銭形平次　作品書誌（私的バージョン）

戸田和光　編

はじめに

　例によって、はじめにお断りしておく。私は、下記に挙げる作品を、一編も読んだことがない。銭形平次という野村胡堂の著した小説について、全くの門外漢がまとめた資料であることを、予め、御諒解しておいていただきたい。
　まとめた理由は、「本リストについて」を参照されたい。書誌愛好家として、さすがにこの表記は……と思ったため、もう少しだけでも具体的な形にしたかった、というだけである。
　誤りがあれば、ご指摘いただきたい。

本リストについて

　野村胡堂の「銭形平次捕物控」は、これまでにさまざまな人の研究を経て、全作品が全集という形でまとまっている。当然そこに、素人書誌愛好家が口を突っ込む余地はないはず――なのだが、どうもその書誌を見る限り、その余地が残っている気がしてならない。今回、文春文庫から刊行された傑作選にも、その全作品リストが掲載されているのだが、それを見ても、個人的に“何だかなぁ……”と思ってしまったのは否定しない。それで、今回急遽まとめたのが本ページになる。
　勿論、野村が主舞台としていた『オール読物』に発表された作品については、疑義をはさむ余地は全くない。私が気になるのは、野村がもう一つの主舞台としていた新聞連載された作品の書誌記載についてである。このため、本ページは、「戦後の、『オール読物』以外に発表された作品」についてしか扱わない。この点を、始めに強調しておきたい。
　当然ながら、地方新聞に連載された小説の初出確認は容易ではない。どの新聞に、最初に連載されたかを特定することは、極めて困難である。ただ、だからといって、曖昧なままでも良い、とも思えない。だいたい、いつ頃に、例えばどの地方紙に連載されたのか、くらいは明確にされていても良いと思うのだ。実際、そうしないと、執筆年度が正しいかを確認することも出来ないように思う。――その観点から銭形平次書誌を見ると、不満が残る。いや、残るだけでなく、その情報、実は間違ってない？　と思うものも多いのだ。そんな訳で、手元にある情報を、銭形平次書誌にあてはめてみたのが、本リストとなる。先に書いたように、ここに私が書いたものが、本当の初出であることは断定できない。ただ、“その作品は既にｘｘ年には執筆されていた”ことは分かるだろう。その中に、明らかな年代の矛盾もあった。勿論、私の勘違いもあるだろうとは思うが、それでも、今一度、野村書誌に詳しい人が再調査する余地もあるように思う。如何だろうか？
　以下のリストでは、各作品で、最初の４項については、『銭形平次捕物控傑作選３』に書かれた書誌情報を転載した。各作品の執筆年も、その記載に従っている。その上で、その右側に、私の手元にある書誌情報を記している。なお、冒頭にもある通り、野村作品の書誌を確認するために調べたものではなく、別な書誌を調べる中で気付いたものをまとめたものなので、特に雑誌掲載された野村作品については全く補足確認をしていない。従って、雑誌の書誌情報については、左側の方が正しいものもあるかと思う。あくまで、“地方新聞連載”についてはもう少し突っ込んだ調査も可能だろう、ということを示す資料としてお読みいただきたい。
　出来る限り、帳尻を合わせたものになっていると思うが、誤りがあれば、下記のアドレス宛てにご指摘ください。

gokusiteki.shuuishu＠gmail.com　　　　（＠を半角に修正してください）　　　　

作品リスト（戦後のみ。『オール読物』初出作を除く）

　備考欄に未確認とあるのは、同年の同紙を調べた覚えはあるが、確認できていないことを示す。
　執筆年が曖昧なのは、地方紙だけでなく新聞全体にもあてはまる（「江戸の恋人達」等）から、年代が違っているのかも知れない。勿論、私が調べ損い（見落し）の可能性もある。

再録作品？

　ここには、再録作品と思われるものをまとめた。
　冒頭に書いた通り、私が作品を読んでいないため、「たぶん、既発表作を改題して収録したのだろう」とは思いつつ、断定できなかったものである。上記リストをまとめる際の、ついでとお読みいただきたい。

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