土屋隆夫 短編リスト(補足版)

戸田和光作成


本リストについて

 土屋隆夫の書誌は、ほぼほぼ完全なものが存在しているので、今更私などが補足する必要はないのだけれど、それでも、時々怪しいリストを見かけたりもするので、念の為に作っておいても、と思うことがあった。そんなこともあり、今回、取り急ぎまとめたものになる。
 先に書いた通り、土屋の作品リストは既にある、という前提での整理なので、今回の作成にあたっては、あくまでも既存のものを基本にした補足版、に過ぎない。特に手を抜いているのが、初出題と改題の部分で、その点についての確認をしていない。初出題と改題後のタイトルが混じっている可能性が高いことを、ご注意いただきたい。
 また、殆どの作品が土屋の短編集に収められている、という前提なので、収録短編集についても省いてしまった。それでも問題はないと思うのだけれど、それは私だけの認識だろうか……。
 気がついたことがあれば、下記のアドレス宛てにご指摘ください。

gokusiteki.shuuishu@gmail.com    (@を半角に修正してください)    


短編リスト

タイトル雑誌・新聞名掲載年月備考
「罪ふかき死」の構図 別冊宝石 1949年12月
外道の言葉 宝石 1950年5月
地獄から来た天使 宝石 1950年11月
夜行列車 宝石 1951年4月
宝石 1951年11月
奇妙な招待状 別冊宝石 1951年12月
いじめられた女 宝石 1952年6月
青い帽子の物語 別冊宝石 1952年6月
私は今日消えてゆく 宝石 1952年12月
マリアの丘 探偵実話 1952年12月
民主主義殺人事件 増刊宝石 1953年3月
推理の花道 探偵実話 1953年4月
経営学入門 宝石 1953年10月
りんご裁判 探偵倶楽部 1954年2月
ささやかな復讐 探偵倶楽部 1954年4月
狂った季節 探偵倶楽部 1954年6月
影に追われる男 探偵倶楽部 1954年9月
愛する 宝石 1954年10月
死神 探偵倶楽部 1954年11月
心の影 宝石 1955年1月
恐ろしき文集 探偵倶楽部 1955年2月
貞操実験 探偵倶楽部 1955年4月
ある偶然 宝石 1955年6月
殺人のお知らせ 探偵倶楽部 1955年7月
花と月光 オール読切 1955年7月
傷だらけの街 宝石 1955年11月
粋理学入門 探偵倶楽部 1956年1月
ゆがんだ絵 探偵実話 1956年2月
どこまでも―闇 宝石 1956年6月
死者は訴えない 探偵実話 1956年8月
小さな鬼たち 宝石 1956年11月
再婚学入門 探偵実話 1957年1月
夢の足跡 探偵実話 1957年6月
三通の遺書 探偵実話 1957年10月
二枚の百円札 探偵実話 1957年12月
重たい影 宝石 1958年1月
七歳の告白 探偵実話 1958年2月
暗い部屋 耽奇小説 1958年5月
孤独な殺人者 宝石 1958年5月
奇妙な再会 宝石 1958年12月
肌の告白 『肌の告白』 1959年6月
九十九点の犯罪 『推理教室』 1959年7月
見えない手 『推理教室』 1959年7月
配られた死 中日新聞 1959年9月6日
穴の上下 宝石 1960年3月
離婚学入門 宝石 1960年7月
判事よ自らを裁け 宝石 1960年12月
魔笛 『私だけが知っている』 1961年3月
変てこな葬列 宝石 1961年7月
白樺タクシーの男 別冊週刊漫画Times 1961年8月17日
密室学入門 宝石 1961年10月
穴の穴 スリラー街 1962年2月15日
情事の背景 オール読物 1962年3月
死のたわむれ 高3コース 1962年3月
開いて、跳んだ 漫画読本 1962年3月
軽罪学入門 別冊週刊朝日 1962年3月
媚薬学入門 別冊週刊漫画Times 1962年8月21日
寒い夫婦 推理ストーリー 1963年3月
女の鎖 別冊週刊漫画Times 1963年3月5日
地図にない道 1963年7-12月
穴の設計書 宝石 1964年2月
ねじれた部屋 推理ストーリー 1964年7月
穴の周辺 オール読物 1964年10月
殺人ラッキー賞 週刊現代 1964年10月1日
美の犯罪 PL青年 1964年12月
死の接点 推理ストーリー 1965年1月
穴を埋める オール読物 1965年6月
夜の判決 推理ストーリー 1965年6月
穴の終曲 推理ストーリー 1965年11月
穴の眠り オール読物 1965年11月
女の穴 推理ストーリー 1966年6月
動機と機会 漫画読本 1966年7月
穴の勝敗 推理ストーリー 1967年4月
縄の証言 別冊宝石 1967年4月
沈黙協定 推理ストーリー 1967年7月
空中階段 推理界 1967年7月
正当防衛 推理界 1967年9月
淫らな骨 推理ストーリー 1967年12月
潜在証拠 推理界 1968年2月
天国問答 推理界 1968年4月
Xの被害者 別冊小説宝石 1968年4-6月
芥川龍之介の推理 推理ストーリー 1968年9月
黒い虹 オール読物 1969年5月
殺人コンサルタント 女性自身 1969年11月8日
淫らな証人 小説現代 1970年8月
ある男の影 信濃毎日新聞 1970年9月1日
加えて、消した 別冊小説現代 1971年1月
三幕の喜劇 別冊小説宝石 1971年2月
わがままな死体 別冊小説宝石 1971年6月
氷の椅子 小説サンデー毎日 1972年6月
報道学入門 推理 1972年8月
盲目物語 別冊小説宝石 1972年10月
泥の文学碑 小説サンデー毎日 1972年11月
午前十時の女 別冊小説現代 1973年1月
媚薬の旅 小説サンデー毎日 1973年3月
夜の勝敗 信濃毎日新聞 1973年7月8日
しつこい自殺者 小説現代 1973年11月
気まぐれな死体 小説サンデー毎日 1974年2月
追われる男 旭の友 1974年8月
似たもの同志 家の光 1974年12月
異説・軽井沢心中 週刊小説 1974年12月20日
老後の楽しみ 週刊小説 1975年3月12日
風にヒラヒラ物語 別冊小説現代 1975年4月
虚実の夜 カッパまがじん 1977年3月
くじ運の悪い男 別冊小説宝石 1978年5月
半分になった男 別冊中央公論 1981年7月のちに、改稿
半分になった男EQ 1992年7-9月 《別冊中央公論》のものを加筆・改稿
深夜の法廷 EQ 1993年7月
遺書 文庫のぶんこ 1994年5月
花心夫婦心中 EQ 1997年5月戯曲

 
 補足を一つ、二つ。
 「死のたわむれ」は、本当であれば、次の項の方に収めるべき作品かも知れないが、《創元推理》に再録されていることもあり、こちらに入れている。この辺りの境界線は曖昧な部分もありそうだが、ここでは、便宜的な分類であることをご理解いただきたい。
 あと、犯人当てのテレビ番組「私だけが知っている」に土屋が書いた作品のいくつかが、後にアンソロジーに再録されている。これは入れても良いのかも知れないが、すべての土屋作品が収められた訳ではないし、脚本の扱いについては迷うところもあって、ここでは外している。
 参考までに書いておくと、いくつかのデータベースをあたると、土屋がミステリでデビューする以前にも、土屋隆夫という人がいくつかの脚本コンテストに応募していた経歴を見つけることが出来る。これが土屋本人なのか検証していないし、何よりミステリでない可能性もあるから、当然今回のリストに入れることはしないが、デビュー後にも、何回か、ラジオドラマの脚本を土屋が手掛けていた記録も見つけられる(たとえば、「影の道」)。これらの存在を知った上で、ただ、今手に入るから、という理由だけでリスト化する勇気は、私にはない――。
 ではなぜ「花心夫婦心中」を残したのか、と言われそうだが、これは本人の著書に収録されているからだ。


ジュヴナイル・リスト

タイトル雑誌・新聞名掲載年月備考
夜光る顔 4年の学習/5年の学習 昭和37年1-9月
シラカバに聞け 6年の学習 昭和40年9月
鏡が見ていた 6年の学習臨時増刊 昭和41年2月
まぼろしの声 中学一年コース 昭和44年3月
死者がノックする 中三時代付録 昭和44年4月 「進級お祝い小説・まんが傑作集」

 
 余り、見たことがないので、こちらもまとめておく。
 土屋のイメージとジュヴナイルとは、余り合わない気もするが、当時の作家の常として、土屋もそれなりの数のジュヴナイルを手掛けている。上記は、あくまでもその中の一部で、他にも書いている可能性が高いが、現時点で私が把握できているものになる。
 「夜光る顔」は、年度をまたいでいるために、この表記をしているが、9か月の連載である。とはいっても、小学生向けでもあり、一回の枚数も少ないから、実質はやや長い短編というべきかも知れない。
 むしろ、中学生向けに書かれた「死者がノックする」の方が、中編に近い長さだった記憶がある。

 朝霧警部が登場する作品もあったはずで、こちらも、いつか一冊にまとまれば嬉しいのだが、さて……。(私も、「夜光る顔」の途中回を確認できていない(号泣))


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