灰色の部屋 放送リスト


はじめに

 本資料は、ネット上の情報等をもとに、新聞の縮刷版で情報を補完して作成したものだ。
 昭和20年代のラジオドラマの分野における、ミステリの扱われ方の一つの縮図、とでも考えてもらえば良いだろうか。

本リストについて

 「灰色の部屋」は、昭和20年代、NHK第2で放送された、ラジオドラマのシリーズである。原作となった探偵小説を脚色し、ラジオドラマ化したものが大半を占めるが、何作か、ラジオドラマ・オリジナルのものもある。探偵作家によって、ミステリがラジオドラマ用に書き下ろされた、原典に近いのかも知れない。
 初期には、3回から5回の連続ドラマが多かったが、途中から、1話完結のものが多くなってきている。これは、原作としたものが、長編から短編になってきたためかと思われる。放送された時代から分かるように、戦前派の作家から戦後間もなくデビューした作家が多いのは当然だが、そんな中で、翻訳作品を原作とした作品もあるのが特徴かも知れない。

 なお、“原作”と表記したのは、原作となる小説が存在するものである(特記しない場合は、放送タイトルがそのまま原作であると考えて良いだろう)。一方、“作”と表記したのは、ラジオドラマ・オリジナルと考えられるものである。(島田一男作の「背後を見るな」と、島久平作の「博士夫人の秘密」は、各種資料で、はっきりオリジナルと謳われている)
 但し、間違いがあった場合は、お許しいただきたい。


放送リスト

放送開始年月日放送終了年月日放送タイトル  作者原作名
1949/9/16 1949/9/30 司馬家の崩壊 原作 水谷 準
1949/10/7 1949/10/28 だれが裁いたか 原作 甲賀三郎
1949/11/4 1949/11/25 情獄 原作 大下宇陀児
1949/12/2 1949/12/23 難船小僧 原作 夢野久作
1950/1/6 1950/1/27 緑衣の女 原作 高木彬光
1950/2/3 1950/2/24 片手美人 原作 (黒岩涙香)
1950/3/3 1950/3/24 三面鏡の恐怖 原作 木々高太郎
1950/4/7 1950/4/29 蜘蛛男 原作 江戸川乱歩
1950/5/5 1950/5/26 蝶々殺人事件 原作 横溝正史
1950/6/2 1950/6/30 若さま侍捕物手帳 原作 城 昌幸
1950/7/7 1950/7/28 背後を見るな 島田一男
1950/8/4 地獄横丁 原作 渡辺啓助
1950/8/11 蜃気楼 原作 山田風太郎
1950/8/18 白い闇 原作 宮野叢子
1950/8/25 トカゲの島 原作 香山 滋
1950/9/1 1950/9/29 ひすいのナイフ 原作 コーネル・ウーリッチ
1950/10/6 1950/10/27 深夜の市長 原作 海野十三
1950/11/10 1950/12/1 奇巌城 原作 モーリス・ルブラン
1950/12/8 銭形平次捕物控え 九百九十両 原作 野村胡堂
1950/12/15 銭形平次捕物控え 白い鼠 原作 野村胡堂
1950/12/22 銭形平次捕物控え 鈴を慕う女 原作 野村胡堂
1950/12/29 銭形平次捕物控え 鉄砲汁 原作 野村胡堂
1951/1/5 1951/1/26 くもを飼う男 原作 角田喜久雄 「蜘蛛を飼ふ男」
1951/2/2 親友トクロポント氏 原作 三橋一夫
1951/2/9 軍鶏 原作 永瀬三吾
1951/2/16 白い外套の女 原作 氷川 瓏
1951/2/23 悪夢 武田武彦
1951/3/2 1951/3/30 ひすいのナイフ 原作 コーネル・ウーリッチ
1951/4/6 1951/4/27 緑衣の鬼 原作 江戸川乱歩
1951/5/4 1951/5/25 怪猫伝 西川清之
1951/6/1 1951/6/29 秘められた手紙 原作 森下雨村
1951/7/6 1951/7/13 密偵の顔 原作 大坪砂男
1951/7/20 1951/8/10 影の男 原作 ジョルジュ・シムノン
1951/8/17 断崖 原作 江戸川乱歩
1951/8/24 1951/8/31 妻の道 原作 海野十三
1951/9/7 われは英雄 原作 水谷 準
1951/9/14 1951/9/28 妖婦の宿 原作 高木彬光
1951/10/5 1951/10/19 山刀霧払い 原作 三角 寛
1951/10/26 手相 原作 山田風太郎
1951/11/9 1951/11/16 社会部長 原作 島田一男
1951/11/23 1951/11/30 幻の女 原作 鷲尾三郎
1951/12/7 黒衣をまとう人 原作 甲賀三郎
1951/12/14 旅絵師 原作 岡本綺堂
1951/12/21 決闘 原作 木々高太郎
1951/12/28 銭形平次捕物控え 玉のこしの呪 原作 野村胡堂
1952/1/4 初春狸合戦 原作 久生十蘭
1952/1/11 姉と妹 原作 宮野叢子
1952/1/18 押絵と旅する男 原作 江戸川乱歩
1952/1/25 偽悪病患者 原作 大下宇陀児
1952/2/1 1952/2/22 博士夫人の秘密 島 久平
1952/2/29 ねはん雪 原作 大坪砂男
1952/3/7 道化役 原作 城 昌幸
1952/3/14 生きてゐる小平次 原作 鈴木泉三郎
1952/3/28 プールの中の龍 原作 ディクスン・カー
1952/4/4 おお・それ・みを 原作 水谷 準
1952/4/11 遠島船 原作 久生十蘭
1952/4/18 1952/4/25 緑色のトランク 原作 島田一男 「恐風」
1952/5/2 姉の手は語る 原作 岡田鯱彦
1952/5/9 怨霊の家 原作 城 昌幸
1952/5/16 原作 鷲尾三郎
1952/5/23 三時間の悪魔 原作 大下宇陀児
1952/5/30 影なき女 原作 高木彬光
1952/6/6 ある決闘 原作 水谷 準
1952/6/13 お化け枇杷 原作 大倉Y子
1952/6/18 花子の陳述 原作 豊島与志雄
1952/6/25 山小屋 原作 モーパッサン
1952/7/2 1952/7/23 八つ墓村 原作 横溝正史
1952/7/30 墓場の花嫁 原作 知切光歳
1952/8/6 原作 江戸川乱歩
1952/8/13 1952/8/20 般若の面 原作 久保田耕一
1952/8/27 臨海楼綺譚 原作 スチーブンソン
1952/9/3 みささぎ盗賊 原作 山田風太郎
1952/9/10 ロウソク売り 原作 香山 滋
1952/9/17 ねずみ小僧次郎吉 原作 芥川龍之介
1952/9/24 うそつき娘 原作 大下宇陀児
1952/10/1 1952/10/8 蚊食鳥 原作 宇野信夫
1952/10/15 決闘 原作 デュマ
1952/10/22 小倉の色紙 原作 三好一光
1952/10/29 バック・ミラー 原作 黒沼 健
1952/11/5 梅雨夫人 原作 島田一男
1952/11/12 無明と愛染 原作 谷崎潤一郎
1952/11/20 巫歌 原作 日影丈吉 「かむなぎうた」
1952/11/27 矢がすり 原作 岡本綺堂 「三浦老人昔話」
1952/12/4 文学少女 原作 木々高太郎
1952/12/11 舶来巾着切 原作 長谷川伸
1952/12/18 七時〇三分 原作 牧 逸馬
1953/1/15 船の子達 原作 ドーデ
1953/1/22 心理試験 原作 江戸川乱歩
1953/1/29 キキモラ 原作 香山 滋
1953/2/12 ストリッパー殺人事件 原作 水谷 準
1953/2/19 殉死 原作 水木京太
1953/2/26 ビン詰め地獄 原作 夢野久作
1953/3/5 殺人請負業者 原作 大下宇陀児
1953/3/12 検校殺し 原作 土師清二
1953/3/26 鬼火の池 原作 沢田撫松
1953/4/2 殺意 原作 高木彬光
1953/4/9 犯人 原作 太宰 治
1953/4/15 1953/4/22 赤い花束 原作 島田一男
1953/5/6 うかれ坊主 原作 横溝正史
1953/5/13 原作 戸川貞雄
1953/5/20 緋鯉と真鯉 原作 岡田鯱彦
1953/5/27 命をもてあそぶ男ふたり 原作 岸田国士
1953/6/3 黄昏の告白 原作 浜尾四郎
1953/6/10 回転木馬
1953/6/17 被害者か加害者か 原作 永瀬三吾
1953/6/24 剣と香水 原作 大下宇陀児

 「回転木馬」は、原作者が分からなかった。「片手美人」も資料上では分からなかったが、時代を考慮すると原作者がどうみても特定できるため、カッコに囲んで記している。


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戸田和光