擬制の映像:Bewitched 1984年発表作品

アンディー&フリップの第2弾。非常に面白いアイディアに溢れている!!

アルバム紹介:パラダイス&ランチ

前作『心象表現』から2年を経てアンディー&フリップが取り組んだギター・デュオ・アルバムである。
前作に取り組んでいた時期は二人にとって過渡期に作成された作品と言う事もあり、
それぞれのバック・ボーンを踏まえつつ抽象的、内省的な傾向が顕著であったが、
今作は二人にとってニュートラルな時期に取り組んだ事もありサウンド的には大きな違いが見られる。
アンディー&フリップ作の特徴として<抽象的で且つ内省的>が上げられるだろうが、
今作に耳を通した感じでは、そう言った真摯な側面よりも、
二人が持ち寄ったちょっとしたアイディアや、遊び心をふんだんに盛り込んだ雰囲気に充ちており、
前作と比べるとライト・ウェイトでありキュートな作品と言っても良いだろう。

前作には微かに漂っていたポリスのアンディー、クリムゾンのフリップの影は更に薄れて、
二人のコラボとしては存在意義を問われる側面もあるだろうが、
非常に面白いアイディアに溢れており個性的な作品に仕上がっている。
アルバム冒頭を飾っている「パレード」に耳を傾けると、
二人がこのアルバムに持ち込んだ遊び心とリラクゼーションの一端を垣間見る事が出来る。
尚、フリップは再結成クリムゾンのツアーを間近に控えた時期であった為、
アルバムはアンディー主導で作られている。
故にこのアルバムはアンディーのソロ・アルバムに、
フリップがゲスト参加したものと考えても良いだろう。

アルバムの核をなす楽曲については二人が次の様に述べている(ライナー・ノーツから抜粋)。
>「プレイボーイを読んでいる男」
>この曲は二つのテーマから成立しているその二つが長いインプロヴァイズのセッションによって繋げられていて、
>二人のギター・ソロをフューチャーしているんだ。
>最初の曲のインプロヴァイズ部分は偶然出来た物で、
>僕がギターで無く様な音を2曲目が始まるまで弾いていたんだ。それが凄く良かったのでそのまま使ったんだ。
>「ガイド」はサマーズのエレクトリック・マンドリンをフューチャーし、
>「変容術」ではフリップのスローなアコースティック・ギターによるアルペジオに、
>サマーズのソロがフューチャーされている。
>この曲についてフリップは「この曲には私の新しいギター・スタンダード・ギター・チューンが組み込まれている。
>ある朝新しいチューニングを思いついた。起きたら覚えていたのさ。
>あらは楽器の限界を拡張する合理的なチューニングなんだ。
あくまでもアルバムの中核は実験的な要素であると言いたげである。

二人が語っているアルバムの核をなす楽曲の他にも興味深い作品が多く収録されている。
「ビギン・ザ・デイ」「トレイン」「ビウィッチド」「トライブ」などの楽曲で奏でられてる、
ロック・ギターのメイン・ストリーマー然としたリード・ギターの疾走感を全面に打ち出している点や、
エッセ・テクノと称しても良いシンセ・ベースの楽曲など、
遊び心というか、コンテンポラリーなリズムを取り混ぜている彼ららしからぬ軽快感はある意味新鮮だ。
前述の様に二人にとってニュートラルな時期に取り組んだギターデュオと言っても良い作品なので、
ちょっとしたアイディア、遊び心を詰め込んだコマーシャルでキュートな作品と言えるのだろう。

このアルバムからは冒頭を飾っているキャッチーなナンバー「Parade」シングル・カットされている。
この楽曲の持っている軽快さが二人の当時の心理状態を映し出している様に思えてならない。
バンドで素晴らしいキャリアーを積んできた充実感とでも言うのだろうか・・・。
今後の二人の活動がどの様に成るのか非常に楽しみである。

収録曲

ダンス・サイド
1 Parade パレード
2 What Kind Of Man Reads Playboy ? プレイボーイを読む男
3 Begin The Day ビギン・ザ・デイ

ドリーム・サイド
4 Train トレイン
5 Bewitched ビウィッチド
6 Tribe トライブ
7 Maquillage 変容術
8 Guide ガイド
9 Forgotten Steps 忘れられた足跡
10 Image & Likeness イメージ・アンド・ライクネス

BACK  HOME