フジ住宅(株)が育鵬社教科書の採択運動をし、大阪市教育委員会の審議に反映させた件につき、真相を究明し責任を明らかにする陳情書


                                                 平成28年2月10日
大阪市会議長 東 貴之 様
                                子どもたちに渡すな!あぶない教科書 大阪の会


                             [陳情趣旨]

育鵬社の中学校教科書の採択運動をフジ住宅(東証一部上場、岸和田市、1,130人)が行っていた大量の証拠資料がこのたび開示されました。

それによると、育鵬社教科書事業部の関係者が「大阪市については教科書展示場にて数多く教科書アンケートを記入していただければ、育鵬社に採択される可能性が高くなる」とフジ住宅の今井会長へ告げ、この結果、不正なアンケート運動がとくに大阪市に集中したものです。

今井会長は、「男性はフジ住宅の社章を外し、女性は制服を着替えて私服で」展示場へ行くよう指示し(勤務時間中、社の車に分乗、パートは時間給を支払う)、育鵬社が良いとするアンケートを記入させるとともに、未記入のアンケート用紙を大阪市内33の展示場のうち32箇所から持ち帰らせ、なかには一度に150枚前後を持ち帰った場合も複数回あります。持ち帰り総数は最低1,232枚を確認できます。

持ち帰ったアンケート用紙は、展示場ごとで形式が異なるため、秘書室で分別管理し(このため持ち帰りが多い)、自社で例文を示してアンケートに記入させ、再び社員の都合に合わせて展示場を回り投函させました。資料から確認できる投函回数は最低217回(同一人物が1日複数回が常態)であり、 そのうち、他人の書いたものを提出したことが確認できるものもありました。1回の投函・記入で1〜5人分の投函がなされていますので、総アンケート数は600枚以上になることが推定されます。これは、大阪市教育委員会の集計した779件に近づき、その多くがフジ住宅によるものであることが分かります。

大阪市教育委員会の教科書採択は、学校現場などの声を尊重するかつての立場から、ここ数年、6人の教育委員による合議のみで決定する方向へと進んできました。しかし、育鵬社の教科書の採択をめぐっては支持・不支持が拮抗し、育鵬社が今井会長に伝えた時期と推定される5月末にはどうなるか分からず、アンケート数で決める方式が採用されたと考えられます。この方法自体を一概に不当とすることはできないまでも、もしそうするのであれば、公正な方法・ルールのもとで教育委員会自身が厳正に管理する必要がありました。

しかし、アンケート用紙を大量に持ち帰ることが可能な形で実施したのみならず、氏名・住所の記入さえしない方式を採ったため、大阪市外から大量のアンケートが寄せられ、同一人物が重複して投函することや、他人が書いた用紙を投函することも許しました。なぜこのようにずさんな方法を採ったのか、その責任が問われると思います。

しかも、教育委員会は、上記のようなずさんな方法のもとで不正に投票された用紙を集計し、数値化し、8月5日の会議の冒頭で「育鵬社の採択賛成が約7割、反対が約3割」という趣旨の報告をしました。こうした報告がなければ、採択がどうなったか分からない実質3:2の僅差で育鵬社は採択されています。この僅かな票差に影響を与えないため、傍聴者を閉め出して採択の会議を開いたと考えられます。

さらにもう一つの疑問は、「大阪市の昨年の教科書採択については、アンケートが決めてとなる」という内容は、教育委員会のどのレベルで共有された情報なのか、という問題があります。いずれにせよ育鵬社にこの情報を漏洩させたのはその関係者であることに間違いなく、結果としてであれ、特定の社のみにこうした重大情報を不公正に流すことになった管理責任は教育委員会自身にあります。

以上、大阪市教育委員会について述べてきた事実は「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」第1条の2「教育行政は…公正かつ適正に行われなければならない」に違反したものと考えられます。

                            [陳情項目]

 大阪市教育委員会は、フジ住宅が組織的に行った採択運動のきっかけとなった、「大阪市の(昨年の)教科書採択については、アンケートが決めてとなる」という情報がどこから育鵬社へ流出したかを究明し、また不正を許すアンケート方法と集計、昨年8月5日採択委員会へ数値を報告することなどを自らが決めた経過、またアンケート用紙に記入された内容など、情報すべてを開示し、その責任を明らかにしてください。

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