1970年代につまりカール・ベームとウィーンフィルが絶妙の組み合わせを誇っていた頃に、音楽アカデミーの学生であった芦野純夫さんが、当時既に引退していたハンス・カーメシュからリードを譲ってもらった。そのリードを芦野さんが最近計測してくれた。また私の師匠で、今やウィーンフィル首席オーボエ奏者として活躍している、マーティン・ガブリエル氏が私のために作ってくれたリードについても使用後分解計測し、両者を比較してくれた。
ハンス・カーメシュのリード(左)とマーティン・ガブリエル氏作製のリード(右)
さらに次に最近入手したのはもっとすごいもので、まさに「博物館」所有の最大級宝物である。何と、アレクサンダー・ヴンデラーの「最後のリード」である。ヴンデラー家に遺されたものを、その残された箱のままお借りすることができたのである。箱には、「おじいちゃんの最後のオーボエリード【Letztes Oboerohr Grosspapas】と書かれている。箱には3つ入っていて、1つはオーボエ用にまちがいなく、2つはイングリッシュホルン用と思われる幅が広くて短いリードである。どれも既に割れが入っていて、ヴンデラー家の家宝であり、オーストリアの宝であろうことから、一切「音を出してみよう」などという試みをするわけにはいかない。分解計測も行なえない。
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保管用箱 Letztes Oboerohr Grosspapas と読める |
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箱自体はタイピン等小物入れだ。これを開けると3本の神々しいリードがあった。 |
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オーボエ用リード 針金止めのある側 |
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オーボエ用リード 真横から |
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オーボエ用リード 針金止めのない側 |
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オーボエ用リード 吹き込み口 |
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オーボエ用リード チューブ側から |
オーボエ用リード 外形採寸結果 |
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