山村正夫 ジュヴナイル作品リスト(暫定作成版)

戸田和光 編


本リストについて

 私にとって、山村正夫は、「ジュヴナイルを数多く書いた作家」である。もちろん、作品数だけに限れば、それこそ加納一朗をはじめ、上回っている作家がいるかも知れないが、こと期間に限れば、最も長期に渡ってジュヴナイルを手掛けたミステリ作家ではないか、と私は考えているし、この記録は、今後抜かれることはないのではないか、とも思っている(もちろん、ジュヴナイルの定義によるが――。それこそ、高校生程度を対象にしたラノベを含めれば、現在も“吸血鬼シリーズ”を執筆している赤川次郎あたりが抜く可能性はあるだろう。私が前提にしているのは、小学生高学年から中学生程度を対象にした、子供向けの性格の濃い作品になる。現在、この年齢層向けの雑誌への小説掲載が大幅に減っている印象があるので、“抜かれることはない”と書いたものである)。
 そうは言っても、どれくらいの期間に渡ってジュヴナイルを書いたのか、改めて確認したことがなかった。それなら、一回整理してみましょ――と思って作り始めたものだが……。他の作家のリストを作る際にも感じることを、今回も実感してしまう。つまり、ジュヴナイルは先行する資料も少ないし、実際の雑誌も少ないため、確認するのは極めて困難なのである。
 結局、様々な資料を継ぎ接ぎして、ここまでまとめたが、多分、まだまだ洩れている数が多いだろう。特に、昭和20年代には、もう少し書いている可能性が高い。中途半端なものであることは認めた上で、それでも、昭和26年から平成4年まで、まるまる40年に渡ってジュヴナイルを手掛けたことは分かるはずだ。この間のジュヴナイルの著書(小説集)は4冊しかない(推理クイズ本は沢山書いているが……)のが信じられないだけの数を書いているのである。そんな山村の作品世界の片鱗だけでも伺えれば良いのだけれど、さて、どうだろうか……。

 誤記等のお粗末なミスがありましたら、ご指摘ください。


山村正夫 ジュヴナイル作品リスト

作品名収録誌掲載年月連載終了年月備考収録書集
踊る白骨 少年少女譚海 昭和26年1月
海賊島 譚海付録 昭和26年1月調整
呪いの使者 譚海文庫 昭和26年2月
梟少年 譚海文庫 昭和26年4月
黒猫博士 探偵王 昭和26年6月
さらば拳銃 少年少女譚海 昭和26年7月
謎の笛吹き男 探偵王 昭和26年11月
霧に住む魔女 探偵王 昭和27年1月
黒い羽 少年少女譚海増刊 昭和27年1月
悪魔馬車 探偵王 昭和27年3月
怪獣人間 探偵王 昭和27年4月
ゼロの魔手 探偵王 昭和27年春の大増刊
青銅の唐獅子 探偵王 昭和27年5月
まぼろしの銃弾 探偵王 昭和27年6月
木乃伊の女王 探偵王 昭和27年7月
妖異人形屋敷 探偵王増刊 昭和27年7月
吸血ピエロ 探偵王 昭和27年8月 昭和28年1月
地中都市  探偵王 昭和27年秋の増刊号
SOS東京  探偵王臨時増刊 昭和27年10月
愛の牧場 譚海 昭和27年12月
白狼 譚海 昭和28年1月
きちがい男爵 探偵王 昭和28年1月
遊星最後の日 冒険ブック 昭和28年1月
夜行列車の少女 探偵王 昭和28年2月
遊星スパイ団 探偵王増刊 昭和28年4月
太平洋帝国 少年画報付録 昭和28年5月
拳銃のかげに 譚海 昭和28年7月
夜の皇太子 探偵王 昭和28年9月
廃墟の町 譚海 昭和28年11月
白鳥の湖 譚海 昭和29年1月
灰色の獅子 少年 昭和32年8月
怪人暗闇殿下 中学時代一年生 昭和34年4月 昭和34年12月 怪人くらやみ殿下
ぼくは犯人じゃない 少年 昭和34年11月
少女事件記者 ひとみ 昭和34年11月 昭和35年4月
警察犬ハヤテ 少年 昭和34年12月
野球帽SOS 少年大増刊付録 昭和35年1月
警視庁特別捜査官の手記 中学時代一年生 昭和35年1月 昭和35年3月 (読切連載)
警視庁Gメン特別事件メモ 中学時代一年生 昭和35年4月 昭和35年12月 (読切連載)
    忘れた指紋 中学時代一年生 昭和35年6月 [上記連作中の一編] ぼくらの探偵大学
まぼろしの白鳥 ひとみ 昭和35年5月 昭和35年12月
恐怖の特急バス 少年 昭和35年夏の大増刊号
東京キッド 冒険王 昭和35年8月 昭和36年4月
恐怖のおなじ顔 少年増刊 昭和36年1月
カナリヤの墓 ひとみ 昭和36年1月 ぼくらの探偵大学
こわされたマリア像 ひとみ 昭和36年2月 ぼくらの探偵大学
消えた犯人 ひとみ 昭和36年3月
金庫のベルが鳴る ひとみ 昭和36年4月 ぼくらの探偵大学
見えない球場 中学一年コース 昭和37年4月 昭和37年9月
海に消えた男 鉄腕アトムクラブ 昭和40年12月
国際秘密捜査指令 子供の科学 昭和41年4月 昭和43年4月
ロボット作戦 中一時代付録 昭和43年7月
棺に眠る拳銃 中二時代付録 昭和43年8月
時間旅行者をたおせ! 中一時代付録 昭和43年9月
誤配注意 高3コース 昭和43年10月
破壊マシン 中一時代付録 昭和43年10月
影への挑戦 子供の科学 昭和43年5月 昭和44年7月 SOS東京
見知らぬ私 中二時代付録 昭和44年1月
人質バス 中二時代付録 昭和44年4月
幽霊牧師 子供の科学 昭和44年8月 昭和45年9月
殺すのは待って 女学生ロマン 昭和45年7月
まぼろしの魔境ムー 昭和45年7月 まぼろしの魔境ムー
怪獣島 子供の科学 昭和45年10月 昭和46年12月
時間の影 高1コース 昭和46年9月 昭和46年11月
密室の銃声 子供の科学 昭和47年1月 昭和47年2月 読者への挑戦
ぼくは殺される!! 子供の科学 昭和47年3月 昭和47年4月 読者への挑戦
影のアリバイ 子供の科学 昭和47年5月 昭和47年6月 読者への挑戦
めっかちの車 子供の科学 昭和47年7月 昭和47年8月 読者への挑戦
怪獣沼の殺人 子供の科学 昭和47年9月 昭和47年10月 読者への挑戦
誘拐計画 高一時代 昭和47年11月
逃げだしたカナリア 子供の科学 昭和47年11月 昭和47年12月 読者への挑戦
産業スパイはだれだ!! 子供の科学 昭和48年1月 昭和48年2月 読者への挑戦
花びんの高さ 小学五年生 昭和48年2月
プロボウラー怪死事件 小学六年生 昭和48年2月
きつねのたたり 小学五年生 昭和48年3月
幽霊犯人 子供の科学 昭和48年3月 昭和48年4月 読者への挑戦
なぞの別荘殺人事件 小学六年生 昭和48年5月
脅迫魔 子供の科学 昭和48年5月 昭和48年6月 読者への挑戦
消えた短剣 子供の科学 昭和48年7月 昭和48年8月 読者への挑戦
白カバ荘の怪事件 子供の科学 昭和48年9月 昭和48年10月 読者への挑戦
死を呼ぶ祭り 子供の科学 昭和48年11月 昭和48年12月 読者への挑戦
消えた少年 小学五年生付録 昭和48年12月
SOS東京 子供の科学 昭和49年8月 昭和50年12月 SOS東京
ただいまお話ちゅう 中学三年コース 昭和50年1月
足のないどろぼう 4年の科学 昭和50年4月
凶器のシルエット 中一時代 昭和50年5月
部屋の中の池? 4年の科学 昭和50年6月
展望台の殺人事件 中一時代 昭和50年6月
やみにゆれる謎の信号!? 4年の科学 昭和50年8月
こちらユカ探偵事務所 5年の学習/6年の学習 昭和51年4月 昭和52年4月 (最終話を除き、読切連載)
トロフィー殺人事件 小学五年生 昭和51年6月
たんてい屋ケンちゃん 4年の読み物特集 昭和51年
ミカの探偵ノート 5年の学習 昭和52年4月 昭和53年3月 (ほぼ、2月完結読切連載)
もう一人のボク 小学三年生 昭和52年8月 昭和52年11月
リカ先生のハッスル探偵日記 5年の学習 昭和53年5月 昭和53年10月 (2月完結読切連載)
リカ先生のハッスル探偵日記 5年の学習 昭和54年4月 昭和55年3月 (2月完結読切連載)
二人はVサイン 5年の学習 昭和55年4月 昭和56年3月 (2月完結読切連載)
(タイトルなし) 小学四年生 昭和55年4月
(タイトルなし) 小学四年生 昭和55年5月
(タイトルなし) 小学四年生 昭和55年6月
(タイトルなし) 小学四年生 昭和55年7月
(タイトルなし) 小学四年生 昭和55年8月
ねらわれた石像 小学四年生 昭和56年4月 昭和56年5月
盗まれたにしきごい 小学四年生 昭和56年6月 昭和56年7月
ウソを見やぶれ 小学三年生 昭和57年3月
消えたバイオリン 小学四年生 昭和57年4月 昭和57年5月
校長室の怪事件 小学四年生 昭和57年6月 昭和57年7月
見えないテレビ 5年の読み物特集 昭和58年
奇妙なパズル 5年の読み物特集 昭和59年
深夜のバス・ジャック 6年の読み物特集 昭和60年
消えたニシキゴイのなぞ 5年の読み物特集 平成4年上

 高校生向け雑誌に書かれた4編も、ここにとりあえず収めたている。このあたり、先の定義に矛盾しているかも知れないが、整理の都合上、とみていただきたい。
 『まぼろしの魔境ムー』は、書き下ろしとされることが多いので、ここでもその形で入れているが、実は確認したことがない。間違っていたら、お許しいただきたい。

 「警視庁Gメン特別事件メモ」シリーズ中の「忘れた指紋」だけやや中途半端な形になっているが、これは、『ぼくらの探偵大学』にこの一編だけ収められている、という書誌的なことを記すための措置であるので、お許しいただきたい。『ぼくらの探偵大学』に収められた他の作品はいずれも《ひとみ》に犯人当てとして掲載されたものなので、代わりに「消えた犯人」を入れておけばスッキリしたはずだが、何故かこの一編だけが差し替わっている(このため、この作品だけ、他の作品では主役となっている明子が全く活躍していない。また、もともと犯人当てではない作品を無理に書き換えたせいか、他の作品とは異質な印象も感じてしまう)のは何故なのだろう。不思議な編集ではある。

 とりあえず、上げるだけあげますが、随時直して行きます。
 こんなリストでも、多少は何らかの参考になると信じて……。


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