伝七捕物帳について その3

戸田和光 編


最後に――

 それでは、これまでの考察を踏まえた上で、現時点で私が把握・整理している伝七捕物帳の作品リストをまとめておく。
 そもそもが、全作品を把握できているか分からないし、加えて(これまで書いて来たように)陣出作品については謎が多いから、完全なものではないことは自認しているが、例によって、この試作リストをもとに、今後の整理が進むことを祈ってのものとご理解いただきたい。


伝七捕物帳 作品リスト

通番タイトル作者掲載誌紙 掲載年月日 収録書備考
1 片輪草履 城 昌幸 京都新聞 昭和26年3月11日 3
2 火の見小町 佐々木杜太郎 京都新聞 昭和26年3月18日
3 翼のある蛇 陣出達朗 京都新聞 昭和26年3月25日
4 餘燼 戸川貞雄 京都新聞 昭和26年4月7日 1
5 十七手殺し 九鬼 澹 京都新聞 昭和26年4月15日 別題:死の将棋駒
6 生埋めにされた女 土師清二 京都新聞 昭和26年4月23日
7 鼡とり 三好一光 京都新聞 昭和26年4月30日
8 神隠し 松波治郎 京都新聞 昭和26年5月13日 1
9 山手樹一郎 京都新聞 昭和26年5月20日 7
10 十本の指 高木彬光 京都新聞 昭和26年5月27日 7
11 女の耳切り 野村胡堂 京都新聞 昭和26年6月3日 1
12 江戸名所図絵 横溝正史 京都新聞 昭和26年6月10日 4
13 金魚めいわく 村上元三 京都新聞 昭和26年6月17日 7
14 裸御免の女 佐々木杜太郎 京都新聞 昭和26年6月25日
15 肌を隠す女 陣出達朗 京都新聞 昭和26年7月1日
16 くちなし懺悔 角田喜久雄 京都新聞 昭和26年7月8日 4
17 獅子ッ鼻のお紺 谷屋 充 京都新聞 昭和26年7月15日
18 手なし娘 島田一男 京都新聞 昭和26年7月22日 4
19 おしん殺し 瀬戸口寅雄 京都新聞 昭和26年8月5日 4
20 馬の笠 水谷 準 京都新聞 昭和26年8月12日
21 身代り供養 大倉Y子 京都新聞 昭和26年8月19日 1
22 三つ目小僧 柳原緑風 京都新聞 昭和26年8月25日 1
23 蔵座敷 岡田八千代 京都新聞 昭和26年9月2日 7
24 徳利を抱く娘 佐々木杜太郎 京都新聞 昭和26年9月16日
25 月の中の女 陣出達朗 京都新聞 昭和26年9月23日
26 ひとり心中 城 昌幸 京都新聞 昭和26年9月29日 3
27 閨捕り秘譚 橋爪彦七 京都新聞 昭和26年10月15日 7
28 五人のお滝 九鬼 澹 京都新聞 昭和26年10月29日
29 手拭一本 土師清二 京都新聞 昭和26年11月12日 2
30 河童の花嫁 佐々木杜太郎 京都新聞 昭和26年11月26日
31 遊戯呪文 陣出達朗 京都新聞 昭和26年12月3日
32 カラタチ事件 玉川一郎 京都新聞 昭和26年12月10日 4
33 南蛮皿 大林 清 京都新聞 昭和26年12月17日
34 通い狐 城 昌幸 京都新聞 昭和26年12月24日
35 お染茶わん 佐々木杜太郎 京都新聞 昭和26年12月31日
36 春色白粉彫 角田喜久雄 京都新聞 昭和27年1月7日 4
37 小判の賽銭 野村胡堂 京都新聞 昭和27年1月14日 1
38 柳橋心中 笹本 寅 京都新聞 昭和27年1月21日 7
39 朱房の黒星 谷屋 充 京都新聞 昭和27年1月28日
40 孔雀娘 佐々木杜太郎 京都新聞 昭和27年2月4日
41 美女観音 陣出達朗 京都新聞 昭和27年2月11日
42 毛呉呂夜話 北園孝吉 京都新聞 昭和27年2月18日
43 涙の花嫁 松波治郎 京都新聞 昭和27年2月25日
44 雷の宿 横溝正史 京都新聞 昭和27年3月3日 昭和27年3月10日 4
45 烏凧と百眼 佐々木杜太郎 京都新聞 昭和27年3月17日 昭和27年3月24日 5
46 辻斬り柳 城 昌幸 京都新聞 昭和27年3月31日 昭和27年4月7日 3
47 朧夜に笑った娘 陣出達朗 京都新聞 昭和27年4月14日 昭和27年4月21日
48 鍼地獄 佐々木杜太郎 京都新聞 昭和27年4月28日 昭和27年5月5日 5
49 五重の塔 土師清二 京都新聞 昭和27年5月12日 昭和27年5月19日 2
50 毒を射る毒 角田喜久雄 京都新聞 昭和27年5月26日 昭和27年6月2日 4
51 酒樽の謎 村上元三 京都新聞 昭和27年6月9日 昭和27年6月16日 7 ▼
52 蛍の夜船 佐々木杜太郎 京都新聞 昭和27年6月23日 昭和27年6月30日 5
53 地獄と云う名の駕 陣出達朗 京都新聞 昭和27年7月7日 昭和27年7月14日
54 比叡おろし 長田幹彦 京都新聞 昭和27年7月21日 昭和27年7月28日 7
55 怨みのうつし絵 佐々木杜太郎 京都新聞 昭和27年8月4日 昭和27年8月11日 5
56 乳を刺す 邦枝完二 京都新聞 昭和27年8月18日 昭和27年8月25日 1
57 変化女房 陣出達朗 京都新聞 昭和27年9月1日 昭和27年9月8日 6
58 羂の羂(わなのわな) 城 昌幸 京都新聞 昭和27年9月15日 昭和27年9月22日 3
59 時雨の般若面 佐々木杜太郎 京都新聞 昭和27年9月29日 昭和27年10月6日
60 伊太郎殺し 大林 清 京都新聞 昭和27年10月13日 昭和27年10月20日 1
61 斬られた幽霊 野村胡堂 京都新聞 昭和27年10月27日 昭和27年11月3日 1
62 匂い猫 谷屋 充 京都新聞 昭和27年11月10日 昭和27年11月17日 4
63 月の懸る場所 陣出達朗 京都新聞 昭和27年11月24日 昭和27年12月1日 6
64 謎文東海道土産 佐々木杜太郎 京都新聞 昭和27年12月8日 昭和27年12月15日 5
65 猫魔屋敷 北園孝吉 京都新聞 昭和27年12月22日 昭和27年12月29日
66 大奥鍋の怪 佐々木・陣出・城 京都新聞 昭和28年1月1日 昭和28年1月3日
67 殺し場雪明り 城 昌幸 京都新聞 昭和28年1月12日 昭和28年1月19日 3
68 奥山の手妻師 九鬼 澹 京都新聞 昭和28年1月26日 昭和28年2月2日 7
69 相撲鉄砲 佐々木杜太郎 京都新聞 昭和28年2月9日 昭和28年2月16日 5
70 変身 陣出達朗 京都新聞 昭和28年2月23日 昭和28年3月2日
71 飛脚屋殺し 長田幹彦 京都新聞 昭和28年3月9日 昭和28年3月16日
72 通り魔 横溝正史 京都新聞 昭和28年3月23日 昭和28年3月30日 4
73 湯の中の死体 土師清二 京都新聞 昭和28年4月6日 昭和28年4月13日 2
74 恋文鏡 佐々木杜太郎 京都新聞 昭和28年4月20日 昭和28年4月27日 5
75 帯解け盗賊 陣出達朗 京都新聞 昭和28年5月4日 昭和28年5月11日 6
76 ほくろ達磨 北園孝吉 京都新聞 昭和28年5月18日 昭和28年5月25日 7
77 色娘 邦枝完二 京都新聞 昭和28年6月1日 昭和28年6月8日 1
78 死に恋 城 昌幸 京都新聞 昭和28年6月15日 昭和28年6月22日 3
79 京から来た女 土師清二 京都新聞 昭和28年6月29日 昭和28年7月6日 2
80 まぼろし裸天女 佐々木杜太郎 京都新聞 昭和28年7月13日 昭和28年7月20日
81 げらげら狂想曲 陣出達朗 京都新聞 昭和28年7月27日 昭和28年8月3日 6
82 呪われた花笠 高桑義生 京都新聞 昭和28年8月10日 昭和28年8月17日 4
83 四ツ目小町 長田幹彦 京都新聞 昭和28年8月24日 昭和28年8月31日
84 指切り絵馬 佐々木杜太郎 京都新聞 昭和28年9月7日 昭和28年9月14日
85 ほくろにご注意 陣出達朗 京都新聞 昭和28年9月21日 昭和28年10月5日 6
86 刺青花嫁 谷屋 充 京都新聞 昭和28年10月19日 昭和28年10月26日
87 女屋敷 城 昌幸 京都新聞 昭和28年11月2日 昭和28年11月9日 3
88 熊手ざんげ 佐々木杜太郎 京都新聞 昭和28年11月16日 昭和28年11月23日
89 獅子っ鼻の竹が殺された 陣出達朗 京都新聞 昭和28年11月30日 昭和28年12月7日 6
90 猫を抱く女 九鬼澹・北園孝吉 京都新聞 昭和28年12月14日 昭和28年12月21日
紅の矢羽根 佐々木杜太郎 京都新聞 昭和28年12月28日
91 からくり凧 土師清二 京都新聞 昭和29年1月11日 昭和29年1月18日 2
92 化物稲荷 城 昌幸 京都新聞 昭和29年1月25日 昭和29年2月1日 3
93 影くじ花嫁 佐々木杜太郎 京都新聞 昭和29年2月8日 昭和29年2月15日 5
94 雪男 江戸にあらわる! 陣出達朗 京都新聞 昭和29年2月22日 昭和29年3月1日 6
95 畳針殺し 土師清二 京都新聞 昭和29年3月8日 昭和29年3月15日 2
番外 人肌千両 野村・陣出・佐々木・土師・城 京都新聞 昭和29年3月22日 昭和29年3月29日
96 唐獅子牡丹 北園孝吉 京都新聞 昭和29年4月5日 昭和29年4月12日 7
97 千両鮫 佐々木杜太郎 京都新聞 昭和29年4月19日 昭和29年4月26日
98 竹さんは馬鹿じゃなかろうか 陣出達朗 京都新聞 昭和29年5月3日 昭和29年5月10日 6
99 雨の三味線堀 土師清二 京都新聞 昭和29年5月17日 昭和29年5月24日 2
100 謎の恋文 野村胡堂 京都新聞 昭和29年5月31日 昭和29年6月7日
101 刺青女難 土師・陣出・佐々木・城・野村 京都新聞 昭和29年6月14日 昭和29年6月21日
102 船幽霊 横溝正史 京都新聞 昭和29年6月28日 昭和29年7月5日
103 錦絵の女 大林 清 京都新聞 昭和29年7月12日 昭和29年7月19日 1 別題:神かくし奇聞
104 狂った筏娘 佐々木杜太郎 京都新聞 昭和29年7月26日 昭和29年8月2日
105 二枚の虎 谷屋 充 京都新聞 昭和29年8月9日 昭和29年8月16日
106 鍛冶屋の刀 玉川一郎 京都新聞 昭和29年8月23日 昭和29年8月30日
107 竹さん赤変米試食す 陣出達朗 京都新聞 昭和29年9月6日 昭和29年9月13日
108 長者町心中 北園孝吉 京都新聞 昭和29年9月20日 昭和29年9月27日
109 白萩屋敷の女 高桑義生 京都新聞 昭和29年10月4日 昭和29年10月11日
110 黄金弁天 土師・陣出・城・野村 京都新聞 昭和29年10月18日 昭和29年10月25日
111 隠し子仏 土師清二 京都新聞 昭和29年11月1日 昭和29年11月8日
112 さよ吉二人 城 昌幸 京都新聞 昭和29年11月15日 昭和29年11月22日
113 宝船殺人事件 横溝正史 京都新聞 昭和29年11月29日 昭和29年12月6日
114 すすり泣き地獄 大林 清 京都新聞 昭和29年12月13日 昭和29年12月20日
115 恵方の鬼 陣出達朗 京都新聞 昭和29年12月27日 作者当てとして出題
116 鶯姫 佐々木杜太郎 京都新聞 昭和30年1月10日 昭和30年1月17日
117 青岱 谷屋 充 京都新聞 昭和30年1月24日 昭和30年1月31日
118 多情地獄 松波治郎 京都新聞 昭和30年2月7日 昭和30年2月14日
119 人間鳥 陣出達朗 京都新聞 昭和30年2月21日 昭和30年2月28日
120 女郎蜘蛛 野村・城・陣出・土師 京都新聞 昭和30年3月7日 昭和30年3月14日
121 手裏剣小町 北園孝吉 京都新聞 昭和30年3月21日 昭和30年3月28日
122 迷子札百両 土師清二 京都新聞 昭和30年4月4日 昭和30年4月11日 別題:消えた迷子札
123 二人伝七 大林 清 京都新聞 昭和30年4月18日 昭和30年4月25日
124 幽霊の仇討ち 城 昌幸 京都新聞 昭和30年5月2日 昭和30年5月9日
125 青空浪人 松波治郎 京都新聞 昭和30年5月16日 昭和30年5月23日
126 竹さんの大難 高桑義生 京都新聞 昭和30年5月30日 昭和30年6月6日
127 女釣り騒動 佐々木杜太郎 京都新聞 昭和30年6月13日 昭和30年6月20日
128 美貌の夜叉 谷屋 充 京都新聞 昭和30年6月27日 昭和30年7月4日
129 幽霊が殺された 陣出達朗 京都新聞 昭和30年7月11日 昭和30年7月18日
130 幽霊の見世物 横溝正史 京都新聞 昭和30年7月25日 昭和30年8月1日
131 五角屋の二人の客 北園孝吉 京都新聞 昭和30年8月8日 昭和30年8月15日
132 生き口死に口 城 昌幸 京都新聞 昭和30年8月22日 昭和30年8月29日
133 二人お鈴 松波治郎 京都新聞 昭和30年9月5日 昭和30年9月12日
134 三日月 玉川一郎 京都新聞 昭和30年9月19日 昭和30年9月26日
135 釣瓶心中 土師清二 京都新聞 昭和30年10月3日 昭和30年10月10日
136 お湯屋の娘 田井真孫 京都新聞 昭和30年10月17日 昭和30年10月24日
137 女役者因果噺 瀬戸口寅雄 京都新聞 昭和30年10月31日 昭和30年11月7日
138 朱染紺屋 佐々木杜太郎 京都新聞 昭和30年11月14日 昭和30年11月21日
139 山城屋騒動 大林 清 京都新聞 昭和30年11月28日 昭和30年12月5日
140 花嫁小判 陣出・城・土師・野村 京都新聞 昭和30年12月12日 昭和30年12月19日
141 お猿と紅玉 谷屋 充 京都新聞 昭和30年12月26日 昭和31年1月2日
142 風来坊ごろし 城 昌幸 京都新聞 昭和31年1月9日 昭和31年1月16日
143 道中化粧 北園孝吉 京都新聞 昭和31年1月23日 昭和31年1月30日
144 時雨花道 松波治郎 京都新聞 昭和31年2月6日 昭和31年2月13日
145 悲願の纏 陣出達朗 京都新聞 昭和31年2月20日 昭和31年2月27日
146 菜種河豚 土師清二 京都新聞 昭和31年3月5日 昭和31年3月12日
147 隠し鉄砲 玉川一郎 京都新聞 昭和31年3月19日 昭和31年4月2日
148 怪異花の雨 高桑義生 京都新聞 昭和31年4月9日 昭和31年4月16日
149 牢破りの鬼 佐々木杜太郎 京都新聞 昭和31年4月23日 昭和31年4月30日
150 女狐駕籠 陣出達朗 京都新聞 昭和31年5月7日 昭和31年5月14日
151 小町娘の謎 瀬戸口寅雄 京都新聞 昭和31年5月21日 昭和31年5月28日
152 紅滝の鯉 谷屋 充 京都新聞 昭和31年6月4日 昭和31年6月11日
153 江戸ッ子娘 松波治郎 京都新聞 昭和31年6月18日 昭和31年6月25日
154 二人妻 城 昌幸 京都新聞 昭和31年7月2日 昭和31年7月9日
155 狸にされた娘 田井真孫 京都新聞 昭和31年7月16日 昭和31年7月23日
156 おもかげ燈籠 北園孝吉 京都新聞 昭和31年7月30日 昭和31年8月6日
157 大川夏狂い 大林 清 京都新聞 昭和31年8月13日 昭和31年8月20日
158 詐欺師の死 土師清二 京都新聞 昭和31年8月27日 昭和31年9月3日
159 名月祭文唄 佐々木杜太郎 京都新聞 昭和31年9月10日 昭和31年9月17日
160 幽霊参る 高木彬光 京都新聞 昭和31年9月23日 昭和31年9月30日
161 お歯ぐろ壷 谷屋 充 京都新聞 昭和31年10月7日 昭和31年10月14日
162 七兵衛 玉川一郎 京都新聞 昭和31年10月21日 昭和31年11月4日
163 変幻根岸の寮 瀬戸口寅雄 京都新聞 昭和31年11月11日 昭和31年11月18日
164 人気役者の死 高桑義生 京都新聞 昭和31年11月25日 昭和31年12月2日
165 富嶽盗難 陣出達朗 京都新聞 昭和31年12月16日 昭和31年12月23日
166 七草日和 野村胡堂 京都新聞 昭和32年1月6日 昭和32年1月13日
167 美女蝙蝠 土師・陣出・谷屋・城・野村 山陽新聞 昭和32年1月18日 昭和32年1月27日
168 お町お照 松波治郎 京都新聞 昭和32年2月10日 昭和32年2月17日
169 幻の鬼女 城 昌幸 京都新聞 昭和32年3月10日 昭和32年3月17日
170 久松土産 黒部渓三 京都新聞 昭和32年3月31日 昭和32年4月7日
171 江戸の鬼女 高木彬光 京都新聞 昭和32年4月21日 昭和32年4月28日
172 銀蛇呪文 野村・陣出・土師・城 京都新聞 昭和32年5月12日 昭和32年5月19日
173 色情の鬼 大林 清 京都新聞 昭和32年6月2日 昭和32年6月9日
174 灯取り虫 土師清二 京都新聞 昭和32年6月23日 昭和32年6月30日
175 四本指の男 瀬戸口寅雄 京都新聞 昭和32年7月14日 昭和32年7月21日
176 耳右ェ門 北園孝吉 京都新聞 昭和32年8月4日 昭和32年8月11日
177 成田みやげ 谷屋 充 京都新聞 昭和32年8月25日 昭和32年9月1日
178 黒頭巾 玉川一郎 京都新聞 昭和32年9月15日 昭和32年9月22日
179 菊人形の怪 陣出達朗 京都新聞 昭和32年10月6日 昭和32年10月13日
180 女の仮面 高桑義生 京都新聞 昭和32年10月27日 昭和32年11月3日
181 女殺しの裏目 佐々木杜太郎 京都新聞 昭和32年11月17日 昭和32年11月24日
182 髑髏狂女 野村・陣出・土師・城 京都新聞 昭和32年12月1日 昭和32年12月8日
183 三つ首塚 黒部渓三 京都新聞 昭和32年12月22日 昭和32年12月29日
184 櫛うらみ 城 昌幸 京都新聞 昭和33年1月5日 昭和33年1月12日
185 あいびきの女 瀬戸口寅雄 京都新聞 昭和33年1月26日 昭和33年2月2日
186 河童裁き 谷屋 充 京都新聞 昭和33年2月16日 昭和33年2月23日
187 女狐 高木彬光 京都新聞 昭和33年3月9日 昭和33年3月16日
188 花妖 陣出達朗 京都新聞 昭和33年3月30日 昭和33年4月6日
189 三人小町 松波治郎/田井真孫 京都新聞 昭和33年4月20日 昭和33年4月27日
190 人魚地獄 野村・陣出・土師・城 京都新聞 昭和33年5月11日 昭和33年5月18日
191 眼の敵 北園孝吉 京都新聞 昭和33年6月1日 昭和33年6月8日
192 空気銃殺人 土師清二 京都新聞 昭和33年6月22日 昭和33年6月29日
193 消えた花嫁 瀬戸口寅雄 京都新聞 昭和33年7月13日 昭和33年7月20日
194 最後の切札 谷屋 充 京都新聞 昭和33年8月3日 昭和33年8月10日
195 丑の刻参り 城 昌幸 京都新聞 昭和33年8月24日 昭和33年8月31日
196 お澄の小指 大林 清 京都新聞 昭和33年9月14日 昭和33年9月21日
197 かんざしの謎 高桑義生 京都新聞 昭和33年10月5日 昭和33年10月12日
198 状をくわえた女 陣出達朗 京都新聞 昭和33年10月26日 昭和33年11月2日
199 濡れ紙の謎 土師清二 京都新聞 昭和33年11月9日 昭和33年11月16日
200 女肌地獄 野村・陣出・土師・城 京都新聞 昭和33年11月23日 昭和33年11月30日
201 竹さんの色難 城 昌幸 京都新聞 昭和33年12月14日 昭和33年12月21日
202 鯨が知ってる 田井真孫 京都新聞 昭和34年1月4日 昭和34年1月11日
203 弁天獅子 佐々木杜太郎 京都新聞 昭和34年1月25日 昭和34年2月1日
204 魔性の恋 瀬戸口寅雄 京都新聞 昭和34年2月15日 昭和34年2月22日
205 鬼の念仏 北園孝吉 京都新聞 昭和34年3月8日 昭和34年3月15日
206 地獄への旅 大林 清 京都新聞 昭和34年3月29日 昭和34年4月5日
207 女狐蝋燭 陣出達朗 京都新聞 昭和34年4月19日 昭和34年4月26日
208 色後家殺し 高木彬光 京都新聞 昭和34年5月10日 昭和34年5月17日
209 二人源三郎 谷屋 充 京都新聞 昭和34年5月31日 昭和34年6月7日
210 小判おろし 土師清二 京都新聞 昭和34年6月21日 昭和34年6月28日
211 幽霊飛脚 野村・陣出・城・土師 京都新聞 昭和34年7月12日 昭和34年7月19日
212 自分の影 玉川一郎 京都新聞 昭和34年8月2日 昭和34年8月9日
213 二百両秘聞 瀬戸口寅雄 京都新聞 昭和34年8月23日 昭和34年8月30日
214 夜明けの死美人 高桑義生 京都新聞 昭和34年9月13日 昭和34年9月20日
215 京土産ばなし 城 昌幸 京都新聞 昭和34年10月4日 昭和34年10月11日
216 江戸湾台風 田井真孫 京都新聞 昭和34年10月25日 昭和34年11月1日
217 人魚寺の怪 陣出達朗 京都新聞 昭和34年11月15日 昭和34年11月22日
218 歳暮ばやし 北園孝吉 京都新聞 昭和34年12月6日 昭和34年12月13日
219 雪の魔女 佐々木杜太郎 京都新聞 昭和34年12月20日 昭和34年12月27日
220 大黒天縁起 土師清二 京都新聞 昭和35年1月10日 昭和35年1月17日
221 夜叉牡丹 陣出達朗 京都新聞 昭和35年1月24日 昭和35年2月7日
222 唖の太鼓 谷屋 充 京都新聞 昭和35年2月21日 昭和35年2月28日
223 投げ文秘聞 瀬戸口寅雄 京都新聞 昭和35年3月13日 昭和35年3月20日
224 青ハブはどこにいる 田井真孫 京都新聞 昭和35年4月3日 昭和35年4月10日
225 死水代金百両 城 昌幸 京都新聞 昭和35年4月24日 昭和35年5月1日
226 一分金の行方 玉川一郎 京都新聞 昭和35年5月15日 昭和35年5月22日
227 怪猫の歯形 高木彬光 京都新聞 昭和35年6月5日 昭和35年6月12日
228 さいころ娘 北園孝吉 京都新聞 昭和35年6月26日 昭和35年7月3日
229 色欲地獄 大林 清 京都新聞 昭和35年7月17日 昭和35年7月24日
230 つけ鼻奇譚 土師清二 京都新聞 昭和35年8月7日 昭和35年8月14日
232 月に消えた女 高桑義生 京都新聞 昭和35年9月18日 昭和35年9月25日
233 笑われる彼奴 陣出達朗 京都新聞 昭和35年10月9日 昭和35年10月16日
鎌鼬江戸に跳梁す 野村胡堂・陣出達朗 面白倶楽部 昭和25年10月 8 初出は、車坂新吉もの
乱神秘録 野村胡堂・佐々木杜太郎 面白倶楽部 昭和26年10月 8
太鼓の中 野村胡堂・三好一光 面白倶楽部 昭和27年4月 8
毒蛇 野村胡堂・高木彬光 面白倶楽部 昭和27年10月 8
謎文東海道土産 陣出・城・佐々木 別冊宝石 昭和28年1月 (台本)
盲の小まん 長田幹彦 讀切小説集別冊 昭和28年10月
生きている過去帳 谷屋充 讀切小説集別冊 昭和28年10月
染め分け女房 橋爪彦七 讀切小説集別冊 昭和28年10月
尚歯会残話 九鬼澹 讀切小説集別冊 昭和28年10月
津之守阪心中 戸川貞雄 讀切小説集別冊 昭和28年10月
浮世せんべい 北園孝吉 讀切小説集別冊 昭和28年10月
瑠璃心中 笹本寅 讀切小説集別冊 昭和28年10月
加賀屋騒動 柳原緑風 讀切小説集別冊 昭和28年10月
美女と耳 大倉Y子 讀切小説集別冊 昭和28年10月
千慮の一失 瀬戸口寅雄 讀切小説集別冊 昭和28年10月
おぼろ頭巾 佐々木・陣出・城・土師・野村 讀切小説集別冊 昭和28年10月 人肌千両
笛の音 野村胡堂・佐々木杜太郎 讀切小説集別冊 昭和28年11月 8
ねぼけ地蔵 長田幹彦・九鬼澹 讀切小説集別冊 昭和28年11月
狐の面 土師清二・陣出達朗 讀切小説集別冊 昭和28年11月 2 叢書には土師単独名義で掲載
白牡丹 城昌幸・戸川貞雄 讀切小説集別冊 昭和28年11月
人肌千両 野村・陣出・佐々木・城・土師 捕物倶楽部 昭和29年2月 人肌千両
酒樽の謎 村上元三 捕物倶楽部 昭和29年4月 別題:二つの影をもつ男
刺青女難 野村・城・佐々木・陣出・土師 讀切小説集別冊 昭和29年6月 刺青女難
黄金弁天 野村・城・陣出・土師 小説の泉 昭和29年11月 8
女郎蜘蛛 野村・城・陣出・土師 (初出不明) 女郎蜘蛛
異人屋敷 野村・城・土師・陣出 讀切小説集別冊 昭和30年3月 女郎蜘蛛
花嫁小判 野村・陣出・土師・城 小説倶楽部増刊 昭和31年1月
美女蝙蝠 野村・城・谷屋・土師 小説倶楽部 昭和32年1月
銀蛇呪文 野村・陣出・土師・城 傑作倶楽部 昭和32年8月
髑髏狂女 野村・陣出・土師・城 平凡別冊 昭和32年9月 昭和32年11月
人魚地獄 陣出・土師・城 傑作倶楽部 昭和33年6月 昭和33年8月
女肌地獄 野村・陣出・土師・城 小説倶楽部 昭和34年2月
幽霊飛脚 城・土師・陣出・野村 小説倶楽部 昭和34年9月
からくり女難 土師・城・陣出 小説倶楽部 昭和37年5月
蒲団の怪 陣出達朗 キング増刊 昭和30年2月
松茸騒動 陣出達朗 別冊キング 昭和30年10月
きつね駕籠 陣出達朗 別冊キング 昭和31年2月
折鶴飛脚 陣出達朗 平凡別冊 昭和33年2月
夜叉牡丹 陣出達朗 傑作倶楽部 昭和35年2月 昭和35年4月
女狐小判 陣出達朗 別冊読切傑作集 昭和38年1月 昭和38年2月
朱い用心棒 陣出達朗 小説倶楽部 昭和42年9月
霞の扇 陣出達朗 小説の泉 昭和43年4月
花の南蛮錠 陣出達朗 小説の泉 昭和43年5月
緑陰茶話 陣出達朗 小説の泉 昭和43年7月

 昭和20年代から30年代は倶楽部雑誌が全盛の時期で、伝七ものも何度となく掲載されている。全部を確認できてはいないが、その殆んどは再録であると思われるため、それらははずしている。漏れが分かれば、随時追加していきたい。

 最初の二重線の上には、京都新聞連載分を並べた。通番の欄は、京都新聞で長期連載されていた際の作品通番である。“231”の作品は、確認できなかった。通番に欠があるのも不自然なので、調査モレの可能性が高いが、個人的に「早版にだけ掲載された」可能性を疑っており、埋めるのは難しいだろうとも思っている。
 また、167「美女蝙蝠」の初出は、間違いではない。この長期シリーズは、京都新聞以外にも掲載されていた。同紙ほど長期に続けた新聞はないし、そもそも、ほぼ全てが京都新聞の掲載からかなり遅れて(中には、5年前の作品を掲載したこともある!)掲載されていたのだが、この作品のみ、問題編の掲載が京都新聞より2日早かったため、このリストでも変えたものだ。解決編は同じ日の掲載なので、問題編の掲載曜日の違いに起因して、たまたまこんな例が生じたものと思われる。
 備考欄の別題は、他の新聞に掲載された際に、タイトルが変えられていたもの。詳細な作品の比較はしていないが、時期に留意すれば、さすがに作品の組み合わせは間違っていないと思っている。

 収録書の欄に“1”〜“8”があるのは、『黒門町伝七捕物百話』のそれぞれの巻に収録されたものを示す。また、“☆”は『ふたり妻』に収められたものを示している。更に、“▼”は、後に中編化されたものを示し、中編版は、二重線の後に書いてある。唯一、“◆”とした「女狐駕籠」については、先に書いた考察をご参照いただきたい。
 なお、陣出作品については、『黒門町伝七捕物百話』に掲載されたものは、そのまま“6”とした。それ以外で、“△”とした作品は、のちに(改稿等がされたものを含めて)陣出による著書に収録された、と私が判断しているものを示す。この印のない6編は、未収録と思われるもの、ということになる。

 1つめの二重線から2つめの二重線までが、京都新聞以外に掲載された、(捕物作家クラブの企画として書かれていると思われる)伝七ものになる。合作に連作、競作が並んでいることが分かるだろう。なお、陣出単独による作品のうち、映画原作として書かれた「女狐小判」はこちらに含めるべきかも知れないが、便宜上、はずしておくことにした。
 「女郎蜘蛛」については、中編版が存在している(単行本に載っている!)ので、いずれかの雑誌に載っているのだと思われるが、現時点で特定できなかった。この作品とほぼ同時期に(こちらは映画化されていない)「異人屋敷」が書かれているから、何らかの事情があった可能性もあるが、そうであったとしても、ちょっと情けないリストになってしまった……。
 「鎌鼬江戸に跳梁す」について、補足を。この作品は、京都新聞での連載が始まる前に雑誌掲載されているが、その初出には伝七は登場しておらず、陣出のキャラクターである車坂新吉が登場する捕物譚として書かれている。それが『黒門町伝七捕物百話』に収録される際に、伝七ものに改稿されたものなのである。それ以降、《面白倶楽部》に掲載された合作はすべて伝七ものとして書かれているが、あくまで、伝七ものは京都新聞での掲載が出発点なのである。作家クラブが創設される前後で、活動方針が決まっていなかったせいかも知れないが、書誌だけを見ると紛らわしいので、注記しておく。

 2つめの二重線以降は、最初から伝七ものとして発表された、陣出単独による作品になる。これまでの拙稿を読んでいただければ、イメージしやすいのではないか。
 こちらについては、漏れもあるだろうし、そもそも初出かも疑わしいものもあるが、現時点で整理した内容に従って並べた(それこそ、初出は車坂新吉もので、再録される際に伝七ものに改稿されたと思われるものを入れるとキリがないし、その正確性に自分でも疑問を感じてしまうので)。このうち、「折鶴飛脚」と「朱い用心棒」、「花の南蛮錠」以外は、そのままのタイトルで短編集に収録されている。先の収録リストも随時参照していただきたい。

 一つ補足しておきたいのが、村上元三「酒樽の謎」である。
 京都新聞に掲載され、『黒門町伝七捕物百話』にも掲載された作品だが、それとは別に《捕物倶楽部》にも掲載された。村上自身の捕物キャラクターである加田三七を脇役として登場させている異色作だが、これは、同誌に掲載される際に加筆したものかと思われる。
 同作は、のちに「二つの影をもつ男」というタイトルに改題され、《小説倶楽部》昭和33年9月にも再録されている。
 村上の遊び心による作品かと思われるが、そういったことが許されたのは、捕物作家クラブによる企画ならではのものだったのかも知れない。



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戸田和光