戸田和光 編
本リストは、乱歩賞受賞以前から作品を発表していた作家の活動状況を整理してみよう――その2である。例によって、様々な資料を継ぎ接ぎしているだけのものに過ぎないが、それによって、特にその作家にとって、乱歩賞受賞はどのような位置づけだったのか、推測できないか、と思ったのだった。
その1の海渡は、乱歩賞受賞が実質的なデビューで、それ以前の作品は習作――と考えていたのではないか、と考えているが、こちらの佐賀は、乱歩賞受賞は名前を広めたキッカケに過ぎず、小説自体は乱歩賞受賞前と受賞後で全く違いがない、と思っている。それを、示したリストになる。
ただ、最近では完全に忘れられた作家で、資料を含めて、充分なデータが揃えられた気が全くしない。また、自分でも殆んど読めてないので、間違っている個所がまだ多数あるだろうと覚悟している。
ただ、多少時間をあけてみたが、これ以上のものが作れるとは思えなくなったので、とりあえず公にしてみた次第である。誤りや洩れがあれば、是非お知らせいただきたい、
気がついたことがあれば、下記のアドレス宛てにご指摘くだされば幸いです。
gokusiteki.shuuishu@gmail.com (@を半角に修正してください)
書名 | 改題 | 区分 | 出版社 | 出版年月 | 文庫 | 備考 |
ある殺意 ミステリイのための犯罪心理ノート | 連作 | 光書房 | 1959年7月 | |||
ある疑惑 | 黒の疑惑 | 長編 | 荒地出版社 | 1960年7月 | ||
非情の顔 | 謀略者 | 長編 | 浪速書房 | 1960年10月 | 春陽 | |
第三の殺人 | 黒の構図 | 長編 | 浪速書房 | 1961年4月 | 春陽 | |
むらさきの女 | 黒の追跡者 | 長編 | 雪華社 | 1961年5月 | ||
華やかな死体 | 長編 | 講談社 | 1962年9月 | 春陽 | ||
黒の記憶 | 長編 | 講談社 | 1963年4月 | |||
特捜圏外 埼玉鉄道事件 | 長編 | 光文社 | 1963年5月 | |||
検事城戸明 | 黒の捜査 | 長編 | 東都書房 | 1963年10月 | 春陽 | |
銭の踊り | 長編 | 桃源社 | 1963年11月 | |||
701号法廷 太陽信用組合事件 | 長編 | 光文社 | 1963年11月 | |||
法律事務所SAGA | 短編 | アサヒ芸能出版 | 1964年3月 | |||
白檀が匂った | 連作 | 東潮社 | 1964年5月 | |||
赤い血黒い血 | 長編 | アサヒ芸能出版 | 1964年9月 | 春陽 | ||
恐喝 | 長編 | 光文社 | 1964年11月 | |||
会社泥棒 | 黒い策謀 | 長編 | 学習研究社 | 1965年4月 | ||
黒幕 | 長編 | 光文社 | 1965年6月 | |||
暗殺 明治の暗黒 | 長編 | 講談社 | 1965年11月 | |||
掠奪者 | 長編 | 東京文芸社 | 1966年3月 | |||
猫眼石 | 深夜の目撃 | 中編 | 東京文芸社 | 1966年4月 | ||
略奪 明治の暗黒 | 長編 | 講談社 | 1966年4月 | |||
脱税者 | 長編 | 光文社 | 1966年5月 | |||
黒の初夜 | 短編 | 東京文芸社 | 1966年7月 | |||
黒の勝敗 | 長編 | 東京文芸社 | 1966年10月 | |||
会社喰い | 長編 | 光文社 | 1966年11月 | |||
赤い傷痕 | 再編 | 東京文芸社 | 1966 | |||
黒い会社 | 短編 | 東京文芸社 | 1967年1月 | |||
黒い悦楽 | 短編 | 東京文芸社 | 1967年2月 | |||
総理大臣秘書 | 長編 | 読売新聞社 | 1967年2月 | |||
代議士逮捕 | 長編 | 光文社 | 1967年8月 | |||
黒の社長室 特捜事件簿 | NF | 徳間書店 | 1967年8月 | |||
黒い爪痕 | NF | 徳間書店 | 1967年10月 | |||
倒産会社 | 短編 | 東京文芸社 | 1967年11月 | |||
札束の軌跡 黒の告発書 | NF | 双葉社 | 1967年11月 | |||
小説経団連 | 短編 | 徳間書店 | 1967年12月 | |||
抜け穴 | 長編 | 読売新聞社 | 1968年3月 | |||
銭と女 | 長編 | 講談社 | 1968年4月 | |||
詐欺師 | 短編 | 東京文芸社 | 1968年6月 | |||
幻の工場群 | 長編 | 光文社 | 1968年6月 | |||
乱花 藤原薬子の乱 | 長編 | 人物往来社 | 1968年6月 | |||
小説女の法律 | 連作 | 東京文芸社 | 1968年9月 | |||
闇の極意 | 連作 | 新潮社 | 1968年10月 | |||
倒産心中 | 短編 | 浪速書房 | 1968年12月 | |||
女の罠 | 短編 | 東方社 | 1968年12月 | |||
逃亡者 | 中編 | 東方社 | 1968 | |||
札束の虐殺 | 短編 | 東京文芸社 | 1969年1月 | |||
裁判おんなと男 | 短編 | 文芸春秋 | 1969年1月 | |||
殺意の蔭に | 再編 | 秋田書店 | 1969年3月 | |||
完全犯罪入門 | 連作 | 文芸春秋 | 1969年4月 | |||
五号という名の女 | 短編 | 集英社 | 1969年5月 | |||
アダムとイブの判例集 | 連作 | 東京文芸社 | 1969年5月 | |||
殺人の報酬 | 長編 | ノーベル書房 | 1969年6月 | |||
弁護士槙弾正の告白 | 連作 | 文芸春秋 | 1969年7月 | |||
社長の椅子 | 中編 | 学習研究社 | 1969年8月 | |||
小説法律入門 | 短編 | 徳間書店 | 1969年8月 | |||
六字の遺書 | 短編 | 講談社 | 1969年9月 | |||
夜を撃つ | 再編 | 日本文華社 | 1969年9月 | |||
真昼の醜聞 | 長編 | 新潮社 | 1969年9月 | |||
地図にない沼 | 連作 | 光文社 | 1969年9月 | |||
黒い策謀 | 再編 | 秋田書店 | 1969年10月 | |||
影の棲息者 | 長編 | 光文社 | 1969年12月 | |||
女体の幻影 | 短編 | 東京文芸社 | 1970年1月 | |||
ドキュメント戦国 川中島の決戦 | 悲風川中島 | ドキュメント | 人物往来社 | 1970年1月 | 大陸 | |
"佐賀潜捕物帖 第1巻 (掏摸の町)" | 連作 | 毎日新聞社 | 1970年3月 | |||
黒い昼夜 小説人生相談 | 連作 | 東京文芸社 | 1970年4月 | |||
黒い頭脳集団 | 連作 | 学習研究社 | 1970年4月 | |||
幻の殺人者 | 再編 | 日本文華社 | 1970年6月 | |||
華麗なる殺人 | 連作 | 文芸春秋 | 1970年7月 | |||
夜の法律 | 長編 | 講談社 | 1970年7月 | |||
刺青源八捕物控 天の巻 | 連作 | サンケイ新聞社出版局 | 1970年8月 | |||
"佐賀潜捕物帖 第2巻 (醜聞色若衆)" | 連作 | 毎日新聞社 | 1970年8月 | |||
闇の図録 | 連作 | 新潮社 | 1970年8月 | |||
悪の捕物帖 | 連作 | 光文社 | 1970年10月 | 光文 | ||
刺青源八捕物控 地の巻 | 連作 | サンケイ新聞社出版局 | 1970年11月 | |||
影絵のアルバム | 連作 | 文芸春秋 | 1970年11月 | |||
燃えた札束 | 短編 | 日本文華社 | 1971年3月 |
例によって、書誌研究ありきのリストなので、ここでは小説に限っており、法律相談関連の書籍は、一切省いているた。ただ、佐賀作品は、ノンフィクションとの境界のようなものも多く、純粋に小説と呼ぶべきか、微妙なものも多い(リストの区分を“NF”としたもののほか、『弁護士槙弾正の告白』なども、該当するだろう)。その点については、明確な判断も難しいため、そちらについては基本的に残すようにしている。そのつもりでご覧いただきたい。
注意して欲しいのは、乱歩賞受賞作は佐賀の著としては6冊目であり、しかも乱歩賞以前に刊行した書籍は、いずれもその後、再刊されている(しかも“黒の”シリーズに揃えるように改題までしている)点だろう。これが、先の印象につながる訳だ。
文庫の項は、同書が最初に文庫化された会社を入れた。佐賀は活躍期間が短かったせいか、文庫化された作品の方が少ない。そのため、この形にしたものである。複数回文庫化されたのも、乱歩賞受賞作である『華やかな死体』くらいなので、具体化した方が分かりやすいと思った次第である。
書名 | 初出誌紙 | 連載開始年月日 | 連載終了年月日 | 初出タイトル(備考) |
ある疑惑 | 書き下ろし | |||
非情の顔 | ||||
第三の殺人 | 夕刊東京タイムズ | 1960年11月16日 | 1961年4月6日 | |
むらさきの女 | 書き下ろし | |||
華やかな死体 | 書き下ろし | |||
黒の記憶 | 書き下ろし | |||
特捜圏外 埼玉鉄道事件 | 書き下ろし | |||
検事城戸明 | 書き下ろし | |||
銭の踊り | 書き下ろし | |||
701号法廷 太陽信用組合事件 | 書き下ろし | |||
赤い血黒い血 | アサヒ芸能 | 1964年2月2日 | 1964年6月7日 | |
恐喝 | ||||
会社泥棒 | 書き下ろし | |||
黒幕 | 書き下ろし | |||
暗殺 明治の暗黒 | 書き下ろし | |||
掠奪者 | 東京タイムズ | 1963年11月14日 | 1964年3月29日 | 夜の傷あと |
略奪 明治の暗黒 | 書き下ろし | |||
脱税者 | 宝石 | 1966年4月 | 【長編化】 | |
黒の勝敗 | ||||
会社喰い | 書き下ろし | |||
総理大臣秘書 | 書き下ろし | |||
代議士逮捕 | 書き下ろし | |||
抜け穴 | 書き下ろし | |||
銭と女 | 週刊現代. | 1967年5月18日 | 1967年12月28日 | |
幻の工場群 | 宝石 | 1967年6月 | 1967年12月 | |
乱花 藤原薬子の乱 | ||||
殺人の報酬 | ||||
真昼の醜聞 | 週刊新潮 | 1968年5月25日 | 1969年5月3日 | |
影の棲息者 | 週刊言論 | 1969年1月1日 | 1969年10月1日 | |
夜の法律 | 東京スポーツ | 1969年9月19日 | 1970年5月18日 | |
消えた沼 | 公明新聞 | 1970年1月4日 | 1970年8月23日 | 【未完】 |
黒い大地 | 福島民友 | 1970年6月22日 | 1970年8月19日 | 【未完】 |
黒の社長室 特捜事件簿 | 週刊現代. | 1966年10月27日 | 1966年12月22日 | 黒い事件簿 |
初出誌紙の欄が空欄のものが、初出が特定できていないものになる。その多くは書き下ろし≠フ可能性が高いとは思っているが、個人的に『黒の勝敗』は書き下ろし思っていない(佐賀は、東京文芸社から多くの本を刊行しているが、書き下ろし作品は一つもないからだ。この一冊だけ書き下ろしだったとは思えない、というだけの根拠だが)ため、明確に書き下ろし≠ニされていたものだけ、同欄に書き下ろし≠ニ入れている。
最初の区切りの次の二作は、作者が体調を崩したため、連載が中断されたもの。そのまま急逝されたため、未完成で終わった作品となる。新聞連載2つというのが珍しいかも知れないが、『消えた沼』は日曜版掲載のものなので、むしろ週刊誌に準じたものと考えるべきかも知れない。
最後の『黒の社長室』は、書籍でNFと分類しているため、こちらでも、敢えてここに分類している。
短編集タイトル | タイトル | 初出誌 | 初出年月 | 連載終了年月 | 初出題 など |
法律事務所SAGA | 欺された女 | ||||
白水仙の女 | |||||
女の遺書 | |||||
博多から来た女 | |||||
葉桜心中 | |||||
女の社長 | |||||
顔紋 | 宝石 | 1963年9月 | |||
検事と弁護士 | 別冊宝石 | 1964年1月 | |||
黒い会社 | 銭 | 宝石 | 1962年11月 | ||
坂本太郎の犯罪 | 小説現代 | 1965年9月 | 仙波太郎の犯罪 | ||
暗い階段 | 推理ストーリー | 1964年10月 | |||
掏摸の季節 | 週刊現代 | 1964年12月10日 | |||
可愛いい女 | 漫画文芸 | 1964年12月 | |||
罪なき殺人 | 週刊現代 | 1962年10月21日 | |||
黒い河 | 時 | 1963年5月 | |||
夜の足音 | 潮 | 1964年10月 | |||
検事と弁護士 | 【再録】 | ||||
顔紋 | 【再録】 | ||||
黒い悦楽 | 火の中の顔 | 週刊生きる女性 | 1961年3月23日 | 1961年4月13日 | |
ある情死 | 週刊生きる女性 | 1961年4月20日 | 1961年5月11日 | ||
私は殺さない | 週刊大衆 | 1964年10月8日 | |||
白檀が匂った | 【再録】 | ||||
夜を撃つ | 【再録】 | ||||
不倫な関係 | |||||
おのろけ詐欺 | |||||
偽装心中 | 主婦と生活 | 1965年11月 | |||
倒産会社 | 会社殺人 | 推理界 | 1967年11月 | ||
血縁重役 | 推理界 | 1967年7月 | |||
殺意の交錯 | 女性セブン | 1967年4月12日 | |||
一億円蒸発 | 別冊小説現代 | 1967年10月 | |||
消えた溶鉱炉 | 別冊小説宝石 | 1967年6月 | |||
証券会社倒産 | 日本 | 1966年6月 | |||
脱税王を手玉に取った男 | 現代 | 1967年6月 | |||
保全経済会事件の背後(NF) | |||||
消えた地面師 | 時 | 1963年4月 | |||
小説経団連 | 小説経団連 | 新評 | 1967年11月 | ||
黒い罠 | 問題小説 | 1967年12月 | |||
疑惑の八百万籠 | 現代 | 1967年7月 | |||
社長の女 | 週刊サンケイ | 1967年10月23日 | |||
脱税 | 宝石 | 1966年4月 | 脱税者 | ||
詐欺師 | 詐欺師 | 別冊宝石 | 1968年1月 | ||
欲望の裁断 | 別冊小説現代 | 1968年4月 | |||
狙われた男 | 小説現代 | 1968年2月 | |||
三十八歳の女 | 問題小説 | 1968年4月 | |||
社長の女 | 【再録】 | ||||
金泥の沼に棲む | 別冊宝石 | 1968年6月 | |||
脱税者 | 【再録】 | ||||
倒産心中 | 倒産心中 | 別冊新評/新評 | 1968年8月 | 1969年1月 | |
腹上死 | 推理界 | 1968年10月 | |||
安楽死 | 推理ストーリー | 1968年12月 | |||
死の商人 | 週刊読売 | 1968年5月10日 | |||
死の遺産 | 女性自身 | 1968年5月13日 | |||
検事と弁護士 | 【再録】 | ||||
銭 | 【再録】 | ||||
女の社長 | 【再録】 | ||||
顔紋 | 【再録】 | ||||
女の罠 | 罠に落ちた女 | 問題小説 | 1968年9月 | ||
五号という名の女 | 小説セブン | 1968年8月 | |||
六番目の女 | 小説現代 | 1968年10月 | |||
檻の中の女 | 別冊小説現代 | 1968年7月 | |||
六字の遺書 | 別冊小説現代 | 1968年10月 | |||
札束の虐殺 | 札束の虐殺 | 別冊小説現代 | 1969年1月 | ||
罷り通る電波男 | 小説セブン | 1968年12月 | |||
三千万円盗難 | 小説現代 | 1968年12月 | |||
脱税殺人 | 推理界 | 1969年2月 | |||
錯誤による殺人 | 問題小説 | 1968年12月 | |||
裁判おんなと男 | 情死か殺人か | 漫画読本 | 1968年2月 | ||
明治の大岡裁き | 漫画読本 | 1968年3月 | |||
女車掌の殺人 | 漫画読本 | 1968年4月 | |||
宇都宮の女 | 漫画読本 | 1968年5月 | |||
温泉宿の番頭と女中 | 漫画読本 | 1968年6月 | |||
婦人科医師の犯罪 | 漫画読本 | 1968年7月 | |||
酒精(アルコール)中毒者の犯罪 | 漫画読本 | 1968年8月 | |||
憂鬱症の殺人 | 漫画読本 | 1968年9月 | |||
男の舌を噛み切った女 | 漫画読本 | 1968年10月 | |||
若妻の尊属殺人 | 漫画読本 | 1968年11月 | |||
情痴が死を招く | 漫画読本 | 1968年12月 | |||
性的異常者の犯罪 | |||||
逃亡者の過失致死罪 | |||||
五号という名の女 | 五号という名の女 | 【再録】 | |||
罷り通る電波男 | 【再録】 | ||||
夜の法律 | 小説セブン | 1969年4月 | 小説夜の法律 | ||
影絵の男 | 別冊小説現代 | 1969年4月 | |||
小説法律入門 | 燃えた札束 | 小説現代 | 1969年6月 | ||
夜の法律 | 【再録】 | ||||
錯誤による殺人 | 【再録】 | ||||
昏睡強盗 | 問題小説 | 1969年5月 | |||
六字の遺書 | 六字の遺書 | 【再録】 | |||
影絵の男 | 【再録】 | ||||
底無しの沼 | 別冊小説新潮 | 1969年7月 | |||
課長の自殺 | フレッシュマン | 1969年1月 | 1969年6月 | ||
女体の幻影 | カラー小説 | 1969年7月 | |||
女体の幻影 | 女体の幻影 | 【再録】 | |||
欲望の葬送 | カラー小説 | 1969年6月 | |||
悪の報酬 | カラー小説 | 1969年9月 | |||
女と謀略 | 週刊サンケイ | 1969年4月14日 | |||
影絵のアルバム | 週刊サンケイ | 1969年1月13日 | |||
幻の殺人者 | 流動 | 1969年12月 | |||
死者は語らず | 流動 | 1970年1月 | |||
課長の自殺 | 【再録】 | ||||
燃えた札束 | 燃えた札束 | 【再録】 | |||
会社を喰う男 | オール読物 | 1970年1月 | |||
女掏摸 | 小説セブン | 1969年12月 | |||
札束の呪縛 | オール読物 | 1969年11月 | |||
小説東京地方検察庁 | 小説宝石 | 1970年2月 | |||
濡れた緑草地 | 【再録】 | ||||
刺青源八 地の巻 | 泥棒舟 | 週刊サンケイ | 1969年9月8日 | ||
猫眼石 | 猫眼石 | ||||
深夜の目撃 | 高2コース | 1965年4月 | 1965年9月 | ||
逃亡者 | 逃亡者 | 推理界 | 1968年3月 | ||
会社泥棒 | 【再録(長編)】 | ||||
社長の椅子 | 社長の椅子 | 小説エース | 1969年6月 | ||
札束の罠 |
佐賀は、短編集が複雑怪奇である。同じ作品が、何の秩序もなく重複収録されているので、そのまま初出順に並べても、混乱を招くのみのように感じた。このため、ここでは、短編集別に収録作品を並べる、という形を採ってみた。ただ、あくまでも、単行本初収録の作品が収録された短編集のみを掲げており、完全な再編集短編集ははずした(ただでさえ、それらの入手が容易な訳ではないので)。このため、再収録作品については、初出誌の項に“【再録】 ”と入れた。但し、初出では連作だったものを単発で再録することもあったので、作品によっては、次項を随時参照しないと整理ができない可能性があるかも知れない。ご注意いただきたい。
『猫目石』以降は、著書の項で中編≠ノ区分したもの。便宜的に、分けてみたものである。また、『刺青源八 地の巻』の「泥棒舟」は、連作を本にする際に、作者急逝で中断されてしまったため、薄くなった分を単行本未収録で埋めたことを示している。ご留意いただきたい。
収録短編集 | シリーズ名 | 作品名 | 別題 | 収録誌 | 掲載年月 | 連載終了年月 |
小説女の法律 | 女の法律 | 非処女だった妻 | 女性自身 | 1968年6月3日 | ||
妻の座から逃げたい | 1968年6月17日 | |||||
妻ある男との婚約 | 1968年7月1日 | |||||
血液型が証明した | 1968年7月15日 | |||||
内縁という名の妻 | 1968年8月5日 | |||||
妻の証言 | 1968年8月26日 | |||||
女の知恵 | 1968年9月2日 | |||||
アダムとイブの判例集 | アダムとイブの判例集 | 女結婚詐欺師 | pocketパンチOH! | 1968年6月 | ||
女性恐怖者の犯罪 | 1968年7月 | |||||
四角関係の謀略 | 1968年8月 | |||||
略奪の迷路 | 1968年9月 | |||||
殺意の交錯 | 1968年10月 | |||||
欲望の暴走車 | 1968年11月 | |||||
情死の報酬 | 1968年12月 | |||||
火焔の中の顔 | 1969年1月 | |||||
殺人犯人信子の自白 | 1969年2月 | |||||
拐帯犯人の顔 | 1969年3月 | |||||
結婚誘拐の終末 | 1969年4月 | |||||
有罪無罪の岐路 | 1969年5月 | |||||
華麗なる殺人 | 残酷犯罪調書 | 放火殺人の記録 | pocketパンチOH! | 1969年8月 | ||
悪女の記録 | 1969年9月 | |||||
華麗なる殺人 | 1969年10月 | |||||
消えた一億二千万円 | 1969年11月 | |||||
断崖に沈む | 1969年12月 | |||||
女を喰う男 | 1970年1月 | |||||
迷宮入り誘拐事件 | 1970年2月 | |||||
雪の中の死体 | 1970年3月 | |||||
兇盗の終焉 | 1970年4月 | |||||
殺意と札束 | 1970年5月 | |||||
夫の蒸発 | 1970年6月 | |||||
白昼の転落 | 1970年7月 | |||||
黒い昼夜 | 小説人生相談 | 不倫の報酬 | 家の光 | 1969年1月 | ||
離婚の形態 | 1969年2月 | |||||
虚名の妻の座 | 1969年3月 | |||||
29歳の未亡人 | 1969年4月 | |||||
飛び出した息子 | 1969年5月 | |||||
町から来た嫁 | 1969年6月 | |||||
消えた6000万円 | 1969年7月 | |||||
轍の跡 | 1969年8月 | |||||
十九歳の秋 | 1969年9月 | |||||
宗太郎の恋 | 1969年10月 | |||||
蒸発した夫 | 1969年11月 | |||||
偽りの借財 | 1969年12月 | |||||
奪われた太陽 | 1970年1月 | |||||
老父の事故死 | 1970年2月 | |||||
母と子と | 1970年3月 | |||||
死者は語らず | 1970年4月 | |||||
完全犯罪入門 | 完全犯罪入門 | 事故死の断崖 | 小説エース | 1968年10月 | ||
静かなる殺人者 | 1968年11月 | |||||
悪女の知恵 | 1968年12月 | |||||
死体のない殺人 | 1969年1月 | |||||
消えた殺人者 | 1969年2月 | |||||
東京駅の女掏摸 | 1969年3月 | |||||
掏摸の町 | 佐賀潜捕物帖 | 掏摸の町 | 読物専科 | 1969年10月 | ||
脇質観音像 | 1969年11月 | |||||
のび師極意 | 1969年12月 | |||||
初春鳥追い女 | 1970年1月 | |||||
怪談魚辰の井戸 | 魚辰の井戸 | 1970年2月 | ||||
伊勢講抜け参り | 1970年3月 | |||||
醜聞色若衆 | 醜聞色若衆 | 小説サンデー毎日 | 1970年4月 | |||
娘師もぐら盗法 | 1970年5月 | |||||
鯉釣り百本杭 | 1970年6月 | |||||
柳原泥棒市 | 1970年7月 | |||||
松の湯の殺人 | 1970年8月 | |||||
入墨女の水死体 | 1970年9月 | |||||
刺青源八捕物控 天の巻 | 刺青源八捕物控 | 梅花香殺人 | 週刊サンケイ | 1970年1月5日 | 1970年1月19日 | |
のび師権九郎 | 1970年1月26日 | 1970年2月9日 | ||||
出し下駄奇聞 | 1970年3月16日 | 1970年3月30日 | ||||
蝋人形の死体 | 1970年4月6日 | 1970年4月20日 | ||||
泥棒婿 | 1970年4月27日 | 1970年5月11日 | ||||
材木町の女房 | 1970年5月18日 | 1970年6月1日 | ||||
平打の銀簪 | 1970年6月8日 | 1970年6月22日 | ||||
刺青源八捕物控 地の巻 | 直助屋敷の女 | 1970年6月29日 | 1970年7月13日 | |||
海老床の殺人 | 1970年7月20日 | 1970年8月3日 | ||||
怪談古井戸の話 | 1970年8月10日 | 1970年8月24日 | ||||
つばくろ新吉 | 1970年8月31日 | 1970年9月14日 | ||||
黒い頭脳集団 | 黒い頭脳集団 | 幻の倒産 | ビジネスマン | 1969年12月 | ||
乗取りの攻防 | 1970年1月 | |||||
謀略師 | 1970年2月 | |||||
情報スパイの魔手 | 魔手の精算 | 1970年3月 | ||||
黒い頭脳集団 | 1970年4月 | |||||
暗い札束のゆくえ | ウルトラC作戦 | 1970年5月 | ||||
企業合併の影 | 社長蒸発す | 1970年6月 | ||||
弁護士槙弾正の告白 | 弁護士槙弾正の告白 | 零の報酬 | ||||
冷酷無残な政治献金 | 小説新潮 | 1968年6月 | ||||
妻の嫉妬があばく | 1968年7月 | |||||
足音だけが証拠だった | 1968年8月 | |||||
会社乗っ取り戦争 | 1968年9月 | |||||
社長夫人の迷路 | 1968年10月 | |||||
優雅なる脱税者 | 1968年11月 | |||||
静かなる恐喝者 | 1968年12月 | |||||
幻の贈賄メモ | 1969年1月 | |||||
金融王N氏の悪夢 | 1969年2月 | |||||
倒産屋の実体 | 1969年3月 | |||||
産業スパイの現実 | 1969年4月 | |||||
ある合併劇の裏面 | 1969年5月 | |||||
地図にない沼 | 合法犯罪入門 | 隠し金六億八千万円 | 小説宝石 | 1968年11月 | ||
爛れた背徳 | 1968年12月 | |||||
不倫の穽 | 1969年1月 | |||||
相姦の絆 | 1969年2月 | |||||
地図にない沼 | 1969年3月 | |||||
深夜の死亡時刻 | 1969年4月 | |||||
柔肌の策謀 | 1969年5月 | |||||
濡れた緑草地 | 1969年6月 | |||||
誘拐事件調書 | 1969年7月 | |||||
闇の図録 | かわら版江戸情報 | 身替り人別帳 | 別冊小説新潮 | 1968年10月 | ||
座頭松の犯罪 | 1969年1月 | |||||
新宿情死考 | 1969年4月 | |||||
つばめ駕籠 | 1969年7月 | |||||
涼船くずれ橋 | 1969年10月 | |||||
異説油地獄 | 1970年1月 | |||||
影絵のアルバム | 影絵のアルバム | 屋根裏の目撃者 | 週刊言論 | 1970年1月7日 | 1970年1月28日 | |
燃えた証拠 | 1970年2月4日 | 1970年2月18日 | ||||
暗い館 | 1970年3月13日 | 1970年4月3日 | ||||
死の幻影 | 1970年4月10日 | 1970年5月1日 | ||||
浮気の話 | 1970年7月10日 | 1970年7月31日 | ||||
まむし男 | 1970年8月7日 | 1970年9月4日 | ||||
(未収録) | 悪女の手記 | 1970年5月8日 | 1970年6月5日 | |||
(未収録) | 長い遺書 | 1970年6月12日 | 1970年7月3日 | |||
(未収録) | 殺人稼業(中絶) | 1970年9月18日 | ||||
闇の極意 | 闇の極意 | 四等巡査 | 四等巡査 明治警察物語 | 別冊小説新潮 | 1966年10月 | |
二本の指 | 二本の指 明治掏摸物語 | 小説新潮 | 1967年4月 | |||
いかさま賽 | いかさま賽 明治賭博物語 | 別冊小説新潮 | 1967年7月 | |||
めかけ奉公 | めかけ奉公 明治権妻物語 | 小説新潮 | 1967年12月 | |||
矢場の女 | 矢場の女 明治売春物語 | 別冊小説新潮 | 1968年1月 | |||
清兵衛流極意 | 清兵衛流極意 明治泥棒物語 | 1967年10月 | ||||
早船洲崎行き | 早船洲崎行き 明治泥棒物語 | 1968年4月 | ||||
本郷妻恋坂 | 本郷妻恋坂 明治泥棒物語 | 1968年7月 | ||||
ある殺意 | 女が罪を犯すまで | 私は見た | 東京タイムズ | 1959年3月1日 | 1959年3月28日 | |
偽装心中 | 夜の流れ | 1959年3月29日 | 1959年4月28日 | |||
火の記憶 | 1959年4月29日 | 1959年6月4日 | ||||
鏡の中の女 | 1959年6月5日 | 1959年7月10日 | ||||
(未収録) | 黒水仙 | 1959年7月11日 | 1959年8月31日 | |||
悪の捕物帖 | 江戸黒絵図 | 心中さらし | 東京タイムズ | 1968年10月13日 | 1968年11月11日 | |
屋根から来た男 | 1968年11月12日 | 1968年12月11日 | ||||
女敵討ち | 1968年12月12日 | 1969年1月11日 | ||||
医師道庵の顔 | 1969年1月12日 | 1969年2月10日 | ||||
すりの季節 | 1969年2月11日 | 1969年3月12日 | ||||
さいころ師 | 1969年3月13日 | 1969年4月12日 | ||||
私娼窟の女 | 1969年6月29日 | 1969年7月28日 | ||||
黒の人別帳 | 1969年7月29日 | 1969年8月27日 | ||||
逃亡者源次 | 1969年8月28日 | 1969年9月27日 | ||||
古着と小判 | 1969年9月28日 | 1969年10月27日 | ||||
白檀が匂った | 白檀が匂った | 主婦と生活 | 1961年1月 | 1961年2月 | ||
誰も知らない | 1961年3月 | 1961年4月 | ||||
夜を撃つ | 1961年9月 | 1961年10月 | ||||
初夜のその時から | 1961年11月 | 1961年12月 | ||||
血が贈られた | 1962年1月 | 1962年2月 | ||||
妻と愛人と子と | 1962年3月 | 1962年4月 | ||||
黒い流れの中を | 1962年5月 | 1962年6月 | ||||
黒の初夜 | 遮断機はなかった | 1960年7月 | 1960年8月 | |||
殺意は消えない | 1960年9月 | 1960年10月 | ||||
私は殺される | 1960年11月 | 1960年12月 | ||||
湖は静かなれど | 1961年5月 | 1961年6月 | ||||
【再録】 | 初夜のその時から | |||||
【再録】 | 妻と愛人と子と | |||||
(未収録) | 女性犯罪ノート | 血ぬられた手形 | 週刊実話 | 1961年2月20日 | 1961年3月6日 | |
隅田川の死体 | 1961年3月13日 | 1961年3月27日 | ||||
残された足跡 | 1961年4月3日 | 1961年4月24日 | ||||
女の証言 | 1961年5月1日 | 1961年5月15日 | ||||
夜の影 | 1961年5月22日 | 1961年6月12日 | ||||
(未収録) | 佐賀潜特捜部 | ある殺人 | 家の光 | 1970年5月 | ||
目撃者の証言 | 1970年6月 | |||||
地主の自殺 | 1970年7月 | |||||
一人ぼっちの女 | 1970年8月 | |||||
蒸発した夫 | 1970年9月 | |||||
殺意の智恵くらべ | 1970年10月 | |||||
(未収録) | 女の学校 | 人妻の恋 | マイ・ライフ | 1969年11月 | ||
妻の財産、夫の財産 | 1969年12月 | |||||
不倫の関係 | 1970年1月 | |||||
〈タイトル未確認〉 | 1970年2月 | |||||
交通事故死 | 1970年3月 | |||||
未亡人と不動産 | 1970年4月 | |||||
嫁と姑 | 1970年5月 | |||||
異常な出来事 | 1970年6月 | |||||
妻の座 | 1970年7月 | |||||
(未収録) | これが犯罪者だ | 女の殺意 | 小説現代 | 1969年8月 | ||
泥棒日誌 | 1969年9月 | |||||
女の変貌 | 1969年10月 | |||||
情痴詐欺 | 1969年11月 | |||||
傷だらけの妻 | 1969年12月 | |||||
受取屋謀殺 | 1970年1月 |
初出誌欄が空欄のものは、直上のものと同じ、というものである。連作の常で、同じ媒体が並ぶため、むしろ見にくいかと思って削除してみた。同様に、収録短編集は、収録書が変わる場合にのみ記載した。記載がなければ、直上のものと同じである。
思っていた以上に、単行本未収録の連作が多いことを知る。これもやはり、著者が急逝して、本にすることなどもどうでもよくなってしまった――からかも知れない。ただ、『ある殺意』のように、連作として連載されたうちの1編(数編)だけが書籍化されなかったケースもあり、理由は明確ではない。
作品名 | 収録誌紙 | 掲載年月 | 連載終了年月 |
留置場の女 | 週刊スリラー | 1960年1月15日 | |
接吻 | 中日新聞 | 1961年5月7日 | |
男の死因 | 探偵実話 | 1961年11月 | |
情死 | 中日新聞 | 1961年12月17日 | |
悪徳の轍 | 週刊読売 | 1963年7月7日 | |
情事裁判 | 観光新聞 | 1963年9月18日 | 1963年9月30日 |
噂の代議士 | 別冊宝石 | 1967年1月 | |
炎の中の顔 | 女性自身 | 1967年12月25日 | |
三十八歳の女 | 別冊アサヒ芸能 | 1968年4月 | |
ある選挙参謀 | 宝石 | 1968年8月 | |
罠に落ちた女 | 別冊アサヒ芸能 | 1968年9月 | |
三人の誘惑者 | 平凡パンチ | 1968年10月7日 | |
ある回想 | 女性自身 | 1968年11月11日 | |
赤い乗用車 | 週刊実話 | 1969年3月10日 | 1969年3月17日 |
盗癖の女 | オール読物 | 1969年5月 | |
万博一年前 | 読物専科 | 1969年6月 | |
死者の罪 | 週刊現代 | 1969年6月5日 | |
女の脅迫 | 小説新潮 | 1969年7月 | |
小説女の学校 | 小説セブン | 1969年7月 | |
消えた二百万円 | 女性自身 | 1969年7月19日 | |
十国峠の殺人 | 婦人生活. | 1969年8月 | |
零号作戦 | オール読物 | 1969年8月 | |
ブラウン管の略奪 | 小説宝石 | 1969年9月 | |
悪女の季節 | 問題小説 | 1969年9月 | |
崩壊の構図 | 小説エース | 1969年9月 | |
殺意の時 | 別冊週刊大衆 | 1969年9月 | |
ビジネス・ドラキュラ | 小説セブン | 1969年10月 | |
消えた女 | 小説エース | 1969年11月 | |
女と泥棒 | 小説新潮 | 1969年11月 | |
汚れた報酬 | 小説宝石 | 1969年12月 | |
連鎖倒産 | 問題小説 | 1969年12月 | |
殺意の交差 | 北国新聞(朝刊) | 1969年12月7日 | |
交通事故裁判 | 推理界 | 1970年1月 | |
殺意の競合 | 小説現代 | 1970年2月 | |
冷えた叫び | 推理 | 1970年2月 | |
別件逮捕 | オール読物 | 1970年3月 | |
殺人調書 | 小説現代 | 1970年6月 | |
社長の遺言 | 問題小説 | 1970年6月 | |
俺は見た | 小説現代 | 1970年7月 | |
社長の自殺 | 別冊小説新潮 | 1970年7月 | |
幻の敵 | ビジネスマン | 1970年7月 | |
黒い投資 | 週刊朝日カラー別冊 | 1970年7月 | |
影の女 | 婦人倶楽部 | 1970年7月 | |
幻の電鉄路線 | オール読物 | 1970年8月 |
短編集に重複収録が多い一方で、短編集にまとまらなかった作品も相当数ある。この辺りの理由が、さっぱりわからない。
結局、良くも悪くも、活動を続けていた最中に急逝してしまったこともあり、謎が多い作家、というしかないのかも知れない。そんな一端だけでも示せれば、と思った次第である。
戸田和光