今回の神戸旅行の第一の目的地。
神戸・元町に昨年オープンした、萬年筆専門店である。
お店の雰囲気は、東京にはない独特の雰囲気。
古い家具の中に、万年筆がたくさんディスプレイされていて、眺めているだけでも楽しい。
加えて、オーナーの吉宗氏がこだわりで集めた、万年筆と相性がよさそうな紙製品が色々と揃えてある。
こちらも、一つ一つ、手にとって試してみたくなるものばかり。
多くのの方がご存知とは思うが、オーナーの吉宗氏は長年、三ノ宮の老舗文具店、ナガサワ文具センターで筆記具を担当されていた方。
わたしも、氏がまだ、ナガサワに出られていたころ、一度だけ拝見というか、応対していただいたことがある。
その当時は、ピシッとスーツを着て、とても忙しそうに帳簿を見ながら仕事をされている雰囲気だったのだが、今回、このPen and messageを訪れて、その雰囲気があまりにも変わっていたので、正直、少々驚いたところである。
格好も、ラフになり指先はインキで真っ黒に染まっている。
文房具店の店員さんから、万年筆の職人にガラリと変わっていた。
独立して商売を始めるには、色々と大変なことも多いと思うが、ぜひ、今後の発展に期待したいお店である。
◇
お店の品揃えとしては、現行品を中心にそろえてあり、必要に応じて、オーナーに調整をお願いすることもできる。
私も、とある万年筆を購入したのだが、同じものを2本試筆する中で、ペン先を見ていただいた。
複数本ある中から、適当な2本を選んだ上での、ペン先チェック(ルーペで見ただけ)。
私の前に準備された万年筆を並べて、それぞれの筆記感をきちんと説明してくれる。
わたしも、試筆には自信があるので、さて腕前は?
と思いながら、2本のペンを順番に試筆。
結果は、実際に私が筆記した感覚もオーナーの説明どおりだった。
ペン先を見るだけで、筆記状態をきちんと説明できる。
最近の万年筆ショップは、これをきちんとできない店員がほとんど。
この時点で、私は氏のスキルに大きく傾倒させられていた。
その後の、フロー調整等の腕前を見ても、調整技術は確かなものだと私は感じた。
ちなみに、試筆のインキはパイロットの青だった。
店内にはテーブルが2つ用意されているので、そこで座って試筆することができる。
私の知る限り、座って試筆できるところは、南青山の書斎館と、アメ横のダイヤストアしかないので、この座って試筆できるショップは貴重である。
テーブルは、2人が向かい合って座ることができる形式。
私が訪問したときには、カップルが向かいに座る中に相席で試筆をさせてもらった。
通常、お店で他のお客と話すことはない私(書斎館でよく、他のお客に話しかけられるが、基本は無視)も、こちらでは、自然と向かいの方とお話をさせていただいた。
書斎館は横一列、このPen and messageは向かい合って座るところのちがいだと感じた。
1時間弱の滞在時間だったが、久しぶりに楽しい万年筆選びをすることができた。
こちらのお店では、コーヒーも飲めるとのこと。
書架には、万年筆関係の本がたくさん並んでいた。
次回の訪問時は、ぜひコーヒーを飲みながら、書架に見つけた梅田晴夫の「万年筆」をゆっくりと拝見させてもらいたいものである。
(後半の記事は、いずれ「万年筆を買いに」へ移動させます)
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