小泉喜美子 短篇リスト(仮作成版)

戸田和光 編


本リストについて

 例によって、私は小泉喜美子の著書を系統だって読んでおらず、まして、雑誌に載っただけの作品を集めたこともない。つまり、良い読者とはとてもいえない。ただ、本格的に活動した期間はそれほど長くない割りに、整備された小泉の作品リストを見た記憶がなかった上、それなりに数のあるはずのショートショートが一冊にまとめられている印象もなかったので、どれだけの作品がまだ本にならずにいるのかを、整理しておく意味はあるかも――と思い、仮作成してみようと思った次第である。
 そんな訳で、このリストは、先行のリストをもとに、ネットをはじめ、あちこちから少しずつ継ぎ接ぎして纏め上げたものになる。従って、現物(初出誌)の確認は殆んどしておらず、あちこちに不備が残っている可能性が高い。その点を予めご了解された上で、ご覧頂きたい。――ただ、見て分る通り、実質的に十年余りの活動期間だった割りに、様々な媒体に小説を発表していることの一端は示せたのではないか、とは思っている。

 ――ということで、『痛みかたみ妬み』の文庫化のタイミングに合わせて、仮作成・アップしてみた。
 作品の追加は当然として、誤記等のお粗末なミスにつきましても、気軽にご指摘ください。


小泉喜美子 短篇作品リスト

タイトル初出誌初出年月初出題 など主な収録書
殺人者のよそおい 漫画読本 昭和38年6月
深い水 宝石 昭和39年4月 『弁護側の証人』(出版芸術社版)
殺人はちょっと面倒 小説現代 昭和47年8月 『殺人はちょっと面倒』
セラフィーヌの場合は 増刊推理 昭和47年9月 『痛みかたみ妬み』
そして、今は… オール読物 昭和47年11月 『暗いクラブで逢おう』
グレン・ミラー殺人事件 週刊小説 昭和47年11月3日 『ミステリー作家は二度死ぬ』
犯人のお気に入り 小説現代 昭和47年12月 『またたかない星』『殺さずにはいられない』
故郷の緑の… 小説サンデー毎日 昭和48年1月 『暗いクラブで逢おう』
酒と薔薇と拳銃 小説club増刊 昭和48年1月 『暗いクラブで逢おう』
ロドルフ太公の恋人・冬は鳥 小説推理 昭和48年4月 ロドルフ大公の恋人 『月下の蘭』
夜のジャスミン 別冊小説新潮 昭和48年4月 『殺人はちょっと面倒』
子供の情景 小説サンデー毎日 昭和48年5月 『またたかない星』『殺さずにはいられない』
青い錦絵 別冊小説宝石 昭和48年6月 『ミステリー作家の休日』
突然、氷のごとく 小説club 昭和48年6月 『コメディアン』『殺さずにはいられない』
アダモ殺人事件 週刊小説 昭和48年8月24日
小説club増刊 昭和48年8月 『殺人は女の仕事』
宵闇の彼方より・秋は虫 小説推理 昭和48年10月 宵闇の彼方より 『月下の蘭』
二度死んだ女 小説club 昭和48年12月 『殺人は女の仕事』
観光客たち 小説サンデー毎日 昭和48年12月 『幻想マーマレード』
有名人病患者 小説推理 昭和48年12月
Check-in,Check-out 面白半分 昭和48年12月
死後数日を経て 小説club 昭和49年3月 『暗いクラブで逢おう』
月下の蘭・春は花 小説推理 昭和49年3月 月下の蘭 『月下の蘭』
ばらばら 問題小説 昭和49年4月 『幻想マーマレード』『ミステリー作家は二度死ぬ』
紅い血の谷間 小説club増刊 昭和49年5月 『ミステリー作家の休日』
残酷なオルフェ・夏は星 小説推理 昭和49年6月 残酷なオルフェ 『月下の蘭』
暗いクラブで逢おう ミステリマガジン 昭和49年6月 『暗いクラブで逢おう』『ミステリー作家は二度死ぬ』
万引き女のセレナーデ 小説club 昭和49年8月 『殺人は女の仕事』
兄は復讐する 小説推理 昭和49年8月 『またたかない星』『痛みかたみ妬み』
殺人者は帰ってくる          (※川村久志とのリレー小説) 小説推理 昭和49年10月
遠い美しい声 Listen! 昭和49年11月
恋人よ、さようなら 問題小説 昭和49年12月
ダイアモンドは永遠なり 小説club 昭和49年12月 『ミステリー作家の休日』
遠い星から来たスパイ 小説サンデー毎日 昭和50年1月 『幻想マーマレード』
捜査線上のアリア 小説club 昭和50年3月 『殺人は女の仕事』
日曜日は天国 小説推理 昭和50年3月 『暗いクラブで逢おう』『ミステリー作家は二度死ぬ』
冷たいのがお好き 小説club増刊 昭和50年4月 『殺さずにはいられない』
ザ・ラスト・ビジネス 問題小説 昭和50年5月 『コメディアン』『男は夢の中で死ね』
殺さずにはいられない 別冊小説club 昭和50年8月 『またたかない星』『殺さずにはいられない』
ヒーロー 小説推理 昭和50年8月 その名はヒーロー 『コメディアン』『男は夢の中で死ね』
毒のはいった酒 別冊問題小説 昭和50年10月
あじさいの咲く料理店 小説club 昭和50年10月 『ミステリー作家の休日』
本塁好返球 小説サンデー毎日 昭和51年1月 『コメディアン』『男は夢の中で死ね』
さらば、愛しきゲイシャよ 別冊小説club 昭和51年1月 『女は帯も謎もとく』
殺人鬼への伝言 オール読切増刊 昭和51年1月
小説推理 昭和51年3月 『またたかない星』『殺さずにはいられない』
昼下がりの童貞 別冊小説club 昭和51年4月 昼下がりの幻花 『ミステリー作家の休日』
ぼくと遊ぼう 奇想天外 昭和51年6月 『ミステリー作家は二度死ぬ』
切り裂きジャックがやって来る 小説推理 昭和51年7月 『痛みかたみ妬み』
強姦の詩 小説ファン 昭和51年7月
殺人は女の仕事 小説club 昭和51年8月 『殺人は女の仕事』
最高に刺激的なゲーム オール読切 昭和51年9月
復讐は彼女に 月刊小説 昭和51年10月
コメディアン 新評 昭和51年10月 『コメディアン』『男は夢の中で死ね』
まるで初恋のように 小説ロマン 昭和51年10月
殺人者と踊れば プチマーガレット 昭和51年10月 『またたかない星』『殺さずにはいられない』
被告は無罪 小説推理 昭和52年1月 『コメディアン』『殺さずにはいられない』
小さな白い三角の謎 小説サンデー毎日 昭和52年2月 『女は帯も謎もとく』
正体 奇想天外 昭和52年3月 『幻想マーマレード』
握りしめたオレンジの謎 小説サンデー毎日 昭和52年4月 『女は帯も謎もとく』
尾行報告書 ミステリマガジン 昭和52年6月 『コメディアン』『殺さずにはいられない』
藤棚のある料理店の謎 小説サンデー毎日 昭和52年6月 『女は帯も謎もとく』
またたかない星 小説ジュニア 昭和52年6月 『またたかない星』『痛みかたみ妬み』
初心者の幸運 別冊問題小説 昭和52年7月 『ミステリー作家は二度死ぬ』
影とのあいびき 小説推理 昭和52年7月 『痛みかたみ妬み』
流刑人の島の謎 小説サンデー毎日 昭和52年8月 『女は帯も謎もとく』
最高のダイア ノラ 昭和52年8月
ディスカバー・宇宙 ノラ 昭和52年10月 『幻想マーマレード』
南の国の鸚鵡たち Delica 昭和52年11月 南から来たオウムたち 『幻想マーマレード』『ミステリー作家は二度死ぬ』
オレンジ色のアリバイ 小説ジュニア 昭和53年2月 『痛みかたみ妬み』
痛み 小説推理 昭和53年8月 『痛みかたみ妬み』
ヘア・スタイル殺人事件 小説ジュニア 昭和53年9月 『痛みかたみ妬み』
早くお帰り 小説club 昭和53年11月 『男は夢の中で死ね』
抹殺ゲーム 問題小説 昭和53年12月 『幻想マーマレード』
ベッドの熊ちゃん 週刊小説増刊 昭和54年8月9日
パーティへは誰でも行く ミステリマガジン 昭和54年9月 『男は夢の中で死ね』
木美子の冒険 問題小説 昭和54年10月 『幻想マーマレード』『ミステリー作家は二度死ぬ』
かたみ 小説推理 昭和54年12月 『痛みかたみ妬み』
奇形 素敵な女性 昭和55年2月 『幻想マーマレード』
太陽ぎらい 問題小説 昭和55年2月 『幻想マーマレード』
美わしの思い出 小説club 昭和55年3月 『殺人は女の仕事』
アリバイがいっぱい 週刊サンケイ 昭和55年5月1日 『幻想マーマレード』
妬み 小説推理 昭和55年6月 『痛みかたみ妬み』
殺意を抱いて暗がりに 小説club 昭和55年7月 『殺人は女の仕事』
殺人三角法 別冊婦人公論 昭和55年7月
治る 中日新聞 昭和55年8月10日
ぼくのお母さん 中日新聞 昭和55年9月14日
簡単な殺人法 中日新聞 昭和55年10月12日
忠信 中日新聞 昭和55年11月9日
ヒーロー、暁に死す 問題小説 昭和55年12月 『幻想マーマレード』
重すぎる凶器 小説推理 昭和55年12月
お通夜 中日新聞 昭和55年12月14日
知盛 中日新聞 昭和56年1月18日
毛皮の似合う女 ヴァンサンカン 昭和56年2月
団欒 中日新聞 昭和56年2月15日
権太 中日新聞 昭和56年4月12日
敵が攻めてくる 中日新聞 昭和56年5月10日
省エネ時代 中日新聞 昭和56年6月14日
あなたは花びら ヴァンサンカン 昭和56年6月
ある翻訳家のモノローグ 中日新聞 昭和56年7月12日
扇と殺人と ヴァンサンカン 昭和56年8月
弔辞 中日新聞 昭和56年8月9日
血筋 小説現代 昭和56年9月 『殺さずにはいられない』
彼女がホステスなら TODAY 昭和56年10月
手袋をはめるとき ヴァンサンカン 昭和56年10月
空白の研究 別冊婦人公論 昭和56年10月 『殺人はちょっと面倒』
勇者のみ ショートショートランド 昭和56年11月 『男は夢の中で死ね』
ダイヤモンド彷徨 ヴァンサンカン 昭和56年12月
あの男 楽味 昭和56年12月
秋のベッド 問題小説 昭和57年1月 『時の過ぎゆくままに』
陽光の下のスポーツ BRUTUS 昭和57年1月1日 『男は夢の中で死ね』
ムール貝の殺人 週刊小説 昭和57年2月26日
貴重品 Signature 昭和57年2月
パリの扇 小説現代 昭和57年3月 『ミステリー作家の休日』
死だけが私の贈り物 小説推理 昭和57年4月 (同題長編に改稿)
ラヴ・ホテル<滝>にて 別冊婦人公論 昭和57年4月 『殺人はちょっと面倒』
情婦 小説現代 昭和57年7月 『男は夢の中で死ね』
茶の間のオペラ 小説宝石 昭和57年9月 『殺人は女の仕事』
しぶといベッド 別冊婦人公論 昭和57年10月
女房の由来 銀座百点 昭和57年11月
不とどき千万 うえの 昭和57年11月
悪魔のような女 家庭画報 昭和58年1月
長いお別れ 家庭画報 昭和58年2月
火刑法廷 家庭画報 昭和58年3月
ヒット・エンドラン 小説推理 昭和58年3月
奴隷の国にて 別冊婦人公論 昭和58年4月
黄金の檻 家庭画報 昭和58年4月
殺人保険 家庭画報 昭和58年5月
レベッカ 家庭画報 昭和58年6月
かんざし 小説推理 昭和58年6月
本格的にミステリー 小説現代 昭和58年7月 『ミステリー作家の休日』
そそっかしい暗殺者 家庭画報 昭和58年7月
幸運な死体 家庭画報 昭和58年8月
犯行以前 家庭画報 昭和58年9月
マドモアゼルB 家庭画報 昭和58年10月
金髪女は若死する 家庭画報 昭和58年11月
弁護側の証人 家庭画報 昭和58年12月
医療ミス 別冊小説現代 昭和58年12月
生まれながらの悪女 婦人公論増刊 昭和58年12月 『ミステリー作家は二度死ぬ』
男は夢のなかで死ね 小説推理 昭和59年1月 『男は夢の中で死ね』
ミステリー作家の休日 小説現代 昭和59年2月 『ミステリー作家の休日』
客にはやさしく とらばーゆ 昭和59年5月25日 『殺さずにはいられない』
投書 とらばーゆ 昭和59年6月22日 『殺さずにはいられない』
同業者パーティ 小説現代 昭和59年7月 『時の過ぎゆくままに』
文明を遠く離れて 別冊小説現代 昭和59年7月
趣味は読書 問題小説 昭和59年7月
ボーナスを倍にする方法 とらばーゆ 昭和59年7月20日 『殺さずにはいられない』
小さな青い海 小説現代 昭和59年8月 『時の過ぎゆくままに』
親族会議 小説推理 昭和59年8月
ご案内しましょう とらばーゆ 昭和59年8月24日 『殺さずにはいられない』
たたり 小説現代 昭和59年9月 『時の過ぎゆくままに』
猫好きの女 別冊小説現代 昭和59年9月 『時の過ぎゆくままに』
ありのまま とらばーゆ 昭和59年9月21日 『殺さずにはいられない』
紫陽花夫人 別冊文芸春秋 昭和59年10月
プロの心得教えます とらばーゆ 昭和59年10月19日 『殺さずにはいられない』
さらば草原 小説現代 昭和59年11月 『時の過ぎゆくままに』
船路の果てに 婦人公論増刊 昭和59年11月 『ミステリー作家は二度死ぬ』
武人輪廻 歴史読本 昭和59年11月
寒い国から来た芸術家 小説現代 昭和59年12月 『時の過ぎゆくままに』
適役ぞろい 問題小説 昭和59年12月
クリスマスが過ぎれば 婦人と暮し 昭和60年1月
ラ・トラヴィアータ 小説現代 昭和60年1月
活用形による或る愛の物語 問題小説 昭和60年3月
週末のメンバー 小説現代 昭和60年4月 『時の過ぎゆくままに』
お若いのがお好き 小説推理 昭和60年5月
騎士よ、夜よ 小説現代 昭和60年6月 『時の過ぎゆくままに』
雛人形草子 別冊婦人公論 昭和60年7月 『時の過ぎゆくままに』
御両家の御慶事 小説現代 昭和60年8月
夜間労働者 小説推理 昭和60年8月
Hの喜劇 問題小説 昭和60年9月
洋服箪笥の奥の暗闇 婦人公論増刊 昭和60年11月 『時の過ぎゆくままに』
友を選ばば 小説現代 昭和60年12月 『時の過ぎゆくままに』

 収録書の欄が空欄なのは、著書に未収録ではないか、と思われるものである。また、『痛みかたみ妬み』は、増補され作品数が単行本版よりも4編増えた中公文庫版を、『殺さずにはいられない』は、ショートショート6編が増補された中公文庫版を、それぞれ指している。同様に、『殺人は女の仕事』は、1編増補された光文社文庫版を、『ミステリー作家の休日』も、2編増補された光文社文庫版を指している。

 更に、補足を一つ二つ。
 新聞掲載のショートショートについて、中島河太郎による書誌では“中日新聞”ではなく“東京新聞”となっているが、これは私の趣味でこちらの表記にした。また、“北海道新聞”にも全作品掲載されているが、数作品、週遅れの掲載となったものがあるため、初出を優先し、“中日新聞”のみの記載としている。
 また、津田玲子名義の作品は、ミステリでない作品が多い上、さすがに不備が多い(先行リストがないため、ネットで拾った情報だけになってしまう)と考えて、今回ははずした。ご了解いただきたい。


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戸田和光