Iw  

(B面:にほんの詩 作詞:阿久悠、作曲:遠藤実) http://youtu.be/7erLbAOmqiY  

(爽やかな感じ。でも、一番以外森昌子の立ち位置がもう少し不明)

恋ひとつ雪景色(作詞:阿久悠、作曲:井上忠夫) https://youtu.be/bZXSAkVPlfE  http://youtu.be/986xBTgkdpk(レコードの歌い方は好きでないけれど、この動画の歌い方はいい)https://youtu.be/cHXLzFqHUEw  http://youtu.be/Jye5JPhVM7U   

(B面:あすなろう 作詞:阿久悠、作曲:井上忠夫)

 https://youtu.be/DcJsJzXtF0I (声もいいし、歌詞もいい)

小雨の下宿屋 http://youtu.be/vE1d9Pa-YRM (卒業式の時)https://youtu.be/gNb8trguYGE (僕はこの動画が好きですね) http://youtu.be/xjmL4NEjIuo (この声も綺麗ですね)

(B面:恋景色) http://youtu.be/KuOrxEyGfi8 


ブログ11.YouTube特集、森昌子「冬ばら」、「おばさん」、「小雨の下宿屋」

1、以前、YouTubeで見て印象に残っていて、いつの間にか消えていた「冬ばら」。再び、アップロードされていました。この曲は、オリジナルなのか、カバー曲なのか知りません。YouTubeの録画は昭和五十四年十一月と書いてあるので、昌子の二十一歳の歌ですね。昌子にしては、非常に前向きで、歌詞がわかりやすくて、もう一度聴いてみたくなる曲です。

URL:http://youtu.be/VDQfE6SRKcw 

2、「おばさん」はシングルA面の曲で、たまに聞くと、やはりいいなと思う曲です。少しかすれ声に聞こえるのですが、なぜなのですかね。一九七六年三月発売なので、満十七歳ですね。

私は最初、一番の歌詞で、「私も悩みあるのよ、この頃 いつも ひとりで泣くの」という歌詞に驚きました。え、こんな子でもひとりになれば、泣くのって。どんな悩みがあるのかなって。でも、二番はまた別の話に変わっていました。 

二番は、とてもいい歌詞です。情景が浮かんできて、夕焼けの空・・・あたりの声の伸ばし方は森昌子らしい味わいのある歌い方ですね。三番は少し陳腐な感じです。

https://youtu.be/b8OKM6G0Dc0 

3、ついでに見つけたので、URLを載せておきます。「小雨の下宿屋」です。テレビなんでしょうけど、昌子もかわいいし、声もとても綺麗です。一九七七年一月なので満十八歳のときの曲です。

URLhttp://youtu.be/gNb8trguYGE


ブログ12.森昌子の歌う「ふるさとお祭り恋の夜」

 YouTubeで見る、森昌子の「ふるさとお祭り恋の夜」は、彼女の十代を代表するような、不思議な魅力を持った動画です。彼女が歌う代表曲の「せんせい」や「おかあさん」などの当時の動画に、これといったものが見当たらない現状では、彼女の歌う片思いや恋心の気持ちを端的に表わしているように感じます。何しろ、歌の内容と森昌子の表情、立ち姿、甘い声、そしてその雰囲気がぴったりなのですから。

「・・・ もう私は大人です。恋する娘です。…」

このあたりは十八歳の昌子ちゃんそのままと言う感じ。片思いの歌を歌い続けた昌子ちゃんだからこそ見せる、恋への強い思い、憧れ。それを端的に見せてくれるとてもいい動画だと思うのです。
YouTube
から

ふるさとお祭り恋の夜 :http://youtu.be/uWLl02Gqx60


ブログ13.森昌子、高校2年生のB面とアルバム

 森昌子の高校二年生のシングルレコードA面は前回取り上げたが、それらのB面と高校二年生のアルバムはどうなのだろう。B面をYouTubeから取り上げてみた。

( )内はA面。

1、純情  YouTubeになし  (面影の君)  

2、ふたりの青空 YouTubeになし(あなたを待って三年三月)

3、恋ざくら  http://youtu.be/2AdtFBq24QE   (あの人の船行っちゃった)

4、能登の海 http://youtu.be/3STIG3N5DIE(おばさん)

これら四曲のうち、「恋ざくら」はよく聞く曲でいいと思うが、その他の曲はあまり聞かない。

一方、高校二年生のアルバム「あの人の船行っちゃった」はとても素晴らしいアルバムだ。森昌子の代の黄金期にふさわしい、繊細で、控えめで、優しく、叙情的で美しい声で歌いあげている。シングルのヒット曲を三曲出だしに持ってきて、そのあとを、オリジナル曲やB面の曲を配し、昌子らしい歌の雰囲気を醸している。それらの中で「古都の別れ歌」はこれまでのオリジナル曲にない叙情的な歌だ。演歌とは一味違った味わいがある。「口づけを上げたいけれど」はこの曲がかかるとすべてのことをやめて曲に集中してしまう。六、七才の少女の恋の嬉しさ、恥ずかしさ、不安、喜びが昌子の何とも言えない声で心を揺さぶるのだ。曲も詞も遠藤実だ。昌子ちゃんのことを思い浮かべながら作ったのだろう。その思いに、十分応えた、素晴らしい歌い方だ。

「お手紙を上げてもいいですか」も綺麗な曲だ。でも、今時このようなへりくだった言い方をする女性がいるだろうか。でも、男でも、女でも、相手へ手紙を出したり、手紙を待つ気持ちって、これぐらい恋焦がれるものかもしれません。そういう気持ちで、森昌子も歌っているのかもしれませんね。「砂山のうた」も、何だか、古臭い少女的な歌だけれど、憎めない曲という感じですね。

一方、「小さな詩集」は特徴がない曲なのだけれど、とても落ち着いた、スムーズな曲。「恋ざくら」はなかなか完成度の高い曲。「初恋時代」はアップテンポな、気持ちのいい曲。「私の第一歩」と「春はそこまで」はあまり気持ちに訴えかけない。

かなり勝手なコメントを書きましたが、森昌子のファーンの方もこのアルバムには色々な思い入れがあるのではないでしょうか。それだけ、いろいろな感情が喚起される曲が並んでいると言えるのでしょう。

 YouTubeから

アルバム「あの人の船行っちゃった」(一九七五年十二月)から

A面

1、あの人の船行っちゃった http://youtu.be/Up-Y4pIG3Rw  

2、面影の君  https://youtu.be/hHCN8HNq2Lo 

3、古都の別れ歌  http://youtu.be/c9U-0c3HEho 

4、初恋時代  http://youtu.be/X5cUnjy5axw (三人娘) https://youtu.be/Z0llaa2mchQ  (昌子のみ)

5、小さな詩集 http://youtu.be/x8GuGZYOAKI  

6、恋ざくら  http://youtu.be/vO7TmFhoqaQ 

B面 

7、あなたを待って三年三月 http://youtu.be/_81YB9Jb1m8 

8、お手紙を上げてもいいですかhttp://youtu.be/ett0tjcfSX8 

9、くちづけをあげたいけれど YouTubeになし 

10、春はそこまで http://youtu.be/dDhNupIq0II 

11、砂山のうた http://youtu.be/u8E2xschbAQ 

12、私の第一歩 http://youtu.be/ZBtfBFOfvwE 


ブログ14.森昌子の歌「くちづけをあげたいけれど」について

 次はこの曲の二番目の歌詞です。

『十六や十七で くちづけは いけないことかと なやみます ゆかた祭りに あの人が さそってくれたけど くちづけを 許したら 私どうなるの』

 好きな人にお祭りに誘われて、そのとき、くちづけをしたら、私どうなるの、と悩む歌です。この『私どうなるの』と言う言葉が、いかにも女性らしい不安感を表わしていますね。男としたら、多分、浴衣を着ていて綺麗だから、くちづけをしたくなりますよね。しかし、そこで、女性なら、本能にまかせてキスしたら…そのさきどうなるのかしら、という不安感のほうが勝つというところが、男女の差の面白いところですかね。

 

三番です。

『お話を あの人とするだけで 幸せ感じて 泣けそうよ 一度だけなら くちづけを あげてもいいですと 夢では言えたのに やはりだめでした』

 実際、好きな人と話をするだけで、とても幸福感を感じますものね。でも、夢の中では、くちづけをあげてもいいと言えたのに、現実にはできなかった、という歌です。このくちづけをあげないと言うところに、森昌子らしい歌を感じますね。

  私は初め、『私どうなるの』とか『やはりだめでした』と言う心理は、女性の繊細な心理だと思っていました。だから、この作詞は女性だと想像していたのです。でも違いました。この作詞者は遠藤実でした。作曲も遠藤実。多分、この曲はLPのみにしか入っていないので、遠藤実がわざわざ森昌子のことを想像して、浴衣姿でお祭りにさそわれても、昌子ちゃんならそういう状況でもキスなんかしないだろうな、と思って書いたのではないか、と自分なりに想像しているのです。


ブログ15.森昌子の歌、つれづれ

彼女の歌を聞いていて、声が色々変わるのが、一つの魅力だと思うのです。デビュー当時の中学生の声は、そんなに好きな声ではありません。CDを流して聞いていると、どこで声が変わってきているのか、明確には分かりません。いつの間にか大人っぽく、魅力的な声に変わっています。B面では、詩の内容では「愛は遠い」(十五歳)から、声では「砂時計」(十六歳)くらいからが魅力ある声になっています。A面では、「下町の青い空」や「おかあさん」ぐらいから大人っぽくなっているのでしょうか。だから、五、六歳からと言うのが、私自身にとっての森昌子の魅力の始まりです。
 そして、この声は一九歳ぐらいから、変わってきますね。そして、その変化は二二、三歳ごろまで続き、そしてその頃から、また変わって、すごくおとなしい歌い方に変わって引退するまで続く。これが、私が感じる森昌子の大きな変化です。すなわち、大きく四つの変化があったと、彼女の歌を聞いていて感じるのです。これは私の独断と偏見に基づくもので、当時からのファーンにしてみれば、何も分かってないと言われそうですが。
 でも、私にとっては、なぜ、こうした変化が起きたのか、疑問に思うのです。本当は、起きて欲しくないのです。九歳までの声をずっと続けて欲しかったのです。と言うのは、この辺りまでの声が、とても好きなのです。それは、声変わりなのか、あるいは精神的な変化なのか、あるいは作詞家、作曲家の変化なのか、あるいはレコード会社が変わったからなのか、なぜなのか、考えたいですね。
 最後に、「愛は遠い」と「砂時計」及びそのA面である「北の朝」、「あの丘を越えて」の四曲をYouTubeで聞いてみましょう

愛は遠い(一九七四年七月):https://youtu.be/3rGhOnXqU8A  

砂時計 (一九七四年十二月):https://youtu.be/GUBf4f8xxi4  

北風の朝 (一九七四年十二月): https://youtu.be/1WxhG57Y2y8  

あの丘越えて (一九七五年七月)https://youtu.be/k5hpG07wKvc?list=RDk5hpG07wKvc 

 


ブログ16.森昌子の歌、高校3年生のアルバム(その1)

森昌子の高校三年生(一九七六年四月〜一九七七年三月)のシングルレコードが「夕笛の丘」以外あまり評価できないのに対して、アルバムは色々発売されていて評価できる。

  高校二年生の三月に発売されたアルバム「五周年森昌子ショー 初姿七変化」(一九七六年三月)はステージでのライブ録音で、出だしに、ねずみ小僧次郎吉を舞台で演じる昌子の声が挿入されていて、聞くほうが恥ずかしくなる。でも、第三景の港シリーズの六曲(あこがれのハワイ航路、あの娘が泣いている波止場…)は声がきれいで舞台に緊張感が感じられる。ただ、一番しか歌わないので、全体に物足りなさが残る。第四幕の、コミックミュージカルは多分舞台で見ればバンドの演奏が気持ちよく、ダンサーの踊りも面白いに違いない。でも、森昌子が歌う「買い物ブギ」は聞いていてしんどい感じがする。もっと楽しく歌ってもいいはずだ。その後は、ヒットパレードだ。あまりいい声とは思えない。少ししんどそうだ。でも、「北風の朝」や最後に歌った新曲の「あのひとの船行っちゃった」は力強く、心をこめて歌っている。全体的には、いい舞台だと思う。

YouTubeにこのアルバムと同じ楽曲が全てアップロードされている。

デビュー五周年記念 森 昌子ショウー (全曲)  http://youtu.be/NJtEI8asDqQ 

 二枚目の主要な曲をピックアップすると、次の曲だ。

ほたる  https://youtu.be/xX0OAkY0uRs  

となりの町から http://youtu.be/oXAARi-Nqnw 

花あかり https://youtu.be/qycj7yqwK0w 

ふたりの牧場 http://youtu.be/VV5vPQ0aKR8 

恋景色 http://youtu.be/FF7x0TZNnpc 

にほんの詩 http://youtu.be/7erLbAOmqiY 

そよ風娘、夢売り娘 夕焼けと笹の舟    にきび君(YouTubeになし)

でも、けなした曲なのにそよ風娘も、夢売り娘も、夕焼けと笹の舟も、にきび君もYouTubeにないのは寂しいですね。聞けばそれなりにいい曲なのですが。


ブログ17.森昌子の歌、つれづれ

 今日、オークションで落札した、森昌子のアルバム「出発の詩集」が来た。丁度、高校を卒業した五月ごろの出版で、満八歳の歌だ。

 YouTubeで聞いていて、いつの間にか消えていた「あじさい坂」はやはり落ち着いたいい曲だった。これからは、いつでも聞ける。「純情詩集」「赤い絹糸」もよさそう。他に、「東京なんて大嫌い」は昌子にしては珍しい、うなり節だ。夢を持って東京へ出てきたが、夢を裏切られ、東京なんて大嫌い、とうなっている。でも、この曲は懐かしさがよみがえる、いい曲だ。
 というのは一九七〇〜八〇年代、その頃は、日本全体が夢を持ち、若者は東京や大阪へ出て、仕事をし、遊び、勉強したものだ。哲学も社会主義もあった。政治に夢を抱き、文学や学問や、仕事にそれぞれがいろんな夢を抱くことが出来た。
 だが、今はどうだろう。哲学も社会主義も文学も、労働組合もほとんど実体をなくし、政治が混沌とし、社会に夢を抱くことが難しくなってきている。大阪では、格差社会が蔓延しつつあるのが現実だ。私は、森昌子に代わって、「大阪なんて大嫌い」と、うなりたい。日本全体が、公明正大で、明るく、平等で、誰もが夢を語れる社会になって欲しい。

YouTubeから
A面

1、あじさい坂 http://youtu.be/AfnIgjWgK_0

2、赤い絹糸 YouTubeになし

3、愛しはじめて http://youtu.be/Zf8-WY34Ulk 

4、紺がすり https://youtu.be/LXkVKwPcjyI 

5、夜行列車 http://youtu.be/VBzupeedV3A (この動画を始めてみました。アルバムの歌を歌うなんて珍しいですね。)

B面 

6、港のまつり     https://youtu.be/QFm6C8wYpPs https://youtu.be/mdToZTJvxvs https://youtu.be/6sImRm4vP4E  https://youtu.be/ylb-czcxx3Y  (一九八一年)

7、恋してたずねびと http://youtu.be/ia5TSg9F9DI

8、純情詩集 http://youtu.be/Gfd9nShFrEA 

9、東京なんて大嫌い http://youtu.be/df2oaj1iHdk 

10、恋の別れ唄http://youtu.be/BBA_BiPOsUA (この動画も始めてみました。レコードでは平凡な歌い方ですが、本人が歌うとそれなりに趣ありますね。二歳を過ぎてからの映像のようですが、なぜ、八歳の時の歌を歌っているのでしょうか) 

初夏恋歌(はつなつこいうた)  YouTubeになし


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