The X Tracks

 2004年10月リリース



90年代後半からのアンディーの軌跡。ジャズに傾倒していった道程が見て取れる。

アルバム紹介 : パラダイス&ランチ

収録曲は'97年リリースの『The Last Dance Of Mr. X』から、
昨年リリースされた最新作『Earth And Sky』までの楽曲から13曲セレクトされています。
’98年にリリースされた一枚目のベスト盤『
Retrospective』がソロ活動開始時から、
ジャズ/フュージョン指向に辿り着くまでの試行錯誤の中で生まれた代表的な楽曲を収録していたのに対して、
今作はフュージョン色からよりジャズ色を強めつつある、ここ数年のアンディーの代表曲が収録されています。
アンディー流ジャズの足跡がこの一枚に収録されていると言っても良いでしょう。
『The Last Dance Of Mr. X』が非常に洗練されたフュージョン作であり、間にモンク、ンガスのトリビュート集を挟んだ、
最新作『Earth And Sky』が完全オリジナルのジャズ色の強いアルバムである事を考えると、
ここ約10年の音楽活動の総決算的な意味合いを強く感じます。

取り分け、前作、前々作のトリビュート・アルバムではアンディーのソロ活動初期から振り返っても、
バック・メンバーの充実ぶり取り分けリズム隊の充実振りが顕著だった。
リズム隊の奏でるモンク、ミンガスのリズム、メロディーに敬意を払った、どちらかと言うとシンプルな演奏をバックに、
アンディーが自由奔放にギターを走らせていた感じが強い。
言い換えればレコーディングに招いたプレーヤーとのセッションをそのまま収録した感じがします。作り込まれてはいるが。

最新作『Earth + Sky』は完全オリジナルの楽曲で作り上げられたアンディー流のフュージョン・サウンド。
全2作品に引き続きリズム隊の充実振りが素晴らしいと言いたいところだが、今作はそれだけでは済まない感じ。
これまでレコーディングの度にメンバーが変動的で、
アルバムの作風がアンディー以外の要因すなわちメンバー達の能力に依るところが多かったのでは?と思わない事もないが、
今作ではトリオの充実振りに目を見張らせる。
すなわちアンディー、ヴィニー、アブラハム3人の意思疎通振りが演奏によい影響を出している様に思う。
取り分けヴィニーのドラムが秀逸だ。彼は決してジャズ・ドラマーではないのだろうが、
彼の自由度の多い演奏はジャズ・フレーヴァーを匂わせますね。
ふっと、ヴィニーってこんなに手数の多いタイプだった?って感じもする。

アンディーもスティングの様になれとは言わないが、
そろそろ固定メンバーによるアンディー・サマーズ・トイオでも結成して更なる名演奏を聴かせてほしいものだ。
アンディーのソロ活動は紆余曲折があるので、その時期時季においてタイプの違う名作があるわけだが、
最新作『Earth + Sky』は彼の長いソロ・キャリアーを通しても最も秀逸な作品といって良いだろう。
フュージョン、ジャズへの傾倒で語られ10年以上になるが、
彼はジャズの手法を使わずともジャズ、ロック界へアピールできるギター・インストの名演を奏で続けていくだろう。

私は彼をアンディーおじさんと呼ぶ、そう彼はすでに60歳を超えているのだ。
しかし演奏はとても瑞々しい。年をとって洗練されると同時に演奏に艶が出てきている様に思うのだ。
名作『World Gone Strange』で奏でた美しいメロディーに涙して久しいが、
これからも彼は美しいメロディーを奏で続けるだろう。

次作では驚くような事をやってくれそうな・・・。

収録曲

ディスク: 1
1.Big Thing
2.The Diva Station
3.The Three Marias
4.Pork Pie Hat/Where Can A Man Find Peace
5.Boogie Stop Shuffle
6.Circus
7.Round Midnight
8.Above The World
9.Think Of One
10.Footprints
11.Ruby My Dear
12.Weird Nightmare

ディスク: 2
1.BIG THING(Live Version)(アンディ・サマーズ・トリオ)


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