モールスキンに似合う筆記具をずっと探していた。
私の場合、モールスキンは外に持ち歩いて、実際にカバンから出して使う唯一の手帳だ。
主な用途は、今までも紹介してきたが、お買い物&物欲メモ。
伊東屋やハンズに行った時は、買ったものに順番にチェックしたり、目に付いた面白そうなものをメモしたりする。
あと、変なお客や、店員さんと他のお客の会話で面白そうなものが耳に入ってきたら、さっとメモを取る。
そう、まさに私にとっての野帳・フィールドノートが、このモールスキンなのだ。
記入のスタートは、お買い物プロジェクトのプラン作成から始まる。
これは書斎で記入することが多いので、使う筆記具は万年筆。
しかし、外では万年筆は使わないので、スリップオンの木軸ボールペンか、三菱のゲルペン。
しかし、これらは使っていてどうもピンとこない。
たぶん、ノートの貫禄に筆記具が負けているからなのだろう。
なので、モールスキンと互角に渡り合える雰囲気をもつペンをずっと探していた。
一時期、Lamyのティポなんかが良いかなと思っていたが、ご承知のとおり、ティポのM66リフィルとモールスキンの相性は最悪。
そう、思いっきり裏写りしてしまうのだ。
私の場合、モールスキンはシステム手帳やルーズリーフと違って両面使い。
なので、裏写りが激しいと困るのだ。
で、理想のモールスキン用筆記具として、なんとなく頭の中に描いていたのが、ペンの長さが、モールスキンの長辺と同じくらいのもの。
まず、バランスがよく、見た目カッコいいかなと思っていた。
この理論から行くと、ファーバー・キャッスルのエモーションなどが美しいと思うのだが、わたしの性格からして、このペンは恐ろしくて外に持ち出せない。
昔、金曜日の夜に日テレでやっている未来創造堂のゲストで麻木久仁子が、白木軸のライトメープルを自慢の文房具として持ってきたのを、ノリタケに取り上げられてギャーギャー騒いでいたが、その気持ちは良くわかる。
もうひとつの、理想はモールスキンとの組み合わせというより、外で使う筆記具ということで、キャップではなくノック式がいい。
理想は水性ボールペンなのだが、ノック式は先に紹介したLamyしか見当たらないので、モールスキンには油性ボールペンかなと思っていた。
で、夏休みに広島に帰省したときに入手したLamy2000の4色ボールペンが一時期、候補に挙がったのだが、長さが少し理想より長いのと、黒い手帳に黒いペンというのがあまりにも地味。
そんな感じで、ダラダラと考えた結果、目を付けたのが、カランダッシュのオフィスライン。
そう、あの六角形のペンである。
あのラインの中でも赤地にスイスの旗を散りばめたスイスフラッグなんかは、モールスキンの地味な黒と対比していい雰囲気なのではと妄想した。
ターゲットが決まれば、次の行動は調達活動だ。
◇
私がボールペンを買うときは伊東屋に決めている。
なぜかと言えば、大抵のボールペンは、デフォルトで黒のリフィルがセットされている。
しかし、私が欲しいのは青リフィル。
伊東屋で買うと、何色を使うのかと聞いてくれ、青と言えば、青リフィルにセットしなおして販売してくれるのだ。
このサービスは、いつ応対されても素晴らしい満足度を与えてくれる。
なので、感謝の意を込めて、いつもその場で一本リフィルを追加で買うことにしている。
確か10月初旬だったと思う。
伊東屋に封筒を買いに行ったついでに、スイスフラッグを買おうと思って店内を探していた。
どこかで見たような気がしたのだが、こういうときに限ってなかなか見つからない。
以前、ブックダーツを探していたときも、同じようなことがあった。
結局、同じシリーズを4階のデザインステイショナリーのフロアで発見したが、スイスフラッグは置いていなく、単色バージョンだけ。
とりあえず、チェックだけして下のフロアにおりる。
私は伊東屋に行くときは、一気に9階までエレベータで上がり、順番に下におりてくるので中2階の万年筆売り場は一番最後に訪れる。
しかし、中2階を探してみても、廉価版はLamyかペリカンしか置いていない。
で、ちょうどカランダッシュがフェアをやっていたので、ブースの前にいたカランダッシュの店員に尋ねてみると、スイスフラッグは伊東屋には置いていないという。
おまけに、もう生産していないので店頭在庫のみだと言う。
カタログにはしっかり掲載しているので、その旨伝えるが、どうもその社員も詳細は良く知らないみたい。
たずねてもトンチンカンな回答しか返ってこないので、見切りを付けて次の候補地へ。
◇
実は、以前から丸善の日本橋店にあったのはチェックしていたので、さっそく銀座線に乗り込み丸善に向かう。
このラインは、文具好きにとっては理想のラインだ。
さっそく、地下の万年筆売り場直行で、置いてあったと記憶する場所に向かうと、あるある、たっぷりとスイスの旗が目に入ってきた。
さっそく手に取ってみると、唖然・・・。
「ムイてある・・・のだ」
そう、カランダッシュのボールペン、フィルムみたいなもので保護してあるのに、丸善に置いてあるものは全部むいてあるのだ。
理由はどうも、クリップのところに値札を挟みこむためのよう。
フィルムはクリップまでを包装してあるので、そのままだと、値札がはさめないのだ。
丸善には5〜6本残っていたが、どうも私の中では中古品との位置づけになってしまった。
それ以来、スイスフラッグを捜し求めて東急ハンズやロフトをうろついてみたがどこにも置いていない。
こうなると、伊東屋にあった「むいていない色違い」か丸善にあった「むいてあるスイスフラッグ」かのどちらを選ぶか?
悩むうちに、時間がズルズルと過ぎていくが、早まらなくて良かった。
あるところで、偶然むいていないものを見つけたのだ。
場所は御徒町。
いつものように各店を冷やかして回っていたら、スイスフラッグがポンとケースの中に埋まっている。
お店の人に、他にも在庫ある?と尋ねると、奥から箱ごと出してきた。
スイスフラッグだけでも、むいていない奴が5、6本あった。
こうなると、いつもの検品作業が始まる。
全部を比較して、最上と思われる一本をチョイス。
リフィルも置いてあったので、あわせて入手した。
本体・リフィル合わせても定価より安いのはさすがに御徒町。
箱もちゃんと付いていたし、結果オーライのお買い物。
早速、モールスキンと組み合わせて、年末のお買い物に向けて、ガシガシ使い込んでやろう。
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