海渡英祐 作品書誌(仮作成版)

戸田和光 編


本リストについて

 今回のリストは、乱歩賞受賞以前から作品を発表していた作家の活動状況を整理してみよう――その1である。例によって、様々な資料を継ぎ接ぎしているだけのものに過ぎないが、それによって、特にその作家にとって、乱歩賞受賞はどのような位置づけだったのか、推測できないか、と思ったのだった。その2の佐賀潜と比べれば、その差異は明らか――であれば嬉しいのだが。
(厳密にいえば、多岐川恭もこのタイプには該当するのかも知れないが、それでも、デビューも新人賞受賞が契機になっているので、個人的にはちょっと違っている印象がある。あくまで、私の感覚でこの分類をしてみたもの、と理解していただきたい)

 ただ、あくまでも手持ちの資料からまとめただけなので、モレ以前に誤りの方が多いかも知れない。
 気がついたことがあれば、下記のアドレス宛てにご指摘くだされば幸いです。

gokusiteki.shuuishu@gmail.com    (@を半角に修正してください)    


海渡英祐 短編リスト

タイトル原題など雑誌・新聞名掲載年月日連載終了月日収録書
殺人降誕祭 増刊小説倶楽部 1959年1月
姿を消した女 オール読切 1960年1月
グラマー殺人事件 読切特撰集 1960年1月
週末の悪夢 オール読切 1960年9月
私刑死刑 講談倶楽部 1961年9月
赤いヘロイン 別冊週刊漫画TIMES 1961年11月16日
茜色の死 講談倶楽部 1961年12月
血ぬられたエロス 特集実話特報 1961年12月11日
人間爆弾 別冊週刊漫画TIMES 1962年1月4日
二重の罠 別冊週刊漫画TIMES 1962年1月18日
泥沼の花 スリラー街 1962年3月15日
死に賭ける 特集実話特報 1962年3月26日
赤い弔旗 スリラー街 1962年4月19日
殺人幾何学 スリラー街 1962年5月3日
哀しみの殺意 スリラー街 1962年5月17日
同時死亡 推理ストーリー 1962年6月
炎の決算 スリラー街 1962年6月7日
十五年後の毒杯 講談倶楽部 1962年7月
衛星の谷間 増刊読切特撰集 1962年7月
祖国喪失 宝石 1962年7月
あるスパイの恋 別冊週刊漫画TIMES 1962年7月17日
お次はあなた…… 別冊週刊漫画TIMES 1962年9月18日
生きている死者 推理ストーリー 1962年10月
アルジェに日本人 エロチックミステリー 1962年10月
負傷の報酬 増刊傑作倶楽部 1962年11月
ピンク色の死体 読切雑誌 1963年1月
不運なやつ 推理ストーリー 1963年2月
透明な罠 推理ストーリー 1963年4月
赤い痕跡 笑の泉 1963年4月
殺人ブルース 読切雑誌 1963年6月
桐と藍 宝石 1963年10月
歪んだ絵本 週刊実話特報 1963年10月12日 昭和38年12月7日
拾われた女 漫画ストーリー 1963年10月
空白の時 推理ストーリー 1963年11月
印で殺せ 別冊読切傑作集 1966年1月
真珠とヘロイン 殺人直行便 大衆小説 1966年5月 地獄への直行便
赤い黄金 大衆小説 1966年9月 地獄への直行便
狂熱の海 読切文庫 1966年10月
ピンクの鍵 別冊読切傑作集 1967年1月
天国の密使 大衆小説 1967年3月 地獄への直行便
女の罠 別冊読切傑作集 1967年7月
ゼロの幻 大衆小説 1967年7月 地獄への直行便
女の清算 別冊読切傑作集 1967年9月
閉じた視覚 推理ストーリー 1967年9月
狂った終幕 ニュース特報 1967年9月27日
うまい発見 漫画読本 1967年10月
脅迫者 小説宝石 1967年11月
喪失の日 推理界 1967年12月
最後の嬌笑 別冊読切雑誌 1967年12月
殺意の花束 大衆小説 1968年1月 地獄への直行便
謀略の背景 別冊小説新潮 1968年1月 突込んだ首
空白の起点 推理ストーリー 1968年2月
冷えた焔 1968年2月
ジレンマの交錯 別冊小説新潮 1968年4月 忍びよる影
花曇りの女 1968年5月
六甲に消えた夢 ニュース特報 1968年7月24日
殺人デザイン 推理ストーリー 1968年8月
奈落の底 増刊小説倶楽部 1968年8月
悪夢の構図 推理界 1968年8月
演技の報酬 問題小説 1968年11月 喰いちがった結末
赤い夜 小説クラブ 1969年1月
灰色の炎 問題小説 1969年1月
暗殺二重奏 大衆小説 1969年2月 地獄への直行便
無実の罪 週刊サンケイ 1969年2月17日
怪盗すいすい 小説クラブ 1969年3月
四角関係 オール読物 1969年5月
天国の活人 推理界 1969年5月 突込んだ首
香港二十四時間 小説クラブ 1969年6月
紅の喪章 推理ストーリー 1969年6月
ミスタ・ヤマ 問題小説 1969年8月 突込んだ首/趣味の犯罪華麗な殺し
そして火は燃える 小説宝石 1969年11月
甘い罠 小説クラブ 1969年12月 事件は場所を選ばない
「わたし」は犯人 「わたくし」は犯人 読物専科 1969年12月 閉塞回路/自選短編集
黒い収穫 推理 1970年1月
逆光の影 小説クラブ 1970年3月
他山の石 問題小説 1970年3月 突込んだ首
大穴の秋 (「他山の石」を改稿) 問題小説 1970年3月 パドックの残影
「希望」の死 推理文学 1970年4月
灰色の罠 時代小説 1970年5月
第三の賭け 小説サンデー毎日 1970年6月
強制列車 推理界 1970年7月 趣味の犯罪華麗な殺し
夏の断点 問題小説 1970年8月 三つの部屋の九つの謎
甘い罠 推理 1970年9月
淫らな罠 現代小説 1970年11月
偽りの再会 問題小説 1970年12月 閉塞回路/三つの部屋の九つの謎
竜神丸伝奇 読切雑誌 1970年12月
肌色の影 推理 1971年1月 ※罠のなかの七人
拝啓・経理部長…… オール読物 1971年3月 罠のなかの八人
殺人もあるでよ 推理 1971年4月 事件は場所を選ばない
見知らぬ恋人 オール読物 1971年5月 罠のなかの八人
激流の罠 推理 1971年5月
もう一人のわたし 別冊小説宝石 1971年6月 喰いちがった結末
極秘情報 小説サンデー毎日 1971年7月 パドックの残影
原色の背徳 別冊週刊大衆 1971年8月
完全なる殺人 北国新聞(夕刊) 1971年8月14日
動きまわる死体 問題小説 1971年10月 おかしな死体ども
影の追跡 推理 1971年10月 忍びよる影
炎の傷痕 オール読物 1971年10月
幸運の女神 週刊特ダネ 1971年10月7日
慎重すぎた馬 週刊特ダネ 1971年11月18日
下痢をした死体 くたばれ密室 問題小説 1971年12月 おかしな死体ども
怪獣の好きな死体 ポケットの中の殺人 推理 1972年1月 おかしな死体ども
裸の罠 週刊特ダネ 1972年3月2日
苦い蜜 推理 1972年4月
気まぐれな馬 小説サンデー毎日 1972年5月 パドックの残影
酔っぱらった死体 問題小説 1972年6月 おかしな死体ども
免罪符 オール読物 1972年6月 突込んだ首
殺人超能力 別冊小説宝石 1972年6月 閉塞回路
ガラスの迷路 推理 1972年7月
マクベスの妻 オール読物 1972年9月
死の帰郷 増刊推理 1972年9月
大外れの犯罪 pocketパンチOH! 1972年10月 罠のなかの八人
焔の陰画 小説サンデー毎日 1972年11月 忍びよる影
ひねくれた死 小説クラブ 1972年11月 罠のなかの八人
その死を狙え! 傑作クラブ 1972年11月
閉じた視覚 現代小説 1972年11月
鏡の中の死 問題小説 1972年12月 罠のなかの八人
帰郷 みちのく 1973年1月
灰色の賭け 小説推理 1973年2月 パドックの残影
脅迫の背景 オール読物 1973年2月 突込んだ首
浮気する死体 問題小説 1973年4月 おかしな死体ども
輪舞の果て アサヒ芸能 1973年5月
閉塞回路 オール読物 1973年6月 閉塞回路
気まぐれな死体 小説推理 1973年6月 おかしな死体ども
紅の襞 別冊小説宝石 1973年8月 閉塞回路
青ひげの妻 山形新聞 1973年8月19日
影を愛した私 問題小説 1973年9月 罠のなかの八人
一人で二人 オール読物 1973年9月 仮面の告発/殺人ファンタジア
古都に消える アサヒ芸能 1973年9月13日
禁断の時 小説宝石 1973年11月 事件は場所を選ばない
瓜二つの男 週刊小説 1973年11月9日
告発の輪舞 別冊小説宝石 1973年12月 突込んだ首
慰藉料取立て業 小説サンデー毎日 1973年12月
迷いこんだ死体 小説推理 1973年12月 1974年1月 おかしな死体ども
臭い仲 問題小説 1974年1月 喰いちがった結末/事件は場所を選ばない
惚れ薬 週刊朝日増刊 1974年4月30日
青鬚の妻 オール読物 1974年5月 死の国のアリス
乾草の中の針 小説推理 1974年6月
出馬表は語る 『パドックの残影』 1974年6月 パドックの残影
悪霊の家 別冊小説宝石 1974年7月 事件は場所を選ばない
仰天した死体 問題小説 1974年9月 おかしな死体ども
帰らざる彼 オール読物 1974年10月 閉塞回路
消えた凶器 『あなたは挑戦者』 1974年10月
二の字の四人 『あなたは挑戦者』 1974年10月
醜いアヒルの子 万引の報酬 小説新潮 1974年11月 死の国のアリス
シンデレラの靴 シンデレラの死 オール読物 1974年11月 死の国のアリス
虎穴の死者 小説推理 1975年1月 趣味の犯罪華麗な殺し
女王さまの死 週刊テレビファン 1975年2月7日 1975年2月28日
情事のパズル 増刊小説クラブ 1975年3月 忍びよる影/趣味の犯罪華麗な殺し
初夢の騎士 『推理ゲーム』 1975年3月
ケーキの好きな死体 問題小説 1975年4月 ふざけた死体ども
大喰らいの死体 増刊小説クラブ 1975年5月 ふざけた死体ども/自選傑作短篇集
フランス人形の死 別冊小説宝石 1975年6月 死の国のアリス
ドンファンの衣裳 別冊問題小説 1975年7月 死の国のアリス
ふしだらな死体 別冊小説クラブ 1975年8月 ふざけた死体ども
死の国のアリス 小説推理 1975年8月 死の国のアリス
密室のワンちゃん 別冊問題小説 1975年10月 美女が八人死体が七つ
ゼツリンな死体 別冊小説クラブ 1975年11月 ふざけた死体ども
仮面の告発 オール読物 1976年1月 仮面の告発/自選傑作短篇集
ネコかぶりのネコ ネコかぶりの猫 問題小説 1976年1月 美女が八人死体が七つ
小箱の中の死 小説サンデー毎日 1976年1月 仮面の告発
ヘソまがりな死体 小説推理 1976年1月 ふざけた死体ども
不可解な心中 別冊小説宝石 1976年2月 事件は場所を選ばない
死体だった死体 別冊小説クラブ 1976年3月
ツキのない死体 新評 1976年4月 ふざけた死体ども
就眠儀式 睡眠儀式 小説現代 1976年5月 仮面の告発
ピンク・パンティ2 問題小説 1976年5月 美女が八人死体が七つ
たいやきを喰った死体 小説推理 1976年6月 ふざけた死体ども
ベッドの上のルフラン 週刊文春 1976年6月3日 突込んだ首
細長い密室 別冊小説新潮 1976年7月
憎らしい絵本 別冊問題小説 1976年7月 美女が八人死体が七つ
隠れん坊する死体 月刊小説 1976年9月 ふざけた死体ども
怪盗スーハー登場 小説現代 1976年10月 三つの部屋の九つの謎
恵まれた男 小説推理 1976年10月
優しい脅迫 別冊問題小説 1976年10月
その嘘ほんと? 問題小説 1976年11月 美女が八人死体が七つ
笑顔 カッパまがじん 1976年11月 悪夢と恋人たち
過去から来た女 週刊小説 1976年11月1日 悪夢と恋人たち
図々しい死体 月刊小説 1977年1月
多すぎる罠 週刊パーゴルフ 1977年1月11日 1977年2月1日 趣味の犯罪華麗な殺し
凍てつく影 凍てついた影 週刊文春 1977年1月20日 趣味の犯罪華麗な殺し
ミセス放射能 問題小説 1977年2月 美女が八人死体が七つ
天分 カッパまがじん 1977年3月
隣りは何を 週刊小説 1977年4月15日
お熱いのはダメ 問題小説 1977年5月 美女が八人死体が七つ
野次馬作戦 小説現代 1977年10月 三つの部屋の九つの謎
ウマくない本命 問題小説 1977年11月
革命を呼んだ詐欺師 野性時代 1977年11月 激流に生きる
堂々めぐり 迷路 週刊小説 1977年11月18日 趣味の犯罪華麗な殺し
一人ぼっちの革命 野性時代 1978年2月 激流に生きる
血と虹と 月刊小説 1978年2月 仮面の告発
青灰色の群像 オール読物 1978年4月 仮面の告発
寝耳にイヤリング 問題小説 1978年4月 美女が八人死体が七つ
黒いナポレオン 野性時代 1978年4月 激流に生きる
灰色の傾斜 小説推理 1978年4月
暗い雨の夜に 別冊小説宝石 1978年5月 忍びよる影
王女と娼婦の間 野性時代 1978年7月 激流に生きる
分身 問題小説 1978年9月
真夜中の電話 小説推理 1978年9月 忍びよる影
女の計算 週刊小説 1978年9月29日
落ちる 小説現代 1978年10月
泥棒三重奏 オール読物 1978年11月 三つの部屋の九つの謎
陽光と冷雨 野性時代 1978年11月 激流に生きる
まだ眠らない 月刊小説 1978年11月 忍びよる影
ラヴ・ゲーム 問題小説 1979年3月 趣味の犯罪華麗な殺し
悪夢との闘争 野性時代 1979年3月 激流に生きる
失われた夜 微笑 1979年3月10日
夜の感触 増刊週刊小説 1979年4月19日
盗まれたクマ 小説現代 1979年5月 三つの部屋の九つの謎
風が吹けば…… 小説推理 1979年6月 悪夢と恋人たち
三人の女スパイ 微笑 1979年6月30日
情熱 オール読物 1979年7月 悪夢と恋人たち
砂塵と黒点 問題小説 1979年7月 謀略の大地
執念の色彩 週刊小説 1979年8月3日
四番打者が消えた! 別冊小説宝石 1979年9月
噛みつく扉 小説現代 1979年10月 三つの部屋の九つの謎
雪と鮮血 問題小説 1979年10月 謀略の大地
満点以上 オール読物 1979年11月 悪夢と恋人たち
上海曼陀羅 問題小説 1980年1月 謀略の大地
おんなと風と 小説club 1980年1月
引伸した真実 オール読物 1980年2月 三つの部屋の九つの謎
硝煙の夏 問題小説 1980年5月 謀略の大地
執念 オール読物 1980年7月 悪夢と恋人たち
屍臭の街 廃墟の街 問題小説 1980年7月 謀略の大地
透明な仮面 小説推理 1980年8月 罠のなかの八人
むし暑いゲーム 別冊小説宝石 1980年9月
白い壁赤い影 問題小説 1980年9月 謀略の大地
離ればなれの殺人 小説現代 1980年9月
そして冷たい北風が 週刊小説 1980年11月28日
幸運な男 オール読物 1980年12月 喰いちがった結末
夜はまどいの時 増刊週刊小説 1981年2月5日
一人ぼっちの夜 小説推理 1981年4月
そそっかしい女 小説推理 1981年7月
窓からの刺激 週刊小説 1981年8月14日
偶然の選択 現代. 1981年9月
暑くて冷たい夜 別冊小説宝石 1981年9月 三つの部屋の九つの謎
夢という糧 出会い 1981年10月
星のある男 週刊小説 1981年10月9日 次郎長開化事件簿
つかめない尻尾 小説宝石 1982年2月 喰いちがった結末
汚点 小説新潮 1982年3月 悪夢と恋人たち
川岸の女 週刊小説 1982年3月12日 次郎長開化事件簿
古疵 オール読物 1982年5月
横文字破り 週刊小説 1982年5月7日 次郎長開化事件簿
かたい絆 問題小説 1982年6月
通り雨の死 週刊小説 1982年7月30日 次郎長開化事件簿
蒼白い誘惑 小説宝石 1982年8月 罠のなかの八人
夏の終り 小説推理 1982年9月 事件は場所を選ばない
光と影の街 週刊小説 1982年10月22日 次郎長開化事件簿
消えた名画 BRUTUS 1982年12月15日 1983年1月15日
感覚の盲点 歴史読本. 1983年2月
迷い獅子 週刊小説 1983年4月22日 次郎長開化事件簿
灰色の叫び 別冊小説宝石 1983年5月
喰いちがった結末 小説現代 1983年7月 喰いちがった結末
大政の幽霊 週刊小説 1983年10月7日 次郎長開化事件簿
引き裂かれた写真 小説推理 1983年11月 トラブル・ハニムーン
あなたの赤ちゃん 別冊小説現代 1983年12月 悪夢と恋人たち
遥かなる旅 増刊婦人公論 1983年12月
追込みマイ・ウェイ 問題小説 1984年2月
パリの災難 小説推理 1984年2月 トラブル・ハニムーン
次郎長入獄 週刊小説 1984年2月24日 次郎長開化事件簿
やきもち実験室 別冊小説現代 1984年4月 悪夢と恋人たち
取られた鳥 小説推理 1984年5月 トラブル・ハニムーン
恥さらしな死 小説宝石 1984年6月 喰いちがった結末
螢とんで 週刊小説 1984年7月27日 次郎長開化事件簿
赤い恐怖 小説推理 1984年8月 トラブル・ハニムーン
カーテンの影 小説推理 1984年11月 トラブル・ハニムーン
多面体のあなた 増刊婦人公論 1984年11月 喰いちがった結末
知らなすぎる女 小説推理 1985年2月 トラブル・ハニムーン
戌辰の華 問題小説 1985年3月 新門辰五郎事件帖
呂宋の夜襲 週刊小説 1985年3月8日
最後の告白 小説推理 1985年5月 トラブル・ハニムーン
鮮血の旗 週刊小説 1985年8月30日
戦艦「三笠」設計図 別冊小説宝石 1985年9月
的はずれの脅迫 日刊スポーツ 1986年4月1日 1986年4月15日
鮫と胡蝶 週刊小説 1986年5月2日
砕かれたランプ 日刊スポーツ 1986年7月1日 1986年7月15日
紅蓮の女 問題小説 1986年9月 新門辰五郎事件帖
毛向けの芒 問題小説 1986年12月 新門辰五郎事件帖
廓の狐 問題小説 1987年5月 新門辰五郎事件帖
神隠し夢隠し 問題小説 1987年9月 新門辰五郎事件帖
杜若の札 増刊小説現代 1987年7月 俥に乗った幽霊
俥に乗った幽霊 別冊小説宝石 1987年12月 俥に乗った幽霊
華やかな孤独 小説NON 1988年2月
望郷三番叟 問題小説 1988年3月 新門辰五郎事件帖
逆風のランナー 小説推理 1988年3月
立志編異聞 問題小説 1988年8月 新門辰五郎事件帖
聞こえない電話 小説City 1988年6月
裏返しの殺人 小説NON 1988年11月
密室の線香 小説宝石 1989年1月 俥に乗った幽霊
告別の舞 増刊問題小説 1989年1月 新門辰五郎事件帖
死の軌跡 小説推理 1989年1月
からくり崩し 問題小説 1989年9月 札差弥平治事件帖
二度目の溺死 別冊小説宝石 1989年9月 俥に乗った幽霊
乱菊の庭 増刊小説宝石 1989年12月 俥に乗った幽霊
花の散りぎわ 問題小説 1990年4月 札差弥平治事件帖
吐き出した餌 別冊小説宝石 1990年12月 俥に乗った幽霊
嵐の遺物 小説宝石 1991年3月 俥に乗った幽霊
絡みあったJ 歴史読本臨時増刊 1991年9月
潰れた青い実 問題小説 1991年11月 札差弥平治事件帖
銀座の三度笠 小説宝石 1992年3月 俥に乗った幽霊
誉れある自殺 別冊小説宝石 1992年9月
妖刀の誘い 問題小説 1992年11月 札差弥平治事件帖
消えた女たち 別冊小説宝石 1993年5月
梨園柵模様 問題小説 1993年7月 札差弥平治事件帖
露探の背景 小説宝石 1993年8月
折られた藁 別冊小説宝石 1993年12月
手拭と号外 小説宝石 1994年9月
風の中の孤影 増刊問題小説 1994年12月 札差弥平治事件帖
イスカの嘴 問題小説 1996年9月 札差弥平治事件帖
夜明け前の闇 問題小説 1998年3月 札差弥平治事件帖
変貌の時 問題小説 2001年2月

 最後から3編めのイスカは、正しくは漢字(易に鳥)なのだが、表示されないためにカタカナとしている。念のため。
 短編集の収録書については、文庫化されているものを前に置く、ということを基本にしている。また、文庫化されているものは文庫のタイトルを入れているが、単行本が文庫化される際に収録作が差し替えられる(削られる)ことがあり、文庫には入っていないものは単行本のタイトルを入れる、ということを原則にしている。

 《みちのく》という雑誌が全く特定できていないなど、ここはもう少し調べておいた方が――と思う部分もあるが、特定する材料が見つけられず、諦めた。一応、現時点で初出不明のものがない(海渡は、あとがきで初出を明かしていることが多いので、書誌研究者から見ると優等生の作家だ、というだけなのだが)から、最低限の見せられるレベルにはなっている、とは思っているのだが。

 で、このリストから見出した海渡の特徴は―― “乱歩賞受賞以前に発表した短編を、その後の短編集等に収録していない” ということになる。
 念のためにいうと、長編2冊(『極東特派員』と『爆風圏』)は後に文庫化しているから、乱歩賞以前の作品を全面的に否定している訳ではないのだろうが、短編については、(厳密に云えば、乱歩賞受賞前後にまたがって執筆していた連作だけは、加筆の上で刊行しているが、これが唯一の例外で、)見事なほどに、短編集に収められていない。
 後に、この時期は習作期だと本人が書いているくらいだから、これらは再刊するレベルに達していない、あくまで乱歩賞を契機に一人前の作家になった――と自認した結果なのかも知れないが、それでも、倶楽部雑誌だけでなく、一般小説誌に掲載されたものもすっぱりと落としている訳で、清々しいくらいの印象を受ける。しかも、(これは、短編集を編みだした時期にも一因があるのかも知れないが、)乱歩賞を受賞してからも、暫くの間は、短編集に収めていない作品の方が多いくらいである。これを見ていると、他の乱歩賞作家の多くと比べると、かなり特異な印象をうけてしまうのは私だけだろうか。
 だから、という訳ではないが、昭和30年代の作品には、まだ幾つもの洩れがあるに違いない。上記の通り、海渡本人が習作としている訳で、海渡のファンであっても、この時期の作品も読みたい、と思う人は少なかろう、とは思うのだが(そもそも、これらの中には、実話小説と呼ばれるものもあるようで、そもそも自分のオリジナル作品と思っていないものもあるのかも知れないが――)、だからと云って、はずす気にもなれないのが書誌マニアなのである……。

 なお、十篇強あるジュヴナイルは、やや気になる部分もあるので、とりあえず留保しておきます。そのうちに、納得したら、追加します。ご了解ください。

 ――と、アップしてから、あっという間に、指摘がいくつか来ました。確認が不十分で、大変失礼しました。早々に修正しました。(平身低頭)
 なお、海渡の場合、著書リストが全く面白くない(あくまで、個人的な感想です。他の作家のリストを作った後で見ると、極めて単純に見えてしまうので……)ため、敢えて入れなかったのですが、入れてなくて良かったですね(大汗)。しかし、そうなると『ターフの罠』は書き下ろしだろう、という推測も大外れだったりするのかも知れない……。


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戸田和光