戸倉正三 作品書誌(たたき台編)

戸田和光 編


はじめに

 例によってお断りしておくと、私はSFに関しては完全な素人であり、下記に挙げる作品を、全く読んだことがない。門外漢がまとめた資料であることを、予め、御諒解しておいていただきたい。
 ただ、アマチュア作家として終始したショートショート作家としては、比較的一般誌紙にも作品が掲載されたようなので、半ば好奇心でまとめてみたものである。
 とはいえ、『カメレオン』はもとより、『宇宙塵』を全く確認しないで作成するのは無理が過ぎるだろうし、何より、作者本人が発行していたとされる“ハガジン”を含めると、洩れている作品数の方がずっと多いに違いない。あくまで、「いやいや、この作家の作品数はこんなもんじゃない」――とSFプロパーの方が作品書誌をまとめるためのたたき台として、公開してみた。

本リストについて

 戸倉正三は、昭和三十年代から四十年代にかけて活動した、アマチュア作家。当時の住所は甲府市。本職は高校教諭で、その一方で、ほぼショートショート専門に多くの作品を執筆した――という程度は聞いたことがある。(これすらも裏付けを取ってはいないので、誤りがあればご指摘ください)
 当然ながら、その作品の多数は同人誌に掲載されたものだが、SF雑誌にも転載されたし、一般紙にもオリジナル作品が掲載されているから、当時は(SF界等の限られた世界では)それなりに知られた作家だったのではないか。
 自費出版本に、『どこにもある・どこにもない話』がある。以下の表では、同書に収録された作品に“○”をつけた。(が、当然私は所持しておらず、一度手に取ったことがあるだけなので、誤りがあるかも知れない……) また、「山梨日日新聞」には、もう少し作品が載っていても良さそうにも思うが、まだ全く調査できていない。こういった点も含めて、御諒解いただきたい。


作品リスト

タイトル初出媒体名掲載年月再録媒体名掲載年月どこにもある・どこにもない話改題
ナイジ博士とその仮説 宇宙塵 1961年3月
こまねずみ 宇宙塵 1961年4月
しっと 宇宙塵 1961年5月学生の科学 1961年8月嫉妬
黒いロボット 宇宙塵 1961年5月
街を歩く 宇宙塵 1961年5月ヒッチコックマガジン 1961年7月
メリイ・ゴオラウンド null 1961年6月ヒッチコックマガジン 1961年9月メリイ・ゴウラウンド
国営整理場 宇宙塵 1961年6月
邪魔物 宇宙塵 1961年8月
海浜の曲 宇宙塵 1961年9月ヒッチコックマガジン 1962年1月
さざえ病カルテ 密室 1961年10月
これは失礼 宇宙塵 1961年10月
面接試験 ヒッチコックマガジン 1961年10月
隅にはいる 宇宙塵 1961年11月
この先はなに? ヒッチコックマガジン 1961年12月
配線技師の体験 宇宙塵 1962年1月
軍隊酒場 ヒッチコックマガジン 1962年1月
カンニング教室 ヒッチコックマガジン 1962年1月
社会方程式 ヒッチコックマガジン 1962年1月
地声 カメレオン 1962年2月
最後に生きる カメレオン 1962年2月
三人の殺し屋 SRマンスリー 1962年2月
青汁の効用 宇宙塵 1962年3月
どこにもいない名優 宇宙塵 1962年5月
脱走者 ヒッチコックマガジン 1962年6月
ひとつの願い ヒッチコックマガジン 1962年7月
幽霊選挙人名簿 ヒッチコックマガジン 1962年8月
あなたのために書きます宇宙塵 1962年9月
生命保険 ヒッチコックマガジン 1962年9月
こうして神話はつくられる宇宙塵 1962年10月ヒッチコックマガジン 1963年2月
半人猿 ヒッチコックマガジン 1962年11月
スタート・ライン ヒッチコックマガジン 1962年11月
みんなで読書を ヒッチコックマガジン 1962年11月
犯人は零度K 宇宙塵 1962年12月
たま屋! がぎ屋! ヒッチコックマガジン 1962年12月
聖夜 ヒッチコックマガジン 1962年12月
広告写真 ヒッチコックマガジン 1962年12月
頭上の轟音 宇宙塵 1963年1月
XプラスYの事情 ヒッチコックマガジン 1963年1月
ことしの運勢 山梨日日新聞 1963年1月4日
春闘異聞 ヒッチコックマガジン 1963年3月
夜叉 密室 1963年4月
大男 密室 1963年4月
宇宙のどこかで 宇宙塵 1963年10月宝石 1963年12月
みんな消えた 宇宙塵 1963年12月
にょろり記 Null 1964年1月山梨日日新聞 1964年2月
兵士 宇宙塵 1964年2月
天狗の 祭典 宇宙塵 1964年7月
瞬時 宇宙塵 1964年10月
私だけがしらない 宇宙塵 1964年10月
機械礼賛 SFマガジン 1970年5月
月のレクイエム SFマガジン 1970年5月
タイム・ポケット SFマガジン 1970年5月
蒸発志願 SFマガジン 1970年5月
宇宙の英雄 SFマガジン 1970年5月
都会のあわ SFマガジン 1970年5月
かけ SFマガジン 1970年5月
月に這う SFマガジン 1971年1月
ひとつの石 SFマガジン 1971年1月
閉じた家 SFマガジン 1971年1月
黒い空の下で SFマガジン 1971年1月
歩道橋 SFマガジン 1971年1月
SF作戦 小五教育技術 1971年4月
生きとし生けるもの 小五教育技術 1971年5月
原始の造反 小五教育技術 1971年6月
平和な村 小五教育技術 1971年7月
処女懐胎 小五教育技術 1971年8月
奇跡の青空 小五教育技術 1971年9月
原爆の幻影 小五教育技術 1971年10月
なめくじ 小五教育技術 1971年11月
暗い道標 小五教育技術 1971年12月
怪獣忌 小五教育技術 1972年1月
カセット 小五教育技術 1972年2月
ハンター 小五教育技術 1972年3月
ペット・エレキ 別冊小説宝石 1973年6月
視線 別冊小説宝石 1973年8月

 なお、「にょろり記」の『山梨日日新聞』への再録は、私は確認できなかった。
 ここでは、『どこにもある・どこにもない話』に掲載された書誌情報によった。


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