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ソフト・マシーンに在籍経験のある二人のギタリストによるアコースティック・デュオ・アルバム |
アルバム紹介:パラダイス&ランチ 元ソフト・マシーンのメンバー2人によるアコースティック・ギター・デュオである。 アンディーは68年にツアー・ギタリストとしてバンドに加わり、 ジョン・エサリッジは'76〜'78、'84年に『Softs』『Alive & Well In Paris』『Land Of Cockayne』に参加しています。 元々同じカンタベリー系のブリティッシュ・ジャズ・ロックに関わっていた事が2人の出会いだったのです。 ソフト・マシーンはジャズ・ロックに取り組んだプログレ・バンドの中でも広く支持されたグループとして認識されています。 アンディーはソフト・マシーンを離れた後にポリスで一躍ロック・シーンの頂点に滑り出す事になり、 ジャズからは離れる事になるが、ソロ活動を始めてからは前々作『Charming Snakes』頃からジャズに再接近する。 一方ジョンはよりジャズの世界に接近しイギリス国内だけではなくヨーロッパに進出して活躍する事になります。 デイジー・がレスピーやビレーリ・ラグレーン等と同様に高い評価と人気を得ていた様です。 長い時間を経てジャズ・フィールドで再び2人は再会する事になる。 アルバム・タイトルの『Invisible Threads』は”見えない糸”を意味しています。 つまり、アンディーとジョンはお互いに見えない一に結ばれた関係にあり、 それが手繰り寄せられて再会を果たした結果として、このアルバムが生まれたと言う事を示しているのでしょう。 このような経緯を見るとジャズ・ベースの作品かと思われるかも知れませんが、 ジャズ、ブルーズ、フォーク、トラッド、ボサノバ、ロック、ポップス・・・各曲でそのベースになっている音楽性は多様です。 たいがい、ギタリストのデュオ作品と聞くと激しいリード・ギターのバトルを想像すると思われるが、 今作はアンサンブルをメインに置いた静的な作風が特徴になっている。 又、互いの個性を全面に打ち出しサウンドに多彩さを持たせると言うよりも、 互いの共通項として持っているアコースティックな音の見せ方をベースに歩み寄りながら作品を仕上げている様にも感じる。 収録曲中、7曲がアンディーの作品であり、3曲がジョンの作品、残り2曲がスタンダード・ナンバーであるが、 二人の演奏が一体となっており、アンディー、ジョンの演奏を聞き分ける事が困難なくらいである。 前述の様にジャズ、ブルース、フォーク、トラッドなど幅広いジャンルに取り組んでおり、 コーダ、ブリッチ等コンパクトにまとめられた楽曲の数々に、 彼らの音楽性の多彩さやブリティッシュ裏街道の職人技を感じ取ることが出来るのに加えて、 アンサンブルをメインにした楽曲がずらりと並んでいるのに関わらず退屈感を感じさせないのは、 二人の演奏バリエーションがとても豊かだからでしょう。 全ての演奏が2本のギターだけで奏でられているとは信じられなく位に、 次から次へと美しいフレーズが敷き詰められ、広がりのあるサウンドを構築している。 この作品はニューエイジ・ミュージックの愛好家にも広くアピールするだろうが、 それらの一派として捉えられるだけではなく、 アコースティック・ギターの世界の可能性をより広める事になるだろう。 この作品は二人の音楽の愛好家だけではなく、 アコースティック・ギターを手にしている演奏家達にもアピールできる秀作の様に感じる。 ポリス・ファンの立場から一言言うならば、 アンディーの魅力はウネウネのワン・アンド・オンリーなエレクトリックなスタイルばかりではなく、 トラッドな演奏の中にも出色すると言うことだろう。 是非ともこの作品を多くの方に聞いていただきたい。 |
収録曲 1 Broken Brains 2 Moravia 3 Stoneless Counts 4 Lolita 5 Nuages 6 The Big Gliss 7 Counting The Days 8 Radiant Lizards 9 Monk's Mood 10 Archimedies 11 Heliotrope 12 Little Transgressions |