インド風土記 その4 (全5回)

あとインドと聞いて連想する言葉は何でしょうか。カレー、野良牛、ターバン、コブラ、カースト、ガンジス河、タジマハール、紅茶、人人人、美人、数学の達人 こんな感じかな。
それぞれについて少しコメントします。


カレー

日本のように、ニンジン、玉葱、ジャガイモと、何種類もの具を入れないで、具は1種類だけです。鶏肉、羊肉、豆、ホウレン草などがあり、チーズ入りもあったりして種類はたくさんあります。代表的なのはチキンカレーで、ナンと一緒に食べるとインドを感じます。ただルーの30%は油なのと、香辛料が強いので食べ過ぎると後でお腹を壊します。
水でお腹を壊すのではなく、カレーの場合も多いのではないでしょうか。痔の人は調子が悪くなるようです。
香辛料を組み合わせて作るので、カレールーとしては売っていません。豆カレー(ダルカレー)の色は黄色ですが、ただの煮豆のようでご飯と混ぜてよく食べます。どの種類も味が濃くて美味しく食べられますし、ヨーグルトと一緒に食べると刺激がやわらぎます。

野良牛

赴任当初は道端に牛がたくさんいて、近くに買い物に行くときも牛の横を歩いて行く事が多かったのですが、2年ほど前にデリーで英国連邦圏スポーツ大会が開催され、警察が街中から牛を追い出して、今はほとんど居なくなりました。 でも少し離れた郊外に行くと、以前と同じ様にまだいます。種類としては水牛が多くて、いつもゴミを食べていますが、痩せた牛が多く、時々自動車に跳ねられて横たわっていることもあります。

コブラのいる会社のブッシュ

牛がいると当然排泄物も路上にありますので、歩く時は下を見て注意しながら歩きますし、また急に振り向かれるとツノも凶器になりますので、横を歩く時は素早く歩かなければいけません。
野良犬もいて精悍な感じですが、狂犬病を持っている時がありますので寄らないようにしています。猫はなぜかめったに見ません。

コブラ

笛を吹いて、籠の中からコブラを出して躍らせる光景はまだ見た事がありません。気にはしているのですが、観光地にしか居ないようです。ただコブラは草むらに普通に居ますので、珍しくはありません。
工場内のブッシュの中にも隠れていて1年に1回位這い出てきます。小さい子供コブラが会議室のドア横に居たこともありますが、人間が怖いので近づいては来ません。
ゴルフ場のブッシュの中は当然ハイリスクで、ボールを探す時はキャディーにやらせて自分では入りません。時々野性の綺麗なクジャクもいますが、コブラを食べるために歩いているので、近づくと危ないのでいつも遠くから見ています。実際にゴルフ場のラフの木の上にトグロを巻いたコブラを2回ほど見た事があります。
他にも毒トカゲなども居ますが、1度しか見ていません。サルも多くて工場内を時々歩いています。サルを神様にしている地域もありますので追い出すような事はしません。
話は飛びますが、インドはトラが有名ですが南の方はアフリカと同じ様にワニもライオンもいますよ。

美 人

コーヒーショップの美人

美人は多いですね。ショッピングセンターなどに行くと背が高く、足が長くスタイルも良くて、鼻も高く色の白い人がいっぱいでびっくりします。でもこの種の人の身分は高く、高額所得者が大半です。
たとえ働いても、もらった給料は家には入れないで、すべて自分の為か嫁入り持参金として貯めておきます。インドは相続税がないので、金持ちは代々金持ちです。 
アメリカの黒人で美人は想像ができますが、インド美人で顔の黒い人はイメージがわかないでしょ。表現の仕方が悪いのですが、カーストレベルが低くなると背も低くなり、顔も黒っぽくなり鼻の高さもそれなりになります。
人種間であまり交わらないので美人はいつも同じカテゴリーから出てくるようです。この種の人は足の指も長くて、装飾リングを足の指にもしています。辞書で調べたらtoe ring と呼ぶそうですが、初めてインドで見ました。


近年ミスユニバースでも優勝したり、上位に入ったりしますが、基本的にそんな人は働く必要がないので、我々工場勤務にとってはあまり縁のない人です。

中年の金持ちの女の人の体型は今でも大きめの人が多いのですが、それはいつも食には困ってないとアピールするのが今までの習慣でした。手首の骨の出っ張りが見えるようでは、まだまだ貧乏な証だという話も聞きましたが、最近はダイエットの宣伝もテレビでやっているので、少しずつ世界標準に近づいているようです。

コーヒーショップのおねえさんに、写真を取るからポーズを取ってよと言ったら、喜んで3ショット取らせてくれました。恥ずかしがらない所は日本とは少し違います。

カーストの身分制度


昔から生活に根強く残っています。名前、出身地、肌の色、背の高さ等でわかるそうです。 日本では4段階の階層に分かれていると本には書いてありますが、実際は数えられないくらい細かく分かれていて、日本人には分かりません。1000以上はあるのではと思われます。 客先の日本人がオートバイで通勤しているインド人に聞いた時の会話ですが、「このオートバイはあなたの財産で自慢でしょ?」
「そうだよ値段も15万円もして大切にしているんだ」
「だったら泥だらけのタイヤを少し掃除して磨いたら」
「なんで俺がそんな事をしなければいけないんだ」
「じゃーだれがやるの?」
「掃除人」
自分の階層は努力しても変えられないので、労働意欲がなくなる原因の1つと思いますが、逆に内乱、暴動が発生しないのもカーストのお陰ではないかと思います。

あともう1つ実例ですが、日本人の奥さんが買い物で出かけた昼食時に、ドライバーに一緒に座って食べなさいと言って食事を済ませたら、今まで Madamと読んでいたのがそれからYouと呼ぶようになったそうで、上下関係と仲良くは違うので、日本の感覚で親しくすると誤解が発生します。
私も仕事で会社の車と運転手を常に使いますが、乗ったり降りたりの時は絶対に自分でドアーを閉めないようにしています。運転手との役割分担を自分なりに決めて、相手の仕事に干渉しないように意識しています。
結婚は同じカーストの人とします。少なくとも相手は自分たちと同じか上を希望しますが、相手にとっては下になるので結果的には同レベルになります。

テントに住む人たち 一流ホテルとテント村が隣同士で存在しています

親が決めた相手と結婚するのがほとんどで、当日まで相手と会わない事も多いようです。 また会っても2〜3回だそうですので、当然それまで手も握っていませんので、新婚生活は日本より新鮮なのかもしれません。でも離婚はとても難しく、再婚はもっと難しいそうです。

結婚式の話を少し書くと、花嫁側で呼ばれた人は御祝儀を出しますが花婿側は出しません。招待者も多数です。当事者に会った事もないのに、会社の従業員から妹が結婚するので来てくれと言われます。披露宴も、花嫁側、花婿側、両家一緒にと、最低3日はあり、平日の夜9時頃から朝まで騒いでいます。始まっても花嫁さんはなかなか人前に出てこないので、2回に1回はお会い出来ずに12時頃帰ってきます。

カーストとは別に、女性の人権はたいへん低く、従業員の田舎に行くと、男の親戚兄弟ばかり紹介されて女性の親戚はほとんど分からないまま終わってしまいます。識字率や教育レベルも低いので、お医者さんは女性には最初から症状や内容の説明はしないそうです。