インド風土記 その1(全5回)

はじめに

ニューデリー国際空港の到着後外に出た所です

20084月から201112月までインドの首都デリー南部グルガオンに駐在していた時の体験を投稿します。 自動車、オートバイ等の輸送機器の部品を作る会社に勤務しており、入社後6回目の転勤でした。現地の会社は8年前に設立され、日系の自動車、オートバイメーカー4社に製品を納入しています。
現在は常駐ではなく、出張ベースになりましたので、月
1回のペースで行ったり来たりしています。

インド人は対日感情が良いので、生活していて意地悪されたりアメリカのように身の危険を感じる事はほとんどありませんが、日本人から見れば超自己中心的で世の中は自分を中心に廻っていると考えますので、人の事や他の国の事には関心がありません。
時間の感覚も長く、またどんな事に関しても知らないとは言わずに話をしますので、道を尋ねても、あっちだ・こっちだと適当に答えます。

アンケートに依ると、生まれ変わったらもう一度インドに住みたいと考える人が80%だそうですので、中国とは割合が逆のようです。今回の風土記を読んでもらって少しインドを味わって下さい。

写真は2年前に新しく建てられた国際線ターミナルで、以前は20年前の名古屋空港と同じ感じでした。偶然にオープニング式典(16:00)の到着予定候補3便の中に乗っていたのですが、1便前のニューヨーク便が16:02着で、成田便が16:05着で、惜しくも記念品がもらえませんでした。

地理と気候

インドの位置は、皆さんご存知だと思いますが、思ったよりも多くの国と接しています。西がパキスタン、北西はアフガニスタン、北にネパール、その東がブータン、中国にも接していて、南はスリランカです。
あまり知られてないのが海を隔てたタイとの間ベンガル湾の真ん中にある島もインド領ですし
またバングラディシュを囲むように北側も東側も領土ですので、ミャンマーとも接しています。カシミアで有名なカシミール地方は、インド北西部のアフガニスタンに近い所にありますが、常に隣国のパキスタンと領有権を争っているので、インドの地図ではインド領、パキスタンではパキスタン領になっています。

人口は、低所得者層には住民登録をしていない人が多く、路上生活者もいるので正確な数字は分かりませんが、12〜13億人位で、中国と同じレベルだと思います。人口分布は典型的なピラミッド型をしていて、平均寿命は5年前は59才でしたが今は62才に延びました。

住んでいた北インドは大陸性気候なので夏(410月)はたいへん暑く、6月頃は摂氏50度近くになり、冬は(12〜2月)7〜8度まで下がります。月〜月が雨季ですが、パット降って少し経つと太陽が出て、その後また降り出しますので、日本の梅雨のように降りっぱなしではありません。雨季以外はほとんど雨が降らないので、いつも埃が舞っていて、砂っぽい天気ばかりです。

現地の人は日本人と比べると、汗腺の大きさや数が違うようで、体感温度で10度くらいの開きがあり、暑さには強いのですが、寒さにはめっぽう弱く、3月頃の気温20度位で半袖が気持ちの良い日でも、彼らはセーターを着ています。                                                                                                                               

100円のインドの地図

びっくりしたのは、”今日は良いお天気ですね”とは世界中晴れた日の事を意味すると思っていましたが、デリー近郊では雨の日を意味します。雨が降ると気温が下がって、埃が少なくなり農作物が良く取れるからだそうです。              

飛行機は成田から直行便で首都ニューデリー(JAL)とムンバイ(ANA)へのフライトがあり、JALは今話題のボーイング787ですが評判は 良い、悪いと2分しています。乗り換え便であれば、香港、バンコク、シンガポールからも毎日飛んでいます。直行便は約9時間ですが、冬の季節風の強い日は成田まで6時間位の時もあります。

時差は日本より3時間半遅れと少し中途半端ですが、アメリカなどに比べれば体への負担が少なく、日本の仕事時間とも半日ラップしているので、たいへん便利です。

 デリー到着1 時間半前から右手にヒマラヤ山脈が見え始めますが、全容を見た事はありません。思っていた程 山山山ではありませんが雪の被った姿は奇麗です。いまだにどれがエベレストか分りません。同じ時間帯にガンジス河も右側の真下に見えます。      

観光シーズンは10月中から3月末ですので、飛行機も混んでいますが、夏場は比較的空いていて、デリー観光、アグラのタジマハール、砂漠の町ジャイプールデリー戻りの3泊4日が一般的な日程です。余裕があればそれに+2日してガンジス河の沐浴を見に行きます。食事の問題、トイレの問題などがあるので、旅行会社のパック旅行が一番便利ですし、通訳やガイドも付きます。でも彼らは99.9%信頼できませんので安心しないでください。

騙されているのが分らないように上手に騙します。飛行場の搭乗ゲートで帰国する観光客の話を横で聞いていると、問題が起きたときに上手に対処してくれて良いガイドでしたと大阪のお兄さんが話をしていましたが、それは仕組まれているのです。

観光地の写真はネットで見られるので
インドのイメージピッタリのデリーの町中

デリーの夕方のラッシュ    今日も良い天気?です。

言語と通貨

ヒンズー語圏での生活でしたが、ネパール語、パンジャブ語、タミール語等場所によって文字も言葉も違っていますので、飛行機で南部に出張に行くと同行のインド人でも話が通じなく、英語でお互いが話をします。高校を卒業した人だとある程度英語が話せますが、生産現場ではまったく通じません。 時々ワン、ツー、スリーも理解してくれないのでレベルは想像して下さい。英語もアメリカ英語ではなく、イギリス英語ですので最初は聞き取りができなくて困りました。最近はやっと慣れてきましたが、いまだに聞き返す事があります。

ENGLISH WINE と書いてある看板があり、何だと思ったらスコッチウイスキーでした。 彼らも現地語を英語に変換して話をしているので、間違いもよくあり英語は理解できても意味が分らない事が発生します。ヒンズー語は日本語と同じ語順ですので、英語の単語を日本語のように並べても結構話しが通じてしまいますが、地元感覚に慣れるには修行が必要ですね。今日中(today)に終わらせると話をしていても、実際には1週間から10日くらいかかります。 1週間だと答えれば3ヶ月位又は出来ないだろうの感覚で接した方が後で腹が立たずに済みます。                                                              

通貨はルピーで 1ルピー=1.5〜1.7円ですが、円ドル相場と同じ傾向で変動します。 基本的にインド国内から通貨の持ち出しは禁止ですので、インド到着時に両替はできますが成田ではやっていません。

お札には国内それぞれの言葉で額面が印刷してあり、興味深いのは硬貨です。数字を読めない人の為に1、2の数字を指を立てて絵で表示をしています。

数字の読めない人のために指を立てた表示のコイン いろんな言語で額面が書かれている紙幣